第10話「人魚族王女」
洞窟を出た。
外は夜だった。
水面から月明かりが差し込んでいる。
俺は魚群と一緒に泳いでいた。
すると
ズドォォォォォン
遠くからものすごい音が聞こえた。
「…………!?」
「ちょっとだけ、ちょっとだけ見るだけだから!」
自分に言い聞かせてながら、俺は慎重に近づいた。
岩陰からそっと覗く。
そこには一人の少女が倒れていた。
長い銀色の髪。
青い瞳。
上半身は人間。
下半身は魚。
「……人魚なのか?」
少女は傷ついていた。
腕から血が流れている。
少女の後ろには
大きな潜水艦?があった。
「なんかやばそうだな…」
船には武器を持った人間たち。
『いたぞ!』
『人魚だ!』
少女が怯える。
「逃げろ!」
俺は思わず飛び出した。
「ギョオオオオッ!」
人間たちがこちらを見る。
『え、魚?w』
『なんだ、この魚w』
人間にあざ笑われた。一回冷静になって良く考えた。「絶対◯してやる」
『殺せぇぇ』
隊長らしき人が言った。
俺は放電した。
バチィッ!
海の中に電撃が走る。
『ぐわっっ!?』
とにかくむちゃくちゃに放電した。
潜水艦が揺れる。
その隙に人魚が逃げた。
俺も一緒に逃げた。
「逃げ切ったぁ!はぁ はぁ…」
岩陰に隠れた少女が俺を見る。
「……あなた」
俺は固まった。
言葉が聞こえる。
俺の《言語解析》が働いている。
「私を助けてくれたの?」
「ギョ」
「……ふふ」
少女は笑った。
「変な魚」
「…………」
なんか複雑だ。
「私はリュネ」
彼女はそう名乗った。
「海底王国の王女です」
「…………王女?」
俺は目を見開いた。
その瞬間、
“キュイーン”
とてつもない音が俺の頭の中で鳴った。
【重要人物を確認】
【人魚族王女:リュネ】
【特殊クエストが発生しました】
【《王女を守れ》】
「なんだこのゲームみたいなクエストの音は」
「違う違う!てか……なんで王女がこんなところに?」
リュネの表情が曇った。
「王国が――人間に攻撃されたの」




