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人外が跋扈する世界においての出来事まとめ  作者: 頭の軽い奴
世界観説明のような何か
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お試し一話

 


 


  何でこうなった?この組み合わせは……いや、この出会いは本来あってはいけない筈なんだけど。何でかな~。封禍ちゃんの残していたお菓子食べた事かな?それとも意図せず起きた事かな?


  目が覚める。すると私は知らない場所にいて、天井には淡い電灯が光っていた。静寂の空間の中気配を見ると其処は六畳間の部屋という事が分かる。私ともう一人は座布団の上に卓袱台を挟んで座っている。卓袱台の上には和菓子と緑茶が置いてあり、もう一人は手を付けていたらしい。皿が空になっていた。

  その人は羽織袴姿の端正な顔立ちをした男性だった。羽織袴は黒で統一されているが、纏っている雰囲気は憂鬱気で厳格な印象を持たせない。彼は目を閉じてぼんやりと緑茶を飲んでいる。身長は男性の平均身長はあるらしく目を合わせ様とする為には少し顔を上げなければならなかった。

  知らない場所で目が覚め、雰囲気に呑まれていたが、正気に立ち直る。自分の姿と持ち物を確認すると、服装が和装に変わっていて持ち物も日本刀位しかなかった。髪は結ばれている訳ではなく、視界の端にちらついて見える。宵闇を思わせる色ですね、とは友達が言った言葉だ。日本刀は太刀と分類されるもので刃渡りは六十五センチメートル位らしい。刀の装飾は単純に黒で塗られた物な為、特殊な何かがある訳ではない。着ている服は満月の夜空を表した浴衣だった。私好みではあるのだが、この事で語る友達がいないため少々テンションが上がらない。


  私は暫くそのように観察していると、緑茶を飲んでいた男性は私の方を向いた。其処で彼の瞳の色がはっきりと分かる。その目は髪の色と同じ暁闇で。それは私と繋がりがあると実感させるような澄んだ色をしていた。その事に気付いてしまった私は内心ため息を溢す。男性は徐に口を開く。

「はあ、お前は何時まで俺を見ている気だ?」

  その声は其処まで大きくないにも関わらず、良く響いていた。彼は何処か焦点の合わない目で私を見つめてくる。何時までも見ていても何も分からない事が分かったため答えを返す。

「いや、大丈夫だよ。ほら、貴方が敵かも知れないでしょ?」

「ふうん。で、分かったのか?」

  私が言った台詞が何かに触れたのだろうか。彼は緑茶を飲む手を止める。彼の目や雰囲気が変わっている訳ではない。だけれどもその言葉は先を促すものだった。

「いいや、分からなかった。当然だね、だって初めてあったのだから見ても分からない。ただ」

  其処で一端間を開ける。敵か味方かは分からない。けれど、その目の混じり気のない色を見て確信出来る事がある。それは普段の自分だったら言わない事で。質問に対する答え方ではなかったというのはうっすらと気付いていた。

「貴方、ズレているね?それもかなり」

  そのズレは世界や次元の法則に囚われていないという指標になる。ズレの少ない者は大きなズレを持っている人に引き摺られ、ズレが段々大きくなっていく。ズレを無くすには主に転生をすれば消える。しかしズレが大きくなりすぎてしまうと、その無くす方法すら意味はない。大きいズレを持っている者ほど命という概念が希薄になっていく。

  彼はその台詞に対し何も反応をしない。沈黙は肯定、という事だろう。普段なら私は表情とかを見たりする事はない。だけれど、彼のズレは私と似ていた。殆ど同じと言って良いくらいに。

「まあ、ズレ方が私と似ていても関係があるとは言わないけど。そんな事より、貴方此処が何処か分かる?」

  聞いた時に少しばかり間があったが、知らないと返ってきた。此処が何処か知っていると思っていた私は驚く。

  まさか何処とも知れない場所で寛いでいるとは思わなかったから。普通なら知らない場所に居たら其処にある食べ物には毒が入っているかも知れないと警戒するから。彼は自分の命をどう思っているのかな。私といえど知らない人は警戒する。その警戒心の無さは得体の知れないものでしかない。

  だからこそ、興味が湧く。普段は知りませんでした、で終わらせるけれども分からない事を知るのは面白いから。すぐ忘れるけれど。

  しかし、質問をする前に眠気が襲ってくる。それはこの夢が終わり現実に戻るという合図だった。その眠気に抗い、言葉をかける。

「貴方、名前は?私は陽月白夜(ようつき はくや)

夕月白夜(ゆうつき はくや)

 答えが返ってきた後すぐに意識がなくなる。


  そして、自分の部屋で目を覚まし、寝惚けている頭で先程の夢を思い出す。私は何かの予感があった。またすぐに会う事になる、と。



  目覚めて暫くすると、誰かが部屋を開けて入ってくる。何時ものパターンからすると、封禍ちゃんだろう。時間は午前六時半、私は普段封禍ちゃんに起こされなければ起きないからね。起きているのは驚く事だろうけど、何でそんな鳩が豆鉄砲食らった様な顔してるの。

「封禍ちゃん?驚き過ぎじゃないかな、少し早く起きた位で」

  声を聞いて我にかえったのだろう、封禍ちゃんは溜息を吐いて私の方に近づいてくる。この部屋は家具を最低限にしか置いてない為、歩みを止めるものはない。そう、例え相手がナイフを持っていようと。

ペーパーナイフといえど、刺さる為、慌てて私は封禍ちゃんに声をかける。この部屋は入り口が一つしかないし、窓はすぐそこに有るが、態々三階から降りたくはない。

「いやいや、ちょっと待って!なに、急にどうしたの!?」

  そう言うと、封禍ちゃんは光の入っていない目を私に向けてくる。封禍ちゃんの目は桜色で澄んでいる、何時もなら。こんな時は、大概封禍ちゃんには予測がつかない事があった時と知ってはいる。でも、それは封禍ちゃんしか知らない事で、他の人からすればとばっちりでしかない。

「貴方、今日何日だと思いますか」

「え?え~と確か、十月の二十四日」

  日付を気にして生活してない為、戸惑いながら答える。だけれど会話を挟んだお陰か少し落ち着いたらしく、ペーパーナイフをしまう。あのペーパーナイフ、私が起きた時の事を考えて常備していたのだろう。封禍ちゃんはペーパーナイフの概念をズレさせて強化しているから。安堵しながら私は封禍ちゃんに質問をする。

「何かあったの?」

「あったから、あの行動にでたんですが」

「封禍ちゃんがどんな時にどういう行動をするか何て知る訳がないでしょ?」

  溜息を吐いて閉口する封禍ちゃん。この問答は殆ど毎回行われている。封禍ちゃんは横に落ちてきた髪を耳にかけた。多分溜息を吐いて下を向いた時に落ちたのだろう。封禍ちゃんは瞳と同じ桜色の髪を胸の所まで伸ばしている。先が内側に跳ねている為、実際はもう少し長そうだけれど。私は普段後ろで結んでいるから落ちてこないし。

  その様に少し関係のない事を考えていた私は封禍ちゃんが言った言葉に驚いた。

「もう十一月入ってるんですが。今日十一月二日ですよ」

  私は普通にベッドに入って寝ただけなんだけど。何でそんなに日付が過ぎているのかな。確かに夢は見ていたけれども。彼処には精々一時間位しか居なかった。何で一週間以上経っているのかな。時間の流れが違うにも程がある。

「ごめんね。夢を見ていた様なんだけどもどうしてこんなに違うのか知っている訳ではないんだよねえ」

「何の夢だったんですか、覚えているんですよね?」

  あ、やばい。失敗したな。これは話さなきゃいけない流れじゃないかなあ。言いたくない、というか何も分かっていないのに混乱させる訳にはいかないし。何より自分が、今何を考えているのかが分からない。なんか逸れている気がする。

  何の夢だったかだよね、確か。彼処は、というかあの人物は何を考えていたのやら。夢は潜在意識とか言うような説もあった気がする。あの人物は夕月白夜と名乗っていたかな。名前が同じというのは偶然と言いたいけれど、案外あり得るんだよね。実は性別違うだけの同個体とかいう場合とかね。

「白夜?貴女何時まで考えている気ですか。思い出せないなら早く朝ご飯食べませんか」

  急に封禍ちゃんの声が耳に入った事で驚いて我にかえる。そして、今まで考えていた事を忘れて彼女に付いていく。封禍ちゃんの料理は冷めていても美味しいからね。

 

  封禍ちゃんは、珍しくフレンチトーストという選択をしていたらしい。冷めても美味しいけれどなんで個数系にしたのかな。量系にすれば調節はききやすいと思うのだけれど。料理を作れる訳ではないから何も言えない。

  朝食を食べ終え、着替える。着替えると言っても動きやすい服としか考えていないけれども。着替え様としたが、いきなり扉が開く。封禍ちゃんが其処にはいた。封禍ちゃん以外いないと分かってはいる。溜息をして私に言う。

「白夜、私はさっき公共機関に呼び出しを受けているからスーツでと言ったんですが」

 ああ、そう言えばそうだったような。つい流して聞いてた。教えてくれた封禍ちゃんは有難いけど普通女性同士とはいえ部屋に入るかな、普通。

  スーツに着替えて、媒体である刀を顕現できるか確かめた後家を出る。

  媒体と私達が呼ぶ物は所謂、発動補助装置である。原理としてはただの自己暗示なんだけどね。封禍ちゃんのペーパーナイフとかも媒体なんだよねえ、殆ど使われた事ないけど。


  【異能力対策?機関】通称『公共機関』。目的は能力を使う犯罪者を捕らえる、という物だ。単純明快な目的だが、内部では分裂が激しい。まず、大まかに治安維持、情報操作、医療の三つに分かれている。その中でも細かく分かれていて、所によっては内容が重複している。犯罪者の殺害は絶対や非推奨などバラバラである為、チームを組んでその中で統一というのが一般的である。当然の様に足の引っ張り合いが起きる殺伐とした機関だが人気職な為、希望する者が絶えない。定年を迎えられない者も多いが。



  公共機関に属する私達は待ち合わせ場所と指定された喫茶店『******』に行く。何語だろうこれ、読めないんだけど。



  ここは喫茶店[******]。何語なのか店名が読めない事で有名な喫茶店である。『公共機関』所属のグループ結成の場所としても有名で、たまに犯罪者が訪れる事もある。被害にあったと聞いた事は一度もないが。

  そんな喫茶店に私達は訪れていた。今回封禍ちゃんが持ってきた依頼は『公共機関』からの呼び出しを受ける程だったらしい。気乗りしないが断る訳にもいかないので盛大に溜息を吐く。

「封禍ちゃん、なんでそんな依頼うけたの?」

「報酬がいいという事と貴女ならこの条件にはまるので囮としてできるからですが」

  封禍ちゃんは一週間位寝続けていた事がかなり根に持っている様でそんな事を言う。騒がしい店内で愚痴を言いながら『公共機関』の人物を待っていると、入り口の扉が開いて清涼な鈴の音が聞こえる。今まで他の客も沢山いて騒がしく、聞こえていなかった音が。静寂に包まれる店内は初めて見た。驚きつつ、入り口を見る。そこにはカジュアルな和服を着た男女がいた。

「へえ、こんな状態の店内は初めてだなあ」

「白夜、もう少し空気を読んで発言してくれませんか。ちなみに、あちらの女性の方は貴女が寝ている間に隣の家に引っ越してきた人なので顔を合わせる機会は多いと思いますよ」

「隣に家なんてあったっけ?」

 私の質問に封禍ちゃんは答えない。という事は単に私が覚えていないだけだろう。それにしても、隣ねえ。女性の方は知らないけれど、男性の方は見たことあるんだよね。夢の中で。隣に引っ越してきた事と夢の事が関係ないとは言い切れない。というか関係ないという事はないだろう。

  暫く見ていたが、向こうも気付いた様で私達が座る机に相席を求めてくる。四人席だったため封禍ちゃんが許可を出すと男性が私の正面に、女性が封禍ちゃんの正面に座る。夢の中で見た印象と変わらず憂鬱気な雰囲気を纏っているが、女性の方もかなりズレている事が瞳の色を見るだけで伝わる。女性は冬の澄んだ晴天の日の空を思わせる色をしていた。

  封禍ちゃんは女性が座ったのを確認してから話し掛ける。女性は封禍ちゃんの事を知っていたらしく明るい笑みを浮かべていた。

「こんにちは。お久しぶりです」

「あ。お久しぶりです、確か引っ越してきた時に道に迷っていた私を案内してくれた方ですよね。今回の依頼を手伝わせて貰っていいんですか?」

「ええ、戦力はいるんですが普段使えないので私以外にサポートが欲しかったというのが理由です」

「丁度良いですね。依頼をやらなければいけないのですが、戦力がいなかったので。初の依頼なので緊張しますが」

 さくさくと会話を進めていく二人。自己紹介をせずに進めていくが、男性は発言をせずぼんやりと見ているだけの様だ。多分『公共機関』からの呼び出しというのは単にこの顔合わせのためだったというのが正解だと思われる。暫くすると落ち着いたのだろう。女性が纏う花弁の舞い方が落ち着き見えなくなる。封禍ちゃんは気にせず放置しているようだが、ズレが可視化される程、警戒していたのだろう。

「では、自己紹介でもしますか。私は秘宮封禍(ひめみや ふうか)です。医療に属してますが能力は封印に偏っているので致命的な物は負わないで下さいね」

 自己紹介なら私もしなきゃなあ。別に名前を言う事に忌避感はないけどさ。遊んでいいかな、多分この人たちはズレ方が酷いから遊んでも良いとは思うんだけど。壊れないでね、封禍ちゃんは、まあごめんね。

「で、次は私かな?私は陽月白夜(ようつき はくや)。治安維持に属しているけど、まあ殺せないから役にたっている訳じゃないかな。能力に関してはざっくり言うならエネルギーの吸収だね。これからよろしく」


  その時起きた現象は、その場にいる誰もが予測をしていなかった事だった。白夜が起こした事は所謂ズレを利用した威圧だった。ただの威圧であり、物理現象を起こす事はない。その威圧に女性と封禍は一瞬呑まれる。男性は呑まれている訳ではなかったが懐中時計をおもむろに取り出し蓋をあける。男性の能力は世界からの排斥だ。だが男性にとっての誤算は集まっていた全員のズレが大きい事だったのだろう。だから、他に何か起こる余裕もなく排斥が行われた。誰も思っていた訳ではなかったのだ、世界からの排斥が行われるなど。

  排斥された先は十畳間の和室という事が分かる。


  この現象の事を知っていた女性は男性を問い詰め、封禍ちゃんは私を睨み付けてくる。男性は焦っているような感じではなく、雰囲気に揺らぎはない。

「白夜さんっ、なんで排斥が成立しているんですか!」

「単純にそいつらもズレが大きかっただけだろ。こんな事になったが自己紹介といこうか。夕月白夜(ゆうつき はくや)だ。能力は体感しているだろうが世界からの排斥。時のズレを利用しているからそちらの干渉には弱いがな」

 問い詰める女性の事にほとんど取り合わず自己紹介をしてくる夕月白夜。長いから夕月と呼ぼう。名前が同じ事には驚くが、ないとは言わない。ただ呼び分けるのに周りが苦労しそうだけど。排斥、ねえ。これ戻れるな、断定できる。ズレの大きい人物にはほとんど意味をなさないね。

  夕月が自己紹介をした事で自分が自己紹介をしていない事に気が付いたのだろう、咳払いをして私達に向き直る。

「私は花柳風音(はなやぎ かざね)といいます。夕月白夜の事は白夜さんと呼んでいるので一応区別はつけられると思います。能力は解除できないので、伝えておきます。良いことは邪魔が入りやすい、という感じです。なので言っては悪いですが、私がいると他の人に迷惑がかかるんですよね」

 だけれど、その証拠もないな。入りやすいであって、絶対じゃないから。という事は、あのときのは警戒じゃなくて緊張かな。多分能力を言って断られたのだろう。というか封禍ちゃんは何をしているのかな。全然喋らないんだけど。


  そのとき、バリバリと何かが破けるような音が聞こえてくる。その場所には封禍ちゃんが立っていてペーパーナイフを振りきっていた。その先は空間が裂けていて私達の家が見える。咄嗟に封禍ちゃんに声をかける。行動の説明がなかったし、彼女の目は嫌いな物を見たかのように冷めていからね。

「封禍ちゃん、なにやってるの?それ封印を解除する時の手口だよね」

「なに言ってるんですか?解除しただけですよ、閉じて封をしている事にかわりはないですから」

「ああ、幻想も閉じられていれば世界に属さないからか」

「いやいや、白夜さん。納得していないで下さいよ」

 あ、このメンバーツッコミがいないのか。多分話が変わっていくタイプで止まらないね。普段封禍ちゃんが止めるけど、今回引き起こしたのは彼女だし。幻想を嫌い過ぎじゃないかな、いつの間に気付いていたのやら。



  その後、封禍が破った亀裂から元の世界に戻り、風音の家に集まる。風音の家は和風の造りで、仕切りが少ない。中庭に置いてある池を見ながら縁側に座って白夜と風音は会談をする。

「あれ?じゃあ風音と夕月は一緒に住んでるの?」

「ええ、そうなんですよ。放置してるといつの間にか死んでそうで」

 楽しそうに話している二人を封禍が住んでいる家の屋根の上から見ている夕月と封禍。封禍と白夜もまた同じ家に住んでいる。白夜が家事をできず封禍に毎日泣きついてきたから、封禍が呆れて居候しているというのが理由だが。そのため、立場が白夜の方が圧倒的に弱い。

  閑話休題。

  夕月と封禍は一緒にいるが他の二人のような和気あいあいとした雰囲気はない。夕月はいつも通りにぼんやりと屋根の上に座っているが、封禍はペーパーナイフを夕月の首筋に突きつけていた。

「で、貴方達は何者ですか?」

「別に何者でもいいだろ。それだけなら風音に聞け、あいつは別に隠しもしていない」

  それだけなら封禍も風音に聞いていた。だから封禍が知りたいのは別にあった。封禍は単にタイミングを逃して言えなかっただけかも知れないが、ある確信があった。

「貴方、白夜と接触していませんか?夢の中で」

「それを聞いてどうする気だ?確かに接触はしていたがあれは偶然だぞ」

  封禍の方に目だけを向け言う。封禍はこの場所の雰囲気が段々ズレていくのを感じる。だから気付いてしまう、これは白夜と同じで知っていて遊んでいるという事に。流れを夕月にとられた封禍はペーパーナイフをしまい、溜息を吐く。

「はあ、知っていて遊ぶ人が多くて困るんですが。知らない振りをしているのが一人、知って放置しているのが一人、ルールを定めるのが一人。最後は全てを知らない癖に大きく巻き込まれない不確定要素ですか。なんでこんなに遊びを作りづらい人が揃っているんですかね」

  そう、封禍のこの台詞がこのメンバーの事を表している。

  白夜は知っているが口には出さない。全て知らなかったふりをする。たまに本当に気付いていない時もあるが大概は気付いている。そしてある程度までしか本気を出さない。殺せないというのは確かだが、傷つける事はできるしそれが原因で自殺する事は殺した事にはならないとは本人談。

  夕月は知っていて放置する。誰が危険になろうと、それが自分自身だろうとも。戦闘はできないが案外狙われるため護衛が必要になる。能力は強いが、それ以上にその代償が大きいため使用を控えるべきものである。だが、本人は躊躇う事なく使用していくために周りが困る。

  風音は何も知らず、気付かない。そういう意味では白夜と逆である。そして夕月の能力を止める役割もあるが、能力が全てを台無しにする。気づかなくていいことに気づき、余計な事をする。計画を崩す可能性が一番高い人物。とにかく能力が人迷惑。

  封禍は計画をする方なため、他の人物とは少し系統が違う。そして計画をたてて実行しても途中までは上手くいく。だが段々予定と変わっていく、そして最終的には全く別の物に変わっている。最後まで知っている訳ではないからそうなるのだが、わざとそのように計画しているともいう。

多分続かない

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