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七日目(中編)

お気に入り等の数が急に増えている事に驚きました

皆様ありがとうございます

これを励みにして更に精進していきたいと思っております

 ご主人様と酒場にて情報を集めています。酒場なのに真昼間から営業してるのは、冒険者の憩いの場だからですね。中にはすでに出来上がってる人間もいますが。

冒険者という危険な仕事故か、男性ばかり目に付きますね。まあ、女性なら酔っ払った荒くれが多い場所には行きたくはないでしょう。

この状況は酒樽に毒でも入れたら一網打尽にできそうです。


「ああ、あの蒸し暑い密林みたいな迷宮か。あそこの迷宮は駄目だな、ここに向かう途中潜ってみたが、すでに攻略された後だったぜ。」

ご主人様が、いつもと違う口調で他の冒険者に、自らの迷宮を話します。ご主人様の考えでは、冒険者を招くよりも近隣の村とかを襲ったほうが稼げるみたいです。弱いところから毟り取ろうという盗賊のような考えです。迷宮を守る為先ほどから、しきりに潜る価値は無い、荒らされた後と言ってますね。


「どこか新しい迷宮を知らないか?相棒と二人で潜ってみたいんだ。」

ご主人様はいつのまに冒険者になられたんでしょうか?相棒だなんて、愛人とおよび下さい。

私たちの迷宮の他にも付近には幾つか存在しているみたいです。

ゴブリンの巣穴、サキュバスの迷宮、昆虫型魔物の巣穴等々の情報を得ました。後から聞いた話では、なんとかして彼らからオーブを奪いたいみたいです。まるで盗賊ですね。

でも、使い魔がいる迷宮は駄目ですよ。迷宮管理センターや迷宮支援組合と敵対することになりますからね。

そんな事よりも、もう宿に戻りましょうよ。何の為に私が翼の飾りを買ったと思ってるんですか?高かったんですよ。


「貴方達、二人だけ?私達とパーティー組まない?二人だけだと心細くて。」

狼人種の戦士、人間の魔法使いの女性二人組が声をかけて来ました。さっそく私達の迷宮で保護しましょう。牢屋の中なら安全ですから。


「四人なら安心だね。何処に行こうか?」

「近くのゴブリンの巣穴なら簡単と思うけど。どうかしら?」

「いいね、行こう。一旦、準備してここに集合で。リリ、準備しようか。」

ご主人様は二つ返事で了承してしまいました。ご主人様の準備とはオーブの確保方法と冒険者二人の始末方法です。私は迷宮管理センターに一度戻り、ゴブリンの巣穴について情報を集めます。

どうやら、ゴブリンは迷宮管理センターの支援を断ったみたいです。まあ、知能の低い迷宮の主にはよくある話ですが。これで遠慮なく巣穴を攻略できますね。

用が済んだらオーブと冒険者を連れて、そのまま私達の迷宮に戻りましょうか。


「それでは、協力して進んだ後、監視室を確保し次第、リリが戦士を捕らえて私が魔法使いを捕らえようか。」

「戦士は牢に入れてもたいした魔力を出しませんし、始末しても宜しいでしょうか?」

流石に同じ魔法使い同士で、男と女の腕力差の上、奇襲なのでご主人様でも大丈夫とは思いますが。不安も残ります。即座に戦士を始末し、二人がかりで困惑している魔法使いを狙ったほうが確実でしょう。


「移動中の会話と迷宮内での戦闘からリリが判断していいよ。まかせる。」

「ゴブリンが相手か、俺は一応、弩でも買っていこうかな。」

「それは素晴らしい考えです!ご主人様の弩をお使いになる姿はさぞかし素敵でしょう。」

「そう?よし、武器屋にいこうか。フフフ。」

煽てておきましょう、両手剣とか持って前衛になられては困りますから。


武器屋へ向かって街を歩いていると商人風の男が話しかけてきました。


「見かけない顔だね。この辺に住んでおられるのですか?お仕事は?私には年頃の娘がいるのですが。」

「冒険者でして・・・。」

すぐに去っていきました。まだ幼い娘の縁組の相手を探していたようです。流石に危険と隣り合わせの冒険者に出す嫁はいないみたいでした。


「なるほど、病気や魔物とかの関係でなるべく早いうちに嫁に出して、子沢山ってわけか。」

納得されているご主人様、仰る通りですが、結納目当てということも考えられます。あとは商売の繋がりや玉の輿といった理由でしょう。この世界では別に普通の光景です。ちなみに現在のご主人様の年齢でも、種族や地域によっては遅いくらいだったりします。


ご主人様、それは弓用の矢です弩には使えません。重いからって10本では足りないでしょう、私も持ちますからもっと買いましょう。いつも拾って再利用出来るとは限りませんから。

見た目が良いからってエペなんて買わないでください。

ついでに弩の使い方を店主に教えてもらっていました。迷宮では私に矢が飛んできそうで不安です。

何とか準備を済ませ酒場に戻った後、巣穴に向かいます。


「リリって女の子みたいな名前だよね。有翼人も人間とパーティー組んだりするんだね。」

「白い翼って素敵。王子様みたい。」

ご主人様を差し置いて私にばかり話題が来ます。きっと男性に間違われるのは今日はズボンを履いてるからでしょう。まあ、男にも女にも見えるということは変装する上で便利ですよね。これで特技が増えそうです。それに、私の魅力はご主人様だけが知っていれば良いのですから。


「みんなどんな能力を持っているのかな?役割とかを決めようかと思って。」

狼人種は見た目通りの戦士で、人間の魔法使いは回復魔法士らしいです。回復魔法はとても役に立ちます、激務で疲れた私の肩や腰を癒して欲しいです。あと、贅沢を言えば強化魔法で胸や顔の容姿も強化して欲しいところですが。


街から徒歩で、小一時間ほどの距離に、切り立った崖を背にした小さな森がありました。この森の奥にゴブリンの巣穴があるようです。木はそれ程密集しておらず、また背も低い為太陽が隠れることはありません。その為、足元も見えやすく初心者にも歩きやすいのか巣穴までは踏み固められたような道が出来ていました。

まばらに生えた木の合間から時折飛び出してくるゴブリンを、三人で集中攻撃して倒します。回復魔法士の人間は攻撃に参加せず、弩に矢を番えているご主人様の傍らで、杖を手に戦いの行く末を見守っていました。すぐに傷ついた味方を癒せるようにしているのでしょう。

この冒険者達はそれほど強くありません、働き口が無い為、冒険者に身を落としたといったところでしょうか。改めて見ると、あまり器量も良さそうではありませんし。

森を進んでいくと、やがて崖に人間二人が並んで通るのがやっと広さの横穴が開いています。夜になってもわかり易いように巣穴の両横には篝火が用意されていました。

巣穴へと足を踏み入れた私達を待っていたのは強烈な匂いでした。血や汗、食べ物の腐った匂いが入り混じっています。簡単に攻略出来そうな迷宮にもかかわらず健在なのはこれが原因でしょう。

狭い横穴は、所々真横に分岐が用意されていますが、奥を目指していけばオーブへと辿り付けるでしょう。知能の低いゴブリンの巣穴でしかないので、繁殖し出入りがしやすいように作られています。

進んだ先に曲がりくねった一本道が入り口付近に戻るような、行く手を阻む通路は無いはずです。

こういった狭い通路の場合は、防御の硬い魔物や射程の長い武器を扱う魔物がいると思わぬ被害を受けてしまいますが、ここでは問題ありません。

奥から現れるゴブリンを倒しながら巣穴を進みます、深部から私達の迎撃用にゴブリンを向かわせているのでしょうが、それが逆に私達に正しい道を教えているとは管理者は気が付いていないのでしょう。

そもそも、分岐が数多く配置されているうえ、ご主人様は迎撃用の魔物を出すときは、進入されなかった分岐の奥の小部屋の魔物と挟撃させるようにしていましたから、管理者の腕としては比べるまでもありません。

やがて小部屋が二つ並んであり、一際大きなゴブリンが簡素な木のこんぼうを手に、扉の前にて待ち構えている場所へと歩を進めました。

奥の部屋が監視室で間違いないでしょう。オーブを戦闘で破壊される事を避けてこの場を決戦の場所に選んだ事だけは評価できます。

咆哮と供に向かってくるゴブリンに、弩から放たれた矢が刺さり、狼人種の戦士がゴブリンへと正面から立ち向かいます。元々、ゴブリンは人間の胸の高さ程の身長しかない為、大きなゴブリンといえど狼人種の娘と身長はさほど変わりありません。

ゴブリンのこんぼうを手に持った剣で受け止める狼人種、その隙に私はゴブリンの背後に回り、それぞれの手に逆手に持った短剣を、ゴブリンの首に左右から挟みこむように突き立てました。

そして刺すと同時に、無防備なゴブリンの背中を勢い良く足で押し出すようにして、反動で後ろへと飛びます。

前のめりになりながら、狼人種に向かって倒れかかるゴブリン。すぐに私は後ろの扉を開け、中にオーブがある事ともう敵はいない事を確認すると、既に絶命してのしかかろうとするゴブリンを剣で押さえている狼人種の傍へ行きます。

ご主人様の顔を見て、狼人種の首へ短剣を振るいました。同時に回復魔法士に抱きつくようにして、拘束するご主人様。

喚き散らす回復魔法士に近づき、腹部に短剣の柄を撃ち出します。

力を失った彼女を抱えるようにして監視室に入るご主人様と供に、オーブを手にした私は、慣れ親しんだ私達の迷宮へとワープします。

ようやく異臭を放つこの巣穴と別れを告げられます。もっとも今となっては、匂いに慣れたのかまったく異臭を感じていませんが。


迷宮への帰路となる光に包まれる中、私がこの巣穴で最後に見た光景は、力なく四肢を投げ出した狼人種とその上にのしかかる大きなゴブリンの姿でした。


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