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現世に転生したけどDNAをいじれるだけなので、ひっそり暮らします  作者: シチュー引き回しカレー道連れ 


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12/20

学校に戻ったら、転校生が来ていた

新世界の使徒との話し合いから一週間後。


健太は、久しぶりに学校に戻ることにした。

「本当に大丈夫なの?」

エリシアが心配そうに尋ねる。


二人は通学路を歩いていた。

「うん。もう逃げても意味ないし」

健太は空を見上げた。

『それに、普通の生活を送るって約束したし』

「でも、学校のみんな、あなたのこと覚えてるわよ?」

「……そうだよね」

健太は苦笑した。


あの事件——黒覆面が学校を襲撃し、健太が暴走した生徒たちを次々と治療した事件——から、もう三週間以上が経っている。


『みんな、どんな目で僕を見るんだろう……』

教室に入ると——

「あ、佐藤!」

山田が真っ先に駆け寄ってきた。

「おお、生きてたか!」

「……生きてるよ」

健太は苦笑した。


「心配したんだぞ! 急にいなくなるし!」

「ごめん。ちょっと、事情があって……」

「まあ、いいけどさ」

山田が肩を叩いた。


「で、お前、あの時のアレ、本当に——」

「山田くん」

エリシアが割って入った。

「佐藤くんは疲れてるの。後でゆっくり話してあげて」

「お、おう……」

山田は少し引いた。


『エリシア、ありがとう……』


健太は自分の席に座った。

周りの生徒たちが、チラチラとこちらを見ている。

『……やっぱり、有名人になっちゃったんだな』

その時、担任の教師が教室に入ってきた。


「おはよう、みんな。今日は、大事なお知らせがある」

教師が教卓に立った。

「今日から、転校生が来る」

『転校生?』

健太は顔を上げた。


「三人も一度に来るんだ。珍しいだろう?」

『……三人?』

嫌な予感がした。

「じゃあ、入ってきて」

教師が合図すると、教室のドアが開いた。


そして——

三人の女性が入ってきた。

一人目。

長い黒髪。ショートカット。寡黙そうな雰囲気。


『……え?』


二人目。

眼鏡をかけた知的な女性。白衣——じゃなくて、制服を着ている。


『……嘘でしょ?』


三人目。

赤毛のショートカット。ツンとした表情。


『……マジか』


健太は硬直した。

なぜなら——


その三人は、シャドウ、アリシア、ルナだったからだ。

「じゃあ、自己紹介してもらおうか」

教師が促した。


シャドウが前に出た。

「……影山静香です」

『影山……シャドウだから?』

「趣味は、観察です」

シャドウが教室を見渡した。

その視線が、一瞬だけ健太で止まった。


『……観察って、僕のこと!?』


次に、アリシアが前に出た。

「有栖川愛です。科学が好きです」

『有栖川……アリシア……』

「よろしくお願いします」

アリシアが眼鏡を直す。

その視線も、健太に向けられた。


『……なんか、すごく見られてる』


最後に、ルナが前に出た。

「……月野るなです」


『月野……ルナ……そのまますぎる!』


「別に、友達とか作る気ないから」

ルナがそっぽを向いた。

「じゃあ、なんで転校してきたんだよ」

誰かが呟いた。


「……事情があるの!」

ルナが顔を赤くした。

教室がざわついた。


「じゃあ、席は——」

教師が教室を見渡す。

「影山は、佐藤の隣の空いてる席」

『隣!?』

「有栖川は、佐藤の後ろ」

『後ろ!?』

「月野は、佐藤の前」

『前!?』

健太は愕然とした。


『……完全に包囲されてる!』


三人が、それぞれの席に向かう。

シャドウが健太の隣に座った。


「……よろしく、佐藤くん」

小さく囁く。

『……影山さん、じゃなくて、シャドウ……』

アリシアが健太の後ろに座った。

「ふふ、これで毎日観察できますわ」

小声で呟いた。

『観察って何!?』

ルナが健太の前に座った。

振り返って、健太を睨む。

「べ、別にアンタの近くに座りたかったわけじゃないからね!」

『……完全にツンデレだ』


エリシアが、隣の席から健太の腕を掴んだ。

「……アルヴィン」

エリシアの声が、低い。

「な、何?」

「なんで、あの三人がここに?」

「僕に聞かないでよ……」

健太は頭を抱えた。

『……普通の学校生活、もう無理じゃない?』


昼休み。

健太は、屋上に逃げ込んだ。

『……疲れた』

午前中の授業、ずっと視線を感じていた。


隣からはシャドウ。

後ろからはアリシア。

前からはルナ。


『……気が休まらない』

屋上のフェンスに寄りかかり、空を見上げた。

『……ひっそり暮らしたかったのに』

その時、屋上のドアが開いた。


「あ、いた」

ルナだった。

「……何か用?」

「べ、別に用なんてないけど!」

ルナが近づいてくる。


「ただ、アンタが一人でいるから、心配で——」

「心配?」

「ち、違う! 別に心配なんかしてない!」

ルナの顔が赤くなった。


「ただ、その、恩があるから、見守ってるだけ!」

『……見守り? それって監視じゃ……』

健太は溜息をついた。

「ねえ、ルナ——じゃなくて、月野さん」

「ルナでいいわよ」

ルナがそっぽを向く。

「……なんで、転校してきたの?」

「それは——」

ルナが言いかけた時、ドアがまた開いた。


今度は、シャドウとアリシアだった。

「あら、ルナさん。抜け駆けは卑怯ですわ」

アリシアが言った。

「抜け駆けじゃないわよ!」

ルナが反論する。

「私も、お話ししたかったのですが」

シャドウが静かに言った。

三人の女性が、健太を囲んだ。


『……完全に包囲されてる』

「ねえ、みんな」

健太が尋ねた。

「本当に、なんで転校してきたの?」

三人が顔を見合わせた。


そして——

「あなたを守るため」

シャドウが答えた。


「観察するため」

アリシアが答えた。


「べ、別に守りたいわけじゃないけど! ただ、恩があるから!」

ルナが顔を赤くして答えた。


健太は頭を抱えた。

「……約束と違うよ。普通の生活を送るって——」

「送れますわ」

アリシアが言った。

「私たちがいれば、安全ですから」

「それって、普通じゃないよね?」

「大丈夫です」

シャドウが微笑んだ。

「私たち、普通の生徒として振る舞いますから」

『……もう遅いと思うけど』

その時、ドアがまた開いた。


今度は、エリシアだった。

「アルヴィン!」

エリシアが駆け寄ってくる。

「あなたたち、アルヴィンに何を——」

「エリシア様、お久しぶりですわ」

アリシアが会釈した。

「別に、何もしてませんわよ」

シャドウが言った。

「ただ、お話ししていただけ」

ルナが付け加えた。


エリシアが健太の腕を掴んだ。

「アルヴィン、教室に戻るわよ」

「あ、うん……」

健太はエリシアに引っ張られて、屋上を後にした。

三人の女性が、その背中を見つめていた。


「……やっぱり、エリシア様が邪魔ですわね」

アリシアが呟いた。

「でも、仕方ありません。彼女は、異世界からずっとアルヴィン様のそばにいましたから」

シャドウが言った。

「……私も、もっと早く見つければよかった」

ルナが悔しそうに呟いた。

「でも、これからは違いますわ」

アリシアが微笑んだ。


「私たち、毎日アルヴィン様のそばにいられるのですから」

三人の瞳が、一斉に輝いた。


放課後。

健太は、教室で荷物をまとめていた。

『……今日は、疲れた』

授業中、ずっと視線を感じていた。


休み時間も、三人が代わる代わる話しかけてきた。

『……普通の学校生活、どこ行った?』

「佐藤くん」

シャドウが近づいてきた。

「一緒に帰りませんか?」

「え、でも——」

「私もご一緒したいですわ」

アリシアが割り込んだ。

「べ、別に一緒に帰りたいわけじゃないけど! たまたま方向が同じなだけ!」

ルナも加わった。


健太は困った顔でエリシアを見た。

エリシアが溜息をついた。

「……わかったわ。みんなで帰りましょう」

「本当ですか!?」

三人が一斉に喜んだ。


こうして、健太は四人の女性に囲まれて帰ることになった。

下駄箱で靴を履き替えていると——

「佐藤!」

山田が駆け寄ってきた。

「お前、すげえな! 美女四人に囲まれて!」

「……いや、これは——」

「羨ましいぞ!」

山田が肩を叩いた。


『……羨ましい、のか? これ?』

校門を出ると、そこには——

黒い高級車が停まっていた。

車の窓が開き、中からセレスティアが顔を出した。


「アルヴィン様、お疲れ様です」

『……セレスティアまで!?』

「送っていきますわ」

「え、でも——」

「遠慮なさらず」

セレスティアが微笑んだ。

「皆さんもどうぞ」

シャドウ、アリシア、ルナ、エリシアが車に乗り込む。


健太も、仕方なく乗った。

車内は広く、豪華だった。

「ヴァルキリア、フローラは今日は来られませんでしたが、明日は来るそうですわ」

「……明日も?」

「ええ。毎日、交代で送り迎えを」

セレスティアが優雅に答えた。

『……もう、普通の生活じゃない』

車が走り出す。


窓の外を眺めながら、健太は思った。

『……結局、こうなるんだな』

でも——

車内の女性たちを見ると、みんな楽しそうに話している。

エリシアとシャドウが何か議論している。

アリシアがノートに何かを書いている。

ルナが窓の外を見ながら、時々健太をチラチラ見ている。

セレスティアが優雅にワイングラスを傾けている。


『……まあ、悪くないかも』


健太は、小さく笑った。

『ひっそり暮らすのは諦めよう』

『その代わり——』

健太は空を見上げた。

『この人たちと、うまくやっていこう』


その夜。

健太の家に帰ると、母親から電話がかかってきた。


「健太、元気にしてる?」

「うん、元気だよ」

「ごめんね、まだ海外から帰れなくて」

「大丈夫。一人で大丈夫だから」

『……一人じゃないけど』

電話を切ると、玄関のチャイムが鳴った。


『……誰?』

ドアを開けると——

エリシアだった。


「お邪魔します」

「え、でも——」

「あなた、一人暮らしでしょう?」

エリシアが入ってくる。

「だから、夕飯作りに来たの」

「そ、そんな——」

「遠慮しないで」

エリシアが微笑んだ。


『……まあ、いいか』


二人でキッチンに立つ。

エリシアが手際よく料理を作っていく。

「エリシア、料理上手だね」

「異世界でも、よく作ってたから」

「そうなんだ」

健太は、エリシアの横顔を見た。


『……いつも、ありがとう』

夕食を食べながら、エリシアが言った。

「アルヴィン」

「ん?」

「今日、他の女の子たちと仲良くしてたわね」

「え、あれは——」

「別に、いいのよ」

エリシアが微笑んだ。


「あなたが幸せなら」

「エリシア……」

「でも」

エリシアが健太の手を握った。

「私も、あなたのそばにいたい」

エリシアの瞳が、潤んでいる。


「だから——忘れないで」

「……忘れないよ」

健太は、エリシアの手を握り返した。

「エリシアは、ずっと一緒にいてくれた」

「……ありがとう」

エリシアが嬉しそうに微笑んだ。

その夜、健太は自分の部屋で考えた。


『……これから、どうなるんだろう』

転校生が三人。

新世界の使徒のメンバーたち。


そして、エリシア。

『……賑やかになったな』

でも——

『まあ、悪くない』

健太は、ベッドに横になった。

『ひっそり暮らすのは諦めた』

『その代わり、この人たちと——』

『楽しく、生きていこう』

そう思いながら、健太は眠りについた。


翌日。

学校に行くと、また新しい転校生が来ていた。


今度は——

ヴァルキリアとフローラだった。

「……嘘でしょ?」

健太は愕然とした。


「おはようございます、アルヴィン様」

ヴァルキリアが満面の笑みで言った。

「先生、お久しぶりです」

フローラが優雅に微笑んだ。


担任が言った。

「今日も転校生だ。二人とも、佐藤の近くに座ってもらおう」

『……もう、席がないよ!』

こうして、健太の周りは完全に女性たちで埋め尽くされた。


エリシアが呆れた顔で言った。

「……アルヴィン、これ、どうするの?」

「僕に聞かないで……」

健太は頭を抱えた。


『……ひっそり暮らすって、何だっけ?』

教室がざわついている。


「佐藤、すげえな!」

「ハーレムじゃん!」

「羨ましい!」


『……羨ましくないよ!』

健太は、深く溜息をついた。


でも——

周りの女性たちを見ると、みんな嬉しそうに笑っている。

『……まあ、いいか』

健太は、小さく笑った。


『これが、僕の新しい日常なんだな』

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