とある夜に 1
寝て、起きて、共に過ごし、笑い合う。
なんて尊い時間なのだろうか。
そして、平和に日は過ぎ、年月は流れていく。
その尊さを、あなたが教えてくれた。
この夜の時間でさえも。
恋って、何?
今日一日、ずっとずっと考えていた。
今日の中で喋ったのはロベルトぐらい。
それほど、集中していた。
一つ、行き着いたことがある。
恋とは、感情の名前であり、定義はないのではないかと。
『恋』という言葉があれば、世の中はもっとずっと単純だった。
『愛』という言葉があれば、世の中はもっと理解しやすかった。
全て未知数。
全て銀河のように広大でわからない。
いろんな星 がばら撒かれ、私たちは生きている。
あなたとずっと一緒にいたい。
側に居させて。
これが恋?
でも、ただ、それだけ。
それだけで、よかったのに。
期待してしまう自分が嫌だ。
もし拒絶されたら?
私の周りから人は消えてしまう。
宝物が、消えてしまう。
「どうしよう。どうしたらいいの?」
わからない。
何が正解なのか。
「どうしよう、お母様…」
私は、どうしたらいいの?
***
暗い部屋に、銀髪が煌めいた。
月明かりは静かに世界を一望している。
バルコニーで、月と少女が、目を合わせた。
月は少女を一瞥すると、視線を逸らす。
世界は残酷で、一人の少女に構ってはくれない。
迷子の小鳥を、案内しない。
「こんばんは。月が綺麗ねぇ。」
小鳥が目を見開く。
「あなたは……」
こつ、と靴が音を立てた。
迷子の小鳥の前に現れたのは、ずっと大きな鳥だった。
「カナリア。」
辺りが美しく輝いたように見えるのは、大きな鳥のせいだろう。
月明かりに照らされたその人は、美しく笑った。
迷える小鳥の名を呼んで。
その夜に、再会が果たされる。




