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 そのあと、こちらも同じように整えられていた寝室ものぞき、思っていた以上にいつも通りに過ごせそうなことにほっとした。やっぱり慣れた空間のほうが安心できるしね。ひとまず休憩を、ということで紅茶を入れてもらって休むことに。甘さ控えめのクッキーもいつも通りの味でした。同じ人が作っているのでは? というほどに同じだったから驚いていたら、サイガがどうしたのか聞いてきたので説明すると、ああ、と一つうなずかれる。どうやら僕の好みはしっかりとこちらの料理人にも引き継がれているみたいです。


 そうしていると、不意に誰かが扉をノックしてきた。誰だろうと疑問に思いつつ、どうぞ、というとアベルが扉を開けに行ってくれる。そこにいたのは兄上だった。


「兄上!

 どうかされたのですか?」


「いや、アランの顔が見たかっただけだよ。

 先ほどはゆっくり挨拶もできなかったからね。

 ……ああ、本当に久しぶりだ」


 そういってこちらに来ると、今度は抱きしめてくれた。やっぱりさっきのはここの使用人の前だったからなんだね。なんだかほっとしました。


「僕も久しぶりに兄上とお会いできてうれしいです」


 理由に納得したので、そういいながら抱きしめ返す。うん、やっぱりなんだか安心できる。もちろん上級貴族にとって学園に通うのは必須事項だ。でも、その前までは毎日顔を合わせていたからどうしても寂しく感じてしまう。それに姉上も次の次の銀月には王都に行くんだよね……。う、やっぱ寂しい、よね。それを自覚するのは、少し恥ずかしいけれどね。気まずい気持ちを隠したくて兄上の肩口にウリウリと頭をなすりつけると、ふふ、と軽く笑う声が聞こえてきた。


「ああ、もうやっぱりアランはかわいいな。

 殿下方にお会いするのかと思うと、心配でたまらないよ」


 そのままそんなことを言う兄上。やっぱり僕に会わせたい人というのは殿下方みたい。うまく挨拶できるか心配ではあるが、ここは覚悟を決めるしかないのだろう。


「僕、頑張りますね」


「そんなに頑張らなくて大丈夫だよ。

 それにしても、この屋敷にアランがいるって不思議な感じだな」

 

「僕、屋敷の中見てみたいです!

 以前兄上がスタンドグラスとかあってきれいという話をしていたでしょう?」


「ああ、そういう話もしていたね。

 でも今日は疲れているだろうから休まないと」


 兄上も同じことを言う。でも熱っぽい感じも否めないから、ここはおとなしく従っておこう……。


「明日にはおじい様やおばあ様のところに行くのだから、今日中にしっかりと休んでおかないと」


 おじい様とおばあ様? そういえばなんだかイシュン兄上がそんなことを話していたような気もする。どんな人なんだろう。


「お二人とも厳しい面もあるけれど、とてもお優しい方だよ。

 それと、叔父上にも会うことになるか」


「叔父上、ですか?」


「そう。

 母上の弟で現アークレッフェ公爵、我が国の宰相様だね」


 さ、宰相様。宰相という役職の人にあまりいい思い出がなかったりする。まあ、ラルヘの思い出だけれど。


「どうかした?」


 さすがにそれを兄上に言うわけにはいかないので、おとなしく黙っておきます。なんでもない、と返すとじっとのぞき込まれてしまったけれど何とかごまかせました。そのあとは結局軽くだけど熱が出てきてしまい、イシュン兄上のお世話になりながらベッドでおとなしくしているはめに。せっかく王都に来たのに……、と残念な気持ちになったけれど、料理人が腕によりをかけて作ってくれた食事はとてもおいしかったです。



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