表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力過多令嬢シュリアは今日も話したがる  作者: 立食


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/2

第1話:入学式

ゆるゆると更新予定。

どうぞよろしくお願いします〜!


「ついにこの日がきた…!」



 ここは魔法と科学が織りなす帝国・ルミナント。

その帝都アステラギアに位置するこの国唯一の帝立魔法教育機関───『アステラギア学園』は本日入学式を迎えていた。


 その学園の規模を物語るように大きな正門の前、目を輝かせる少女がひとり。彼女の名前をシュリア・ラヴェンストと言った。魔物から国を守る砦として代々<魔物の森>を管理する名門・ラヴェンスト辺境伯家のご子女である。


 しかし今の彼女にはそんな高位貴族の威厳などなく、夢見る乙女のような純粋さが顔を滲ませている。それもそのはず、彼女は帝都での生活を心待ちにしていた。それはやっと正式に魔法を学べるからというのもあるが、一番の理由は「様々な種族が行き交う帝都でたくさんの人々と"お話"がしたい!」という欲望であった。


彼女は三度の飯よりおしゃべりが大好きな人間なのである。


「これから楽しみだなあ〜!! ね、カイル?」

「そうだな。」


 興奮気味のシュリアに話しかけられた男はカイル・ブレイス子爵令息だ。二人の家は隣領であり、身分差はあるものの昔から家門同士の交流が深かった。ラヴェンスト家がそういったことを気にしない質であることも大きい。

 彼らは元より仲の良い幼馴染であったが、二人の中等学校がシュリアの領にあったため、彼女の提案でカイルがラヴェンスト家から学校に通うことになってからはもはや家族のような関係になっている。今回も帝都暮らしを始めるにあたりラヴェンスト家の別邸に一緒に住む予定だ。


「あっルミエラ!おはよう、昨日ぶり!」

「おはようシュリア、朝から元気ね。カイルもおはよう」

「ん、おはよう。」

「よかったわね、私達みんな同じクラスみたいよ。」

「えっほんと?!」


 校内に足を踏み入れ、シュリアは人だかりのなかから親友を見つける。彼女の名前は ルミエラ・セレスティア。皇族とも繋がりの深い由緒正しき家門である公爵家のご令嬢だ。

 二人はシュリアがとあるお茶会に参加したい時に出会い、以降定期的に連絡を取り合う仲となった。シュリアを介してカイルもルミエラと話すようになり、こちらも身分を超えた友人である。


 ルミエラの言葉に掲示板を見れば、A組のところに三人の名前を見つけシュリアはますます笑みを深める。


「やった〜!!もっと学園生活が楽しみになったよ!たくさん思い出つくろうね!!」

「ふふ、そうね。」

「ああ。」


 ギュッと抱きついてきたシュリアを二人が慣れた様子で受け止め、笑いあう。なんとも微笑ましい一幕であった。






「そういえばルミエラこのあと代表挨拶あるんだっけ?凄いなぁ、頑張ってね!」

「頑張れ。」

「ええ、ありがとう。」

「それにしても、ルミエラと同じ学校に通えるなんてほんと夢みたいだよ。」

「これまではほとんどマジチャでしかやりとりできなかったものね。」

「そうそう、パーティとかもあまり参加できなかったからさ〜。街で流行ってるカフェの話聞いた時なんてもう一緒に行きたくて仕方なかったんだから!」

「『私も食べた〜い!!!!』って地団駄踏んでたもんな。」

「ふふ、じゃあ今度の休日は帝都を散策しましょうか。おすすめの店も紹介するわ。」

「わ〜いよろしく!!」


 式の行われる大講堂へと向かいながら三人が話に花を咲かせていると、何だかやけに視線を感じることにシュリアは気付いた。不思議に思いチラリと周囲を伺えば、至るところでヒソヒソと噂されているような雰囲気を感じ取り、シュリアは首を傾げる。


「……ところでさ、さっきからチラチラ見られてる気がするんだけど二人とも何かした?」

「いや、多分原因はお前だぞ。」

「え?」

「そりゃあ昨日、あんな騒ぎを起こしちゃあねえ…」

「うぐっ!」


 まさかの原因が自分であることを示唆されシュリアは喉を詰まらせた。身に覚えがありすぎる話に慌てて弁解をする。


「待って違うんだっ、あれは仕方なく…っ!だってあの石壊したくなかったんだよ〜〜っっ!!! 」

「普通はそんな心配する必要ないのよ。」

「うぅ…困ったな、もしかして怖がられてる?このせいでみんなと仲良くなれなかったらどうしよう…」

「貴女に限ってそんなことにはならないから大丈夫よ。」

「そうそう、気にするなどうせすぐに友達できる。」

「だといいけど…」


 おしゃべりが好きなシュリアにとってはこのファーストインプレッションの失敗は死活問題である。ここにきて初めて今後の学園生活が不安になるシュリアであった。





「───涼やかな風が吹き抜け、ラモネの葉も彩る今日この頃、私達は無事アステラギア学園の入学式を迎えることができました。 この伝統ある学園の一員になれたことを大変誇りに思います。

これから私達魔法科は初めて体系的に魔法を学ぶことになります。未知なる知識への期待が高まる一方で、その複雑さに戸惑う瞬間もあるかもしれません。そんなときは隣にいる仲間のことを思い出し、互いに支え合いながら、共に成長していきましょう。

またアステラギア学園は帝立では唯一の魔法学園ということで、各地から多様な人材が集まります。ここにしかない出会いが学園生活のみならず、今後の人生をも彩ってくれることを願いつつ、新入生挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」


 ルミエラが一礼すれば、パチパチと会場から拍手が鳴り響く。立派な親友の姿にシュリアは一際大きく手を叩いた。


「お疲れ様、とってもカッコよかったよ〜!!」

「お疲れ様。」

「ありがとう。」


 その後学園長からの閉式の言葉を持って入学式の全日程が終了し、会場内がざわつき始めた。このあとはおそらくクラス別に分かれてホームルームだろう。


「───これから教室へ移動します。A組のみなさんは私についてきてください。」

「あ、行こっか!」


 先生の後を追いながら、シュリアはこれからのことに思いを馳せる。この先自分は一体誰と出会い、何を成して、どんな道を進むのか。未来は誰にも分からないけれど、願わくば今日のような希望に溢れる日々が続けばいいと思う。



ガラガラと先生が教室の扉を開く。

シュリアたちの学園生活が今、始まる。







マジチャ:マジックチャットの略称。「魔法のように速いコミュニケーションを。」がキャッチフレーズのチャットアプリ。老若男女問わず広く活用されている。


ラモネ:ルミナントではメジャーな広葉樹。9月頃に紅葉し、深緑から燃えるような赤色に変わる。小さな金色の実が成り、食べると甘酸っぱくて美味しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ