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第3話 兄を待つ弟 ④前へ
弟は星を開いた。
淡い光が夜空へ広がる。
その中に、兄の姿が映った。
少し照れくさそうに笑っている。
『お前さ』
兄は頭をかきながら言う。
『約束したろ』
『強くなるって』
弟の肩が震えた。
兄は続ける。
『だからもう泣くな』
『俺は大丈夫だ』
弟は唇を噛んだ。
もう返事はできなかった。
その言葉に、堪えていたものが溢れた。
涙が止まらない。
それでも弟は笑った。
「兄ちゃんもな」
夜空の向こうで。
兄が少し驚いたような顔をする。
そして困ったように笑った。
光が少しずつ薄れていく。
最後に兄は振り返った。
『じゃあな』
『行ってくる』
弟は涙を拭った。
そして大きく息を吸う。
「行ってこい」
声が震える。
それでも、ちゃんと前を向いていた。
「前へ」
夜空の星がひとつだけ、いつもより明るく瞬いた。
「ルナ。ガキって言って、ごめんな。」
「えへへ。もう気にしてないよ」
メルトは静かに帽子を被り直した。
届けるのは、言葉だけではない。
人は、想いを届け終えた時、少しだけ前へ進める。
読んでいただき、ありがとうございます。
第4章①は、8月10日 10時10分より配信いたします。
第5章①は、8月11日 10時10分より配信いたします。
どうぞお楽しみに




