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後輩と整備と駐車場所

 翌日の放課後、職員室にやって来た私と柚月は、水野と登録についての打ち合わせをした。


 「学校側の印鑑証明は、今、取らせてるところだから、週明けくらいまでかかってしまうだろう。そして、その間に、車庫証明の取得と、自賠責保険への加入を頼みたいんだ」


 なるほど、自賠責保険の名義人に関しては、紙を渡されたので、これと、車検証を持ってディーラーに行くのが一番話が早いと思う……かぁ。

 それで、車庫証明に関しては、土地の使用許可は発行して貰ってるので、警察署に行って申請してくるのと、保管場所の整理整頓をする事……とのことだった。保管場所って、練習場の端のムーヴとかプレミオが置いてある場所なのか。

 いつもガレージ前に固めて置いてあるけど、一応、届けを出すのにあたっては、保管場所には、ならないらしいから、あそこに区画を作るようにと、トラロープと撃ち込み具を貰ったので、あとで、区画作りをやっちゃおう。


 水野から、自賠責と車庫証明申請のお金と、車庫証明の用紙を受け取り、まずは部へとやって来て、3年生集合の上で、水野の話を伝達した。


 「学校外の手続きは、マイと柚月に任せた。それじゃぁ、こっちは駐車区画作っちゃうね。取り敢えず、1台分は縦5メートル、横2メートルでいいでしょ」


 結衣が言って、錆取り班の1、2年生を何人か連れて練習場にロープをもって向かっていった。

 その隙に、優子がこっちにやって来て言った。


 「仮ナンバーは、出張所で取れるよ。5日間まで借りられるから」


 優子が、何か言いたげだったので、私は言った。


 「優子、このシルビアの登録の時、優子にも来て貰うよ。そうすれば、GTSの登録の時の参考になるでしょ」

 「でも……」


 なおも優子が言うので


 「柚月、悠梨、なんか問題あるかなぁ?」


 と、敢えて訊いてみると、2人は


 「別に~」

 「無くね? それよりさ、みんなで手伝ったのに、いまだに登録しようとしない優子にムカつくんですけど~」


 と、それぞれ答えた。

 悠梨は、更に続けて言った。


 「言っとくけど、私は、優子の秘密主義のせいで、マイと柚月に、殺されるところだったんだからな~。そんな思いまでしてるのにさ、また放置とか、許さないよ!」


 悠梨は、冗談っぽい言い方だけど、結構マジで言っていて、目が全く笑っていなかった。

 それを見た優子は、下を向いて


 「ありがとう。助かるよ」


 と言うと、悠梨は、いつものへらっとした表情に戻って


 「感謝の気持ちは、現金にしてくれるとありがたいんだけどなぁ……」


 と、冗談を言っていた。

 悠梨と優子が持ち場に戻ると、私もブレーキオーバーホールへと合流した。

 もうさ、ブレーキのオーバーホールにも慣れちゃったよね。

 ついでにマスターもって流れも、この間から不変だし、もう、ブレーキオーバーホールなら任せて、って感じだよね~。

 そうそう、扱いは丁寧にね、ピストンに傷つけないようにしないと、全てがパーになっちゃうからね。

 ピストンを抜く時のエアは、均等に吹きつけないと、そこからエアが漏れて、他が飛び出してこなくなるからね。


 シルビアも、スカイラインと同じなのかと思ったら、リアブレーキが全く違うんだね。

 なに柚月、こっちは片押しキャリパーだって? なるほど、これは一般的な車の、ディスクブレーキなんだね。

 なるほどね、そこがシルビアとスカイラインの、性格の差なんだね。メカの細かいところにお金をかけるのか、内外装の豪華さや、使い易さにお金をかけるのか、でも、シルビアのでも充分に高性能だから、ケチったという言い方は正しくないって?

 より、本格的なのがスカイラインのだって事でしょ。


 折角だからパッドも替えたいな……と思ったら、水野が用意してたんだよね。

 どうしたの柚月、これって少しだけ、温度域の高いパッドだって?

 恐らく、この辺が山道だらけだから、純正や、それ相当だと、少し不安かな……と思ってチョイスしたんじゃないかって? そうなんだ。パッドにも性格分けがあるんだね。


 よし、終了だね。ネックになるブレーキフルードのエア抜きも、人数が多ければ、あっという間だもんね。

 凄いね、ブレーキのマスターと、キャリパーのオーバーホールが、放課後のわずかな時間に両方完了しちゃうなんてさ。


 1、2年生は、この作業初めてだったよね。どうだった?

 こんな重整備を、いきなりできるなんて思ってなかったって? でも、私なんか、4月に免許取って、初めて車の整備したけど、整備らしい整備って、そこの白いタイプMのキャリパーオーバーホールだったよ。オイル交換や、オーディオ交換よりも先に、ここから入ったからね。

 案外、みんなでやっていくと、上手くいくもんだからさ、これからも、どんどんやっていこうよ、ね。


 さあて、同乗教習は、悠梨に任せて、私と柚月は、部室で車庫証明の用紙を書いちゃおう。

 これって複写式になってるから、1番上の紙に、強めの筆圧で記入していくんだって。

 最初の欄は『車名』か、これを記述通りにすると、『ニッサン』って、書いてあるよ、シルビアじゃないの?

 

 「シルビアは『通称名』なんだよ~。だから車名は『ニッサン』なの~。ちなみにトヨタでも、マツダでも、ベンツでも同じだよ~」


 そうなのか、次に『型式』か。これも書き写せばいいから、『E-S14』か。


 「ちなみに、『E』は、昭和53年度排気ガス規制適合車の事で~、1977年から1998年くらいまでの車は、基本Eって書いてあるよ~」


 なるほどね。次は車体番号か、これも書き写していけば良いのね『S14-0※※※※※』っと。


 「車体番号の桁数も、メーカーによって違うよね~。ちなみにトヨタは7桁だよ~」


 次は車体の寸法を、センチ単位で書くのか。でもって、これも抹消謄本のやつを写せばいいだけだね。

 住所と所有者の名前は学校の方で書き込んであって、ハンコもついてあるから、あとは見取り図だね。

 なになに『略図には、インターネット地図等の写しを添付することも可です』だって。だったら、それでサクッとやっても良いし、そもそも、学校の場所って、略図って必要かなぁ? だってさ、学校の所有で、保管場所も学校なんだよ。 


 「自分の所有地の場合は、省略可だよ~」


 そうなのか、危うく引っかかるところだった。

 なに? よく読めだって? そもそも、そんな事、書いてないんだよ! 柚月のくせに、いちいちムカつくなー!

 大体、手が空いてるなら、柚月が、見取り図の方を書けばよかったじゃないか!


 そうだ、警察署の名前も書かなきゃならないのか、この辺って、何警察署の管轄なんだろう? ホラ、柚月、さっさと調べる。

 ……あぁ、やっぱりウチらの住んでるところと、同じ管轄の警察署なんだね。よし記入……っと。


 これで、明日は、自賠責を取りにディーラーに行くのと、車庫証明を出しに警察署に行って来よう。柚月、一緒に来て。

 1人で行けだって? 何言ってるのよ、渉外担当は、私と柚月なんだから、行くに決まってるでしょー。それとも、柚月、警察署に行ったら、何か困る事でもあるって訳? 無いでしょ。だったら行くのよ!


 部活が終わった後で、3年生だけで集合して、明日の内容を説明し、誰がS14の整備の監督に回るかを決めちゃおう。

 書類提出に関して説明をすると、すんなり了承を得られた……というか、誰も柚月の代わりに、警察署に一緒になんて行きたくないもんね。


 「マイ、むしろ、柚月を警察に渡して、帰ってきた方が良くない?」


 なんて結衣は言う始末だしね。

 よし、明日は第一の関門である、警察署への突撃だね。

 お読み頂きありがとうございます。


 『シルビアのキャリパーオーバーホールに慣れたい!』『登録までにどれだけの道のりがあるの?』など、少しでも気になりましたら【評価、ブックマーク】頂けますと、モチベーションアップに繋がります。よろしくお願いします。


 次回は

 舞華と柚月は、遂に警察署と役所を回ります。

 お楽しみに。

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