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夕張。ようやく目的地にたどり着いた。
今日はもう遅いのでホテルに泊まるということになった。政府に仲介してもらっているので無料だ。
「いやー、ただなんてお得だね。晩御飯も食べ放題だよ、孝ちゃん。」
「そうか。俺はいいや、パス。お前だけ食って来いよ。」
「あー、孝ちゃんお昼にあんなに食べるからだよ。」
「お前のせいだろ。」
あんなに大盛りで食いきれるわけがない。まあ、確かに美味かったが。
「じゃあまた明日な。どうせ起きないだろうから起こしてやるよ。」
「うん、バイビー。」
長旅の疲れを癒すようにビールで晩酌していると、部屋の扉がノックされた。
一体誰だ。この階に他の人間はいないから間違いということもないし、樹里なら黙って入ってくる。
ドアを開けるとそこにはピンク色の髪をした美しい女性が立っていた。巨乳だ。
「はじめまして。岩崎さん……でよろしかったでしょうか。」
「え、はい。そうです。」
「ああ、良かった。私、鷹野小石といいますわ。明日ご一緒させてもらうノスになりますわ。よろしくお願いしますわ。」
「そうですか。岩崎孝一です。こちらこそよろしくお願いします。」
随分礼儀正しい人だ。事前に他のノス能力者と組むことが分かっていたことは何度かある。だがこういう風に向こうから挨拶に来たのは初めてだ。この乳……いや、この人となら仲良くできるかもしれない。
「もし良かったら少しお話しませんか?お食事がまだでしたらご一緒に……。」
「あ……ごめんなさい。今日はご挨拶だけにさせていただきますわ。」
「そうですか。いえ、お気になさらないでください。明日はよろしくお願いします。」
「はい。よろしくお願いしますわ。」
にこりと笑う。う、美しい……。
「孝ちゃーーーん!ここスゲーよ!メロン食い放題!オレンジのやつ!!」
やかましいのが来た。
「あら……?あちらは?」
「ああ、本間樹里。もう一人のノス能力者だ。聞いてないか?」
「ああ……あちらが。」
音も無く樹里に近寄る小石さん。
「はじめまして、樹里ちゃん。私、鷹野小石といいますわ。明日ご一緒させていただくノスです。」
「え?うん。よろしく。ねえ、あんたちょっと近くない?」
「そうですかしら?それよりこの後お時間ありますかしら?お話させていただきたいですわ。お話させていただきたいですわ。」
何故2回言う。
「どうかしら一緒にご飯なんか。もう食べてきたのかしら?それならお酒でもどうかしら?そのあと一緒に……グフフ……。」
「い、いやーーー!!孝ちゃん!こいつなんか変!!」
「あらあら、そんなに嫌がらないでくださいまし。グフフ。」
「いーーーーーーやーーーーーーーーーーー!!!!!」
叫びながら逃げ去る樹里と追いかける小石さん。なんだったんだ。
ため息をついて部屋に戻ると電話が鳴っている。
「もしもし、岩崎様ですか?」
「あ、藤原さん。こんな時間にどうしたんですか?」
「はい。今回のお仕事の前に3名のノス能力者が事にあたり、そのうち2名が帰らなかったということはお話しましたね。」
「ええ、伺ってます。」
こういう仕事は以前にもあった。他のノス能力者がミスした仕事を回されるということは。
だがそれは大体仲間割れであったり、あるいは実力が足りなかったりということが原因で、殊更ラダムが強いということはなかった。
「それでですね、生き残った方のことを少し調べたんです。すると、その方はこれまでにも何度か似たような状況になっているということが分かったのです。」
「似たような状況?」
「つまり、複数人でお仕事をしていただき、その方だけ生き残るという状況です。私が調べただけで3例ありました。」
「そうか。それはつまり……。」
彼女に何か原因があると。
「それ以上私から申し上げることはできません。」
「そうか。そうだよな。分かった。」
「それから、申し訳ありませんでした。このような事はお仕事を依頼する段階で申し上げるべきことでした。」
「いや、いいんです。むしろわざわざ調べていただきありがとうございました。」
「……そういっていただけると助かります。お気をつけて。」




