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第三話 気まずすぎる……自己紹介

家に帰ると少しボロボロになったローファーが乱雑に脱ぎ捨ててあった。

 自分の靴を揃えるついでにローファーを揃えてリビングへと向かった。


「あ、おかえりーお兄」

「ああ」

「どうだった入学式。可愛い子いた? 陽キャになれそう? それともまたガリ勉ライフ?」


 鷹山桃たかやまもも。俺の妹であり、中学二年生。

 中学二年生なら反抗期が来て「兄とかキモすぎワロタ」くらいになってもおかしくないのだが、未だその傾向は見られず。

 リビングのソファに寝っ転がり、足をバタバタ。白とピンクの縞々パンツがチラ見え。


「んで? 可愛い子とかなんか変化あったの?」

「鮫島彩音がいた」

「……マジ?」

「大マジ」


 ばたつかせていた足をとめて桃は座りなおした。


「なんで彩姉が?」


 妹の桃も当然鮫島彩音のことは知っている。

 俺と鮫島が浮気疑惑を理由に別れたことも。 


「進学先、被らないようにってずらしたよね? え、狙った?」

「電車、徒歩、自転車通学。全部含めて鮫島彩音がいける高校の数どんだけあると思ってんだよ。滑り止めなしで俺は鮫島高校受けてんだ」


 鮫島彩音が行ける高校は三桁近い。その中から一つを狙い撃ちなんてどんな確率だよ。

 運がいいのか悪いのか。ソシャゲの一点狙いより確率低いぞ。


「でもそれってお兄にとってはいいことじゃないの? 好きな人とまた出会えてチャンスが出来たんだもん」

「事あるごとに睨まれて怒られるのにチャンスがあるのか」

「あるよ! 警察呼ばれてないんだもん!」


 天真爛漫にえげつないことを言ってのけるマイシスター。

 え、高校被っただけで警察呼ばれる可能性あるってマジ? 世知辛すぎない?


「まあまあ。桃ちゃんはいつでもお兄の恋を応援してるよ? ブラコンだから!」


 俺と同じ青髪を振り乱しながら桃は笑った。


「目標は仲直り?」

「そうだな。取り敢えず言い訳を聞いてもらえるくらいにはなりたいと思ってる」

「桃ちゃんは影ながらお兄のこと応援しています!」


 ここまで兄の恋路に真剣になってくれる妹も珍しいと思う。

 まあ、時々中二病発症して突拍子もないこというけど。



 

 次の日、まだ授業は始まらずレクリエーションが行われていた。


「上下ペアになって自己紹介をしましょう。理解し合うことは友達作りの第一歩です」


 雨宮先生がぷっくりした頬をほころばせながら言った。


 ここで問題になってくるのがペア。

 まだ好きな人同士なんて非リアを殺処分しようとしていないだけいい。

 だが俺のクラスは縦六横五の三十人クラス。

 休みがいない今日はあまりが出ることはない。

 そして、俺の上下ペアというのは鮫島彩音である。


「ど、どうも鷹山来夢で……す」

「……」


 上ずる声でなんとか名乗ることに成功はしたが鮫島の視線態度は超冷たい。

 腕を組み足を組み青い瞳でこれでもかと睨みつけるこの場は圧迫面接より圧が強いと俺は断言できる。


「鮫島彩音です」


 それだけ言って俺達の自己紹介は終わった。

 元彼、元カノ関係な俺達はお互いのことならある程度知っている。

 今更聞くまでもないのと、聞ける状態ではない。


 終始無言のまま俺と鮫島の自己紹介は終わった。

 そして次は、偶数列の移動だった。

 となると俺が移動になり、指示通り俺は鮫島の前の席へ。

 チラリと後ろを見ると、俺の列の一番後ろに座る藤堂が強張った表情をしていた。

 ご愁傷様としか言いようがない。


 次の自己紹介で俺の前にいるのは近藤玲奈。

 元気よく手を挙げた我がクラスの保健委員である。


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