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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第1章:Fランク冒険者誕生!幼馴染とのお手伝いクエスト

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第1話 4歳児の決断とファイアーボール

4歳のアルトは森の中を走っていた。後方からは3匹のフォレストウルフ。

アルトは年齢のわりに足は速い。しかし、所詮は4歳児。すぐに追いつかれてしまう。

その瞬間、アルトは振り返ることも無く、スッと方向を変え、2本の木の間を抜ける。

木々がフォレストウルフと自分の間に常にあるように、器用に攻撃を避け続ける。

時には蔦や苔を天然のトラップとして使用する。

フォレストウルフが蔦に絡まるように上手く誘導しながら、攻撃を避ける。滑りやすい苔の間を蛇行しながら走り抜ける。フォレストウルフは何度も蔦に絡まり、さらには転びながら、それでも、アルトを追ってきた。


森には慣れている。けれど、アルトはエルフなどの特殊な種族ではない。特別な才能を持たない普通の人間の子供である。

ただし、1歳になるよりも以前から、冒険者の父に背負われ、この森で過ごしてきた。

フォレストウルフと対峙するのも、すでに1000回を超えている。

ただし、これまではいつも父と一緒だった。


「このまま村まで逃げようかなぁ……」

逃げきれるという自信はある。

しかし……

「勝手に森に入ったのが、父ちゃんにバレる……」

村が近づくにつれ、アルトは憂鬱になる。


もちろん、戦うことも考えた。アルトが使える唯一の魔法。ファイアーボール。フォレストウルフなんて一撃で仕留められるし、これまでに数百匹は仕留めてきた。

試しに振り返り、手に魔力を溜め……と、ここで、フォレストウルフは飛び掛かってくる。

危うく手を食いちぎられるところであった。

仕方なしに再度、逃げ始める。

アルトは逃げ続けた。父はいつも慎重だった。勝てるかどうか分からないような戦い方は決してしなかった。一か八かでファイアーボールで戦うなんてもってのほかだ。

幼い頭であれこれと考える。


フォレストウルフが飽きるまで走り続けようかな。

お腹が減って追いかけてきてるんだったら、飽きないよね。


そのうち疲れて諦めるんじゃないかな。

僕も疲れてきたよー。


誰も見てなさそうなところから村に侵入すればなんとかなるかな。

村の人が襲われちゃうなぁ。


戦うしかないかなぁ。それなら……。


手に魔力を溜め、フォレストウルフの方を向いて、後ろ向きに逃げるとか……。

多分追いつかれるよね。


手に魔力を溜めてから振り返るんだったらいけるかな……。

いけるかな……無理かな……絶対に勝てるとは言えないよね……。


きっともっと素早く魔法を使わないと……。


ぁ、そうか!


アルトは逃げながら、肩甲骨のあたりに魔力を溜め始めた。

初めての試みだったけれど、普通に手で魔法を使う時と同じ要領だ。問題はない。

そして、歩を緩める。

追いつけると確信したフォレストウルフは首を狙い、飛び掛かる。


「ファイアーボール!」


見事に命中し、一瞬のうちにフォレストウルフの1匹は炎に包まれ、絶命した。


まだ二匹残っている。

しかし、アルトにはすでに余裕が生まれていた。もはや負ける可能性はない。

再度逃げながら、じっくりともっと気の利いた魔法の使い方について色々と考える。

そして、アルトはニヤッと笑い、尻に魔力を溜め始める。肛門に熱を感じる。ここだというタイミングで、ズボンを下ろす。

飛び掛かってきたフォレストウルフに向かって尻を突き出す。


「ファイアーボール!」


ぷぅ、という効果音、そして香ばしい悪臭とともに飛び出したファイアーボールは1匹のフォレストウルフを焼いた。

2匹がやられたショックであろうか、それとも匂いのせいであろうか。残りの1匹は急停止し、慌てた声を上げ、逃げ去ろうとする。

両方の前足で、交互に顔のあたりを擦りながら、何度も転倒している。匂いのせいだったようだ。しまいには大きな木に激突し、気を失った。


アルトは右手を上げる。


最後は魔法の名称も発することなく、完全なる無詠唱でファイアーボールを発動させる。

手から飛び出した火の塊が、気絶しているフォレストウルフにまっすぐ飛んでいく。少し距離はあったが、動かない魔物なんて狙いを外す訳もない。最後のフォレストウルフを仕留めた。


意気揚々とズボンを履いたところで、アルトは違和感に気付く。


「ぁ……」


魔力を溜めるという行為は人体に影響を与える。このため、多くの魔力を必要とする高位の魔術師は杖などを利用する。低位の魔術師でも通常は指や手のひらなど、空気中に触れる面積が大きい部位を使用する。もちろん、これは人体の中でもっとも器用で、狙いを定めやすいという理由もあるのだが。

尻の穴に溜められた魔力は盛大に肛門を開いた。結果、アルトは下着を派手に汚すこととなる。


「これ、父ちゃんに怒られるやつだ……」


立ち尽くす。肛門がヒリヒリとする。アルトは、今後、おしりからは決して魔法は出さないとひそかに誓う。


ズボンを脱ぎ、フルちんでトボトボと村を目指す。そこで思い至る。川まで下りて、下着を洗って帰ればきっとバレない!


気を取り直し、アルトはまた元気いっぱいに川へ向かって駆け出していく。


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