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星を運ぶ郵便屋  作者: 2番目のインク


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第1話 運びの仕事 ①出会い

「ここは未来なのか、過去なのか。


僕にはわからない。


ただ一つ分かるのは、ここが地球という星だということ。


そして僕は、この星で唯一の星運びとよばれる郵便屋をやっている。


名はメルト。


ただのメルト。


それ以上でも、それ以下でもない。


誰が名をつけてくれたのか、覚えていない。


覚えていないが、そういうものだと生きてきた。」


窓の外では風鈴が揺れていた。


店の前には赤い軽自動車が停まっている。


年季の入った車だが、まだまだ現役だ。


紺色の制服の袖口を整える。


どこから見ても郵便配達員の格好だ。


胸には『MELT』と書かれた名札。


頭には制帽。


ただし、届ける相手だけが少し違う。


「普通の郵便屋ではないけれど。」


僕の店に手紙は届かない。


荷物も来ない。


僕が届けるのは――


想いだ。


届けられなかった願い。


伝えられなかった言葉。


会えなくなった誰かへの気持ち。


それらは、人の中で小さな星になる。


だから普通の人は、この郵便屋に辿り着けない。


本当に届けたい想いを抱えた人だけが、ここへ来る。


その日は、少し変わったお客さんがやって来た。


カラーン。


扉についた鈴が鳴る。


入ってきたのは、一人の少女だった。


年の頃は十歳くらい。


少し大きめの白いワンピースを着ている。


肩まで伸びた髪はところどころ跳ねていて、長い旅をしてきたようにも見えた。


ただ妙だった。


靴を履いていない。


小さな両手で何かを抱えていた。


少女は入口に掲げてある看板の箇条書きに気づき読んでいた。


☆願い配達所~Message Express Link Terminal

~~~~~~~~~~~~~~~☆

配達を承る前に、ご確認ください。


① 名を名乗ること

② 願いを語ること

③ 後悔をごまかさないこと


ご理解いただけましたら、ご入店ください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~☆


箇条書きを読んでる途中で少女は困った顔になったが、


抱えた荷物をぎゅっと抱きしめて、意を決したように入店してきた。


「こ、こんにちは…」


そしてメルトを見た。


「いらっしゃいませ。」


少女が一礼し、少女は泣きそうな顔で言った。


「すいません……郵便屋さん」


「ご依頼ですか?」


少女はこくりと頷いた。


胸に抱えていた欠けた星を差し出す。


「私、届けたいものがあるんです」


「承ります。ではお名前を」


少女の表情が曇る。


「……それが」


「?」


「私、自分の名前がわからないのです」

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