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第四話 楽しい自己紹介!

「はいはーい! 恋に全力投球! 猪突猛進! 絶対勝利の近藤玲奈(こんどう れな)だよ~!」


 はじめの印象通りかなりのイケイケギャルだ。

 明るい金髪に負けないくらいに輝く琥珀色の瞳は元気を象徴しているように思える。

 それくらいエネルギッシュで明るい。


「鷹山来夢だ。三年間よろしく」

「来夢って女の子みたいな名前。あ、悪口じゃないよ? 可愛い名前って意味」

「小学校から言われてるよ。ちなみに妹の名前は桃、母親は林檎、父親は鳳凰の鳳と梨で鳳梨ほうり。これを果物で表すとパイナップルだ」

「果物一家かよ! いいなー美味しそう!」


 美味しそうで羨ましがられたのは初めて。


「そういえば気になってたけど近藤はなんで保健委員に?」

「そんなの決まってんじゃん! 運動部のマネやって恋人を作るため! 出会いは待っても来ない! 自分から作ってやっとスタートラインだから!」

「いい教訓だ」


 是非とも見習いたい。


「んじゃわたしの番ね? ずばり! 好きな人は!」


 随分と踏み込んだ質問するなぁ。相当色恋話が好きなのだろう。

 ビシッと指を指した近藤の目はナニカを期待しているかのように輝いていた。


「やっぱなし! よくよく考えてみれば入学したてでいるわけないか。ちょっと待って考える」

「おう」


 俺の後ろの鮫に恐怖したのだろう。

 一瞬恐怖どん底みたいな顔してたぞ。


「んー好きなタイプは?」


 結局考えた結果色恋話と。


「どんな……カッコイイ人かな」

「え、ホモなの?」

「カッコイイ=男とか安直すぎる。女性でもカッコイイ人はいるだろうが」


 容姿が男よりカッコイイ女性なんて探せばいくらでもいる。

 だが俺の言うカッコイイは内面的にカッコイイ人のことだ。


「あ、じゃあわたしは対象外?」

「まあ、可愛いの部類に入るだろうな。カッコイイかと言われると、うーんって感じ」

「鷹山ってそういうことすんなり言えるんだな」


 悪い癖というかあんまり良い事じゃないのは分かってるけどね?

 癖だから中々直らない。


「気を悪くしたならごめん。癖でな」

「いや気分はめっちゃいい。でもカッコイイ人ってさ具体的にどんな人?」

「んー夢や目標に真っ直ぐで頑張れる人とか? その辺は感覚だから考えても分からないんだ」

「お? お? わたしなんてどうよ。最高の彼氏を作るっていう夢に向かって全速力だぜ?」


 キリッとキメ顔をする近藤。

 ぷっくりした頬を相まって可愛らしい。


「あんまり自分の安売りはしない方がいいぞ」

「おーはぐらかしたな?」

「違う」


 確かに回答には困るけど。

 嘘じゃないからセーフってことで。


「は~い。交代の時間でーす。二列目と三列目、四列目と五列目が交互に交代してくださーい」

「ありゃ、もう時間か。また来てね?」

「キャバ嬢かよ」


 色気のねぇキャバ嬢ですこと。

 席順的に俺と鮫島が入れ替わり俺は土屋と向き合った。



「初めまして、土屋夏帆(つちや かほ)です」


 柔らかな笑みを浮かべ座りながら丁寧にお辞儀をした。

 紺色の髪が大人っぽさを演出し、紫色の瞳が天真爛漫という真逆の属性を付与させている。

 流石偏差値六十七を優に超える鮫島高校。秀才ばかりでなくお嬢様も混じっているとは。


「丁寧にどうも。鷹山来夢だ。三年間よろしく頼む」

「はい。まだ時間もありますしなにか話しましょうか」

「んー。普段はなにをしているんだ?」

「書道や茶道などを嗜みます。武芸で言えば薙刀を少々」


 住む次元が違うとはこのことを言うのだろう。

 書道なんて学校の授業で十分だし、茶道の作法なんて毛ほども俺には分からない。

 よって気が利くような反応は出来ない。


「へ、へーソウナンダー……」

「鷹山さんは普段なにを?」

「あーゲームとか漫画とか、アニメはそこまで見ない」


 というか全国模試のランキングに載るようになってからは深夜アニメの時間は勉強していた。

 時々チラッと休憩の時に妹の桃が見ているのを冷蔵庫から見る程度。

 それでも途中からで話についていけなくなって見なくなったけど。


「薙刀ってやっぱ難しい?」

「そうですね。棒術と違って片方は刃がついているので、下手に振り回すと自分が切れてしまいますから。特に女性は胸があるので振り回しにくいですね」


 土屋はそう言って豊満な胸を寄せた。

 もともとそれなりのサイズがあるのにそれを寄せたとなればかなり強調される。

 ブレザー下のブラウスのボタンが苦しそうに引っ張られている。


「目がエッチィですよ?」


 柔らかいながら悪戯っ子のような声で土屋が言った。


「俺も健全な男子なもんで」


 土屋夏帆。案外侮れないかもしれない。

 自然な流れで人を小馬鹿にしてくる。しかし不快感は一切感じさせない。

 それは土屋に悪意がないからか、それともおっぱいが大きいからか。

 今世紀最大の謎である。

 終始セクハラに耐え自己紹介の場は終わった。

 印象としては大和なでしこの仮面を被った淫魔って感じ。


次回、第五話は9月2日から毎日投稿されます。


じれじれ甘々成分が不足するかもしれませんが、とあるイベントを機に激増するのでご安心を。

そこまで結構駆け足気味です。ナメクジ基準で。


それでは、また次回。

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