第7話
夕食が終わり、何気なくテレビを眺める。
「あら、この俳優さん⋯澪、好きだったわよね?」
「えっ⋯?あ⋯うん⋯」
「どうした?今は好きじゃないのか?」
「いや⋯好き、だよ⋯たぶん⋯」
「⋯?たぶん?」
「⋯よく、わからなくて⋯」
心配そうに見つめてくる両親に、曖昧な笑みを浮かべる。
「⋯最近、自分がわからなくて⋯」
言葉を探しながら、ゆっくりと呟く。
「⋯過去の事とか⋯好きなものとか⋯」
口にすると、段々と自分が情けなく思えてくる。
「っ⋯変、だよね⋯」
思わず涙がこぼれそうになり、慌てて俯き目を閉じる。
「⋯澪、自分を見失うのは辛いよな⋯」
「そうね⋯自分がわからないって不安よね⋯」
お父さんとお母さんの優しい声に、涙が溢れ出す。
「っ⋯」
「でもね、澪⋯好きなものがわからなくても、幸せになれるから⋯」
「そうだな⋯今は、受け入れられないだろうけど⋯」
「っ⋯幸せに⋯なれるのかな⋯?」
「なれるに決まってるだろ⋯澪は、優しい子なんだから⋯」
「そうよ⋯それに、幸せって自分が決める事だもの⋯」
「っ⋯自分が決める⋯?」
「ええ⋯私は、人から見て幸せかどうかより⋯自分が幸せだと思えるかどうか、それが大事だと思うわ⋯」
「だから、今すぐは無理でも⋯自分を受け入れたら、幸せになれるんだ⋯」
「っ⋯」
声にならず、黙って頷く。
ずっと不安だったものが、少しだけ軽くなった気がした⋯




