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カナリアさんの秘密のお部屋  作者: クロ
第四章 開拓
70/80

とある夜に 1

寝て、起きて、共に過ごし、笑い合う。

なんて尊い時間なのだろうか。

そして、平和に日は過ぎ、年月は流れていく。


その尊さを、あなたが教えてくれた。

この夜の時間でさえも。


恋って、何?

今日一日、ずっとずっと考えていた。

今日の中で喋ったのはロベルトぐらい。

それほど、集中していた。


一つ、行き着いたことがある。

恋とは、感情の名前であり、定義はないのではないかと。

『恋』という言葉があれば、世の中はもっとずっと単純だった。

『愛』という言葉があれば、世の中はもっと理解しやすかった。


全て未知数。

全て銀河のように広大でわからない。

いろんな星 がばら撒かれ、私たちは生きている。


あなたとずっと一緒にいたい。

側に居させて。


これが恋?


でも、ただ、それだけ。


それだけで、よかったのに。


期待してしまう自分が嫌だ。

もし拒絶されたら?


私の周りから人は消えてしまう。

宝物が、消えてしまう。


「どうしよう。どうしたらいいの?」


わからない。

何が正解なのか。



「どうしよう、お母様…」



私は、どうしたらいいの?



***



暗い部屋に、銀髪が煌めいた。

月明かりは静かに世界を一望している。

バルコニーで、月と少女が、目を合わせた。


月は少女を一瞥すると、視線を逸らす。

世界は残酷で、一人の少女に構ってはくれない。


迷子の小鳥を、案内しない。



「こんばんは。月が綺麗ねぇ。」



小鳥が目を見開く。


「あなたは……」


こつ、と靴が音を立てた。

迷子の小鳥の前に現れたのは、ずっと大きな鳥だった。


「カナリア。」


辺りが美しく輝いたように見えるのは、大きな鳥のせいだろう。

月明かりに照らされたその人は、美しく笑った。

迷える小鳥の名を呼んで。



その夜に、再会が果たされる。




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