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「自分が何をしてしまったのか、それを理解したうえで本人が受け入れるなら受け入れよう」
そういうとシントは立ち上がる。それを見て僕は慌てて立ち上がった。そしてシントの後に続いてサロンを出た。向かう先は僕たちが泊まっている部屋だ。無言でそこまで移動して、部屋に入っていく。サイガもツェベルも気を使ってか続きの部屋に控えてくれているみたいだ。
「シント?」
「はぁ、ごめんね。
せっかくの交流だったのに、こんな空気にしてしまって」
「ううん。
後悔している?
ああいう対応したこと」
僕の言葉にうーん、と考えるシント。でもすぐに答えは決まったようだ。
「後悔していないよ。
今はまだこの屋敷内で起こったことだから僕にもかばうことができる。
でも彼女はもう9歳だ。
ならやり直せるうちにやり直したほうがいい」
「でも、きっとシントは怖い王子様だって思われているんじゃない?」
「怖いって……。
それでもいいよ、それが必要なら。
それに僕がどんな人かアランが知ってくれていたなら、いいかな」
っ! ちょ、ふいうちでそういうのやめて。なんだか恥ずかしいじゃんか。
「あはは、アラン顔が真っ赤だ」
「うるさい!」
はぁ、もう。まあ、でもシントが後悔していないならいいや。本来の自分とは違う姿を演じて、その上後悔していたらさすがに、ね。
「ふふ、アランはやさしいね」
「サイガ、いる?」
はい、もう知りません。そう思ってサイガを呼ぶ。おいしいお茶が飲みたい。後はちょっとしたお菓子も。
「はい、ここに」
「お茶を入れてもらってもいい?」
「かしこまりました」
さすがサイガ、仕事が早い。丁寧に蒸らして入れられたお茶をありがたく飲む。そっとお菓子も置いてくれるからさすがだよね。
「よろしければ、シフォベント殿下もどうぞ」
「ありがとう」
そのままお茶の時間となってしまった。まあ、いいけどさ。
「ねえ、アラン。
もう一度出会ってくれてありがとう。
一緒にいてくれてありがとう。
友人になってくれて、ありがとう。
アランのおかげで、僕は強くいられる」
また急に!? わざとそらしていた目を思わずシントに向けるとどこか辛そうに細められている。また文句を言いたかったけれど、その顔を見た瞬間に吹き飛んでしまった。
「……、僕のほうこそ、ありがとう」
なんでこんな空気に……、そう思わないではいられなかったけれど、その言葉は自然と僕の口から出ていた。
気を使ったのか昼食は部屋へと運ばれてきたため、ガルシアン殿たちには会っていない。つまり謝りに来ていない。まあ、ああ言われてこれ以上王族の機嫌を損ねたくないんだろう。だから部屋を訪れにくい、と。まあ気持ちはわかる。そしてそのままダブルク様たちが帰ってくる時間になってしまった。
屋敷の外から馬車の音が聞こえてきたから、視察に行った大人たちが帰ってきたことが分かった。さてこの状況をどうするべきか、とお互いに顔を見合わせるけれどまあどうにもできないか。一応間違ったことはしていないはずだし。ということで、僕たちはこのままこの部屋で誰かが訪ねてくるのを待つことにした。そして思っていたよりも早く扉をノックする音が響いた。
「シフォベント殿下、アラミレーテ殿、少しいいですか?」
あれ、誰かが来るだろうとは思っていたけれどダブルク様がいらっしゃるとは予想外だった。もちろん断る理由はないのでどうぞ、というとどこか申し訳なさそうな顔をしたダブルク様が。なんでだろう、と思っていると少し体をずらす。それでよく分かった。
ダブルク様の後ろには明らかに顔色を悪くしたリキューシア子爵が立っていたのだ。
だから本人が来なよって!




