三月十五日の日記。三月二十日の日記。
三月十五日の日記
今日、少し休憩がてら病院のテラスでアイスティーを飲んでいた。すると、隣でこの病
院へとお見舞いに訪れた夫妻が世間話をしていた。聞くに患者の方は少し前にわたし達の
身にも降りかかったような同じ事故に巻き込まれ、怪我を負ってしまったようだ。
ただ、更に気になるのはこの後の話だ。この病院にもう数回ほど訪れているらしいが、
妙な話を耳にしたそう。話をした人が言うには、ここ最近、近所のものが何者かに壊され
ているという。
ある時は郵便ポストが壊れ、ある時は壁が傷つき、ある時は車のタイヤがズタズタにや
られボディがボコボコになっていたそうだ。中には獣が吼える様な音を聞いた人も居る。
わたしがここに来るまでにも車が一台ひっくり返っていたのを見た。
何が起きているのだろう。
カイトは寝てる。まるでこの何日かのことが嘘みたいに寝てる。
、ただ健やかに寝ている。
わたしには祈ることしかできない。
三月二十日の日記
カイトが消えた。病院からカイトが消えた。
病院から連絡があり、わたし達はカイトの元へと向かうとカイトの姿が無かった。
無かった。
病院が説明をするには、朝食を配りにカイトのベッドへと向かうと窓が開かれ、そこに
カイトの姿は無かったと。何が起きたの?どこに行ったのカイト?
もしかして今見ているかもしれないのこの星空の下でわたしは呼びかけていた。
つづく




