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白石さんの微笑みは、今日も誰かを追い詰める  作者: 双鶴


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第5話 監視される天然

【朝・オフィス】


紗耶が出社すると、三枝がすでに席にいる。

いつもより早い。


紗耶

「おはようございます。三枝さん、今日は早いですね」


三枝

「……別に」


紗耶

「昨日よりネクタイの色が明るいですね。

 気分転換ですか?」


三枝

「(なんでそんなとこ見てるんだ……!)」


紗耶は気づかず、にこっと微笑む。



【総務部・デスク】


美咲が小声で話しかける。


美咲

「紗耶ちゃん……三枝さん、今日ずっと紗耶ちゃん見てるよ」


紗耶

「そうなんですか?

 話したいことがあるのかもしれませんね」


美咲

「(いや、あれは“監視”だよ……!)」



【午前・コピー機前】


紗耶がコピーを取っていると、

柱の影から三枝が覗いている。


紗耶

「あ、三枝さん。コピー取りますか?」


三枝

「っ……いや、別に……」


紗耶

「じゃあ、どうぞ。

 あ、でもこのコピー機、昨日から紙送りが遅いので気をつけてくださいね」


三枝

「(なんでそんなこと知ってるんだ……!)」



【給湯室】


紗耶がコーヒーを淹れていると、三枝がまた現れる。


紗耶

「三枝さん、コーヒー飲みます?」


三枝

「……いや、見てただけだ」


紗耶

「見てただけ……?

 あ、豆の種類が気になったんですか?」


三枝

「(違う……違うけど……なんでそうなる……!)」



【昼休み・カフェテリア】


美咲

「紗耶ちゃん、三枝さんの視線、ずっと紗耶ちゃんに刺さってるよ」


紗耶

「刺さってる……?

 あ、でも三枝さん、視力悪いんですかね。

 最近、目を細めてます」


美咲

「(いや、それは“疑ってる目”だよ……!)」



【午後・会議室前】


三枝が紗耶の後ろをつけるように歩いている。


紗耶

「三枝さん、歩幅がいつもより小さいですね。

 足、痛いんですか?」


三枝

「(なんで歩幅まで見てるんだ……!)

 ……お前、俺を監視してるのか?」


紗耶

「え? 私がですか?」


三枝

「……いや、いい」


紗耶

「監視なんてしませんよ。

 ただ、見えるだけです」


三枝

「(それが怖いんだよ……!)」



【夕方・オフィス】


経理の社員が紗耶に近づく。


経理社員

「白石さん……三枝さん、今日ずっとあなたのこと見てたよ」


紗耶

「そうなんですか?

 私、何かしましたか?」


経理社員

「(いや、何もしてないのに……それが怖いんだよ……)」



【帰り道】


美咲

「紗耶ちゃん、今日……三枝さん、完全に紗耶ちゃんを“警戒”してたよ」


紗耶

「警戒……?

 私、何もしてないのに」


美咲

「(それが一番怖いのよ……!)」


紗耶はふと立ち止まる。


紗耶

「でも……

 三枝さん、今日“自分を守ろうとしてる人の歩き方”でした」


美咲

「え、それどういう……」


紗耶

「分かりません。なんとなくです」


その“なんとなく”が、

三枝の疑心暗鬼をさらに深めていく。


――第5話 終わり


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