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『祈現の碧』Prevalent Providence Paradigm  作者: 宇喜杉ともこ
第6章 祈りを抱く者に試練は与えられる
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祈りを抱く者に試練は与えられる その6

 

「成ったな。——と、もう拘束してくれていいぞ」

 

 儀式のために外したシャルディーンの拘束だが、律儀にも本人から再度の拘束を示唆した。

 それからすぐに八敷意による拘束を受け、シャルディーンはぐったりと座り込んだ。

 

「ああ、とそうだ。気付いていたかもしれないが、貴殿らの指につけている宝石の指輪は互いのエネルギーを共有し合う装置だ」

 

 幸斗、トリープともに左手を凝視する。

 それぞれクォーツとトパーズを中心に取り付けた指輪が薬指についていた。

 

「普段はトパーズの方に龍神が持つ水のエネルギーが貯められているが、いざというときに幸斗の身を守れるようそのエネルギーを一部借り受けられるようにする仕組みだ。これなら幸斗の身体への害は少なく済む。……ただし長時間の使用はおすすめしないがね」

 

 シャルディーンは言い終わったところで、疲れたのか座ったまま眠りについた。

 

「これで問題は解決した……のでしょうか」

 

「いいや、まだこの力が残っている限りは……」

 

 八敷意には懸念があった。

 幸斗たちを狙う魔術師や、霊脈異常によってもたらされた強力な怪異という脅威が潜んでいることだ。

 

「……すぐに抜本的な対策を打つことはできないだろう。しかし、解決方法自体は単純な話だ。どちらも脅威でなくなるほどに彼らが強くなってくれればいい」

 

「だったら——」

 

 立ち上がる碧の姿——トリープが提案する。

 

「まずは私が、鍛錬相手になろう。場所はあの廃校近くの寺院で。幸斗を含めた、文研部のみんなで私と戦うんだ。それでいいかい? 八敷先生」

 

「……そうだな、反対はない。幸斗がどれだけ戦えるかを知るのにもいい機会だ。日にちは……一週間後だな。十分疲れをとって、忙しくない休日に行おう」

 

  ◇

 

「さて、お前の処遇を決めようか」

 

 学生たちが帰り、夕焼けの光が窓から差す一室にて魔術師の男女が一人ずつ。

 

「なに、そう仰々しく言ったところで結局は殺すか封印するかでしかないだろうに」

 

 男は悪態を吐く。なんならすぐにでも殺してくれとでも言わんとするような冷めた声だった。

 

「私もそう考えていた。しかし幸斗のわがままぶりを見てな、私も少し我を通そうと思ったんだ」

 

「ほう? では私をどうするつもりかね」

 

 男の疑問の声に対し、女が口角を上げた。

 

「おまえ、私の下で働け」

 

「……なんと」

 

荒谷家(わたし)の保護下に入ればおまえの命を守ってやれる。どうせ同胞が来るのはわかってるんだ。狙いを分散されても面倒なだけ、おまけに私自身教師・顧問をやってるのも大変でね。少しは楽がしたいんだよ」

 

「なんともまあ、無茶ぶりを言うもんだ。しかしそういうのは、ライセンスが必要なのではないか? 教員免許……私は持っていないぞ?」

 

「ああ、そのことか。いずれはとってもらうつもりさ。それまでは外部顧問というやつで拾ってもらえ」

 

「別にその程度暗示を使えば良いと思うのだが……まあ良いか。——あと」

 

 話を切り替える。ある人物についての話だ。

 

「そちらについても問題ない。私がこのあと準備を進めておく」

 

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