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三月二十五日の日記。三月二十八日の日記。四月一日の日記。

  三月二十五日の日記

カイトが居なくなってもう五日目。寂しい。

今日、居なくなったカイトの部屋に入ってみた。

居なくなってから何も変わらない。あの日の時にカイトが居なくなってそれから何も変

わらない。この場所はカイトを舞っている。それはわたしも同じ。

 あの水着袋、カイトがしっかりと手に握って水泳教室に通ってたなぁ。

カイトが描いた絵、机の引き出しに幾つも収まってる。

どれもこれも目に映ると、カイトの思い出が呼び起こされる。

 そう言えば、カイトの鞄に何かの空きビンが入ってた。見慣れない商品名で聞いたこと

がない。製造した会社名は書いていない。

 いつの間にこんなものを?

 カイト。どこに居るの?お母さん寂しいよ。



   三月二十八日の日記

 カイトが居なくなってからまるで世界が変わった気がする。

今日だって隣の県で、とんでもないことが起きた。

街に怪獣が現れた。

海からとつぜん姿を見せて、ビルを壊し、地面を踏み歩き、車を踏みつぶす。

口から稲妻を放ち、周りにあるものを簡単に砕く。

怪物のすがたは、ゴリラと石に岩、トカゲなんかが混ざった姿をしてる。

こんな生き物、聞いたことがない。

体つきはアメフト選手のようで、腕と脚はとても太い。

あんな太い腕で殴られたらひとたまりもない。

わたしはその様子を映像越しに見ていた。その映像は映画みたく勘違いをしてしまった

のではないかとわたし自身をつい疑うようなものだった。

 あの怪獣の足元には人々が居る。これは現実なんだ。

現実を受け入れきれないわたしをあざ笑うかのように、あの怪獣は暴れ続けた。

ただただ、目の前にあるものを何の迷いもなく破壊していく。

さっきまで形を整っていた形あるものがただの塊と変わっていく。

わたしはこの様子を言葉にできなかった。

怪獣は三時間ぐらいあばれ続けた。周囲にたくさんの瓦礫の山をつくった。

センタービルも簡単に中央から叩き折られた。向かいにあった経済ウエストビルも怪獣

の口から放つ稲妻を浴びて炎上していた。

 ある程度荒らし終えた怪獣は、そのま海に消えていった。

ただただこの映像を見ていて、何もできずにいる自分が無力感に襲われた。

同時にカイトのことがよぎったりした。不謹慎だけれど、あの場にカイトが居ないこと

を心のどこかで祈ってた。

 あの時、わたしにはそんなことしかできなかった。

 


  四月一日の日記

ニュース番組はずっとこの間の怪獣災害を報道してた。

新聞もあの怪獣の写真と国の対応が記事になっていた。

国が公開している情報は、わたしが知っている情報以上のことは書いてない。

世間はそのことにずっと注目している。そして、それほどに今はみんな混乱してる。

それは警察も同じことだ。

この怪獣災害の前にカイトの捜索願を警察に提出したが、この状況だと警察がまともに

動いてくれるとは到底考えられない。

 最悪だ。最悪としかいえない。

ただでさえカイトの行方捜索をする為に色んな方の協力が必要なのに、隣県であんな災

害が起きてしまったらその応援に行くしかない。それはわたし達自身のみでカイトの捜索

をしなければなりならないということを示している。

 最悪。本当に最悪。

そういえば今日はエイプリルフールだ。

ああ、本当にエイプリルフールだったらいいのに。


つづく

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