第4話
今回も神官長が暴走しています。
どうしてこうなった…。
彼らはこのプラスチック製の瞳に何を見ているのでしょう。
◇◇◇
「ふはははっ!!この愚か者がっ!!!」
静まり返った室内に神官長の声が響く。どう聞いても悪役笑いにしか聞こえない。
「一体どうしたんだ?」
「頭がおかしくなったのではないですか」
「元からだろう」
「ああ、そうでしたね」
突然の神官長の暴走に王子は困惑し、宰相は冷たい視線を送る。団長は…いつも通りだ。
しかし、神官長は外野の声には耳を傾けず、高らかに語り出した。
いや、人の話は聞いてください。
「神獣様を人と同列に扱うなど言語道断!!
いいですか、神獣様は―――千年かけてゆっくりと瞬きをするのです!」
しーん。
世界は静寂に包まれた。
王子以外の全員が“何言ってるんだこいつ”という目で神官長を見る。
神官長、本当に大丈夫ですか。
「突然叫んだかと思えば……。何を根拠にそんなことを。」
宰相サマ、意外に冷静ですね。
「はっ。そんなもの見れば分かるでしょう。
そして、この古文書にも書かれています。」
どこから出した。
勝手に小道具を増やさないでください。
「おお、確かにその通りだ」
王子が納得しているようだが、彼だとあまり信憑性が感じられない。
「………くっ!」
宰相と神官長の言い争いは神官長の勝利で終わった。
◇◇◇
「見てくださいこのつぶらな瞳を!!」
宰相を言い負かした神官長が、まだ神獣について語っている。
本当に話長いですね。
ちなみにあなたが私の目だと思っているものは、ただのビーズです。
神官長の言葉を聞いて、王子が私を見つめてくる。
「そんな目で見ないでくれ…」
彼は頬を染めて顔をそらす。
見つめてきたのはあなたです。
いきなり宰相が私と王子の間に割って入ってきた。
「殿下、こんな本当に神獣かどうかも怪しい生き物に誑かされないでください!」
「たっ…誑かされてなどいない!」
王子はさっきよりも顔を赤くしている。
もしかして、着ぐるみにときめいたんですか?
それとも、さっきからずっと恍惚とした表情で私を見ている神官長と同じ人種ですか?
「このお花畑を味方につけたからと言って、いい気にならないでください!」
宰相は憎々しげに吐き捨てるが、私が反論するわけにもいかない。
「いくらお前が喚いたところで、陛下も大神官もこいつを神獣と認めている。
まさか陛下に逆らうつもりか。宰相閣下」
うわー。こんなに厭味ったらしい“閣下”って初めて聞きました。
さすがです、団長。援護射撃ありがとうございます。
「必ず化けの皮を剥いでやりますからねっ!!」
宰相はある意味、的を射たことを言い捨てて、去って行った。
「剥いだ皮の下は何だろうな?」
そう言った団長のニヤリとしか表現できない笑みに、私は背筋が寒くなった。
私が狙われているのは、命でも貞操でもなく皮だったようです。
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