打ち切りエンドってあるじゃろ
突然ですが終わりです。
「打ち切りエンドってあるじゃろ? マンガとかで」
「あぁ、あるな」
事務所内で不意に、スズがそんなことを言ってきた。
「あれって何が原因じゃと思う?」
「そりゃ色々あるんだろ」
「その色々ってのが何かという話じゃよ」
「商業なら一番は売れなかったからってのがあるんじゃないか? 売れないのダラダラ続けさせる余裕は編集部にはないからな」
「ふむふむ」
「他にはあれだろ、作家の方に問題が起こった場合とか」
「問題?」
「急な事故や病気で亡くなったりしたら打ち切りだろ。いやまぁ未完って言った方が良いのかもしれないけど」
「確かにたまにそういうの聞くのう」
「あとは作家自身が描けなくなった時とか」
「作家が?」
「作家だって人間だしな、批判されたり思ったように人気がでなければモチベーション上がらず心がポキッと折れるさ」
「じゃからと言って、今までついてきてくれた読者を見捨てるのか?」
「そこは苦渋の選択だよな。何とか書いていこう、頑張ろうと思っても出来ないんだよ」
「そんなものか」
「そんなものだよ」
事務所内に静寂が下りる。
「ところで、レイはどうじゃ?」
「変わりねーよ」
「あれから3ヶ月か。未だ家から出られないのか?」
「あぁ、すっかり怯えちまって無理だ。自分自身の力が怖くなって外に出られない」
「……そうか、結局儂らはあの子を正しく導いてやることが出来なかったのじゃな」
「そうだな――でも俺はこれでよかったのかもしれないって思ってるんだ」
「……」
「アイツが辛い思いをしたくない、外が怖いっていうなら家の中でずっと俺が守っててやるってのも悪くないんだと思う」
「一生か?」
「一生だ、俺の命はアイツのためにある。幸い、金にも困ってないしな」
「そうか……なら儂も付き合ってやるわい」
「――いいのか?」
「別にいいわい、どうせ100年ほどじゃろう。レイが生きているのなど」
「ありがたいよ」
「良い良い、どうせ儂とお主は不老じゃろ――元勇者」
「それじゃずっと最後まで一緒にいてくれよ――元魔王」
俺達は、ずっと1人の少女を守っていく。
俺の最愛の妹を。
これにて完結です。
申し訳ありません。これ以上続きを書くということが、私にはできませんでした。
これ以上書き続けても評価も感想もいただけず、多くの人に読んでいただくことが出来ないと思ったからです。
私自身が面白いと思う作品が、読者の方々が感じる面白いと思う作品と離れていたのだと思います。
次回作からはもっと設定を固めたり、書き溜を行うなどしていきたいと思います。
この作品をブックマークしてくださった207人、評価を下さった3人、感想を下さった1人の読者の方々に深く感謝します。
そして、最後まで作品を書き、完結させることが出来ず本当に申し訳ありませんでした。
よろしければ、また次回作でお会いできれば幸いです。




