第九十六話 覚悟の再会、聖樹王国へ
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【お知らせ】5月6日と7日の2日間は、投稿お休みします。部屋の模様替えをするのですみません。
5月8日から、また通常通り投稿します。それでは、おやすみなさい。
翌日、カームから届いた報せは芳しくないものだった。
闇組織が潜伏していた隠れ家は、精鋭部隊が踏み込んだ時にはすでにもぬけの殻。
手がかりは一切合切が破壊し尽くされ、彼らの足取りは完全に途絶えてしまったという。
(しぶといな……。あのカイルのことだ、戦略物資集積区画を諦めたとは到底思えない。必ずまた狙って襲ってくるはずだ。今のうちに防衛対策をさらに強固にしておかないと)
そんな警戒心を強めていた矢先、衛兵が新たな伝言を持ってきた。
聖樹王国アイナ・サリアから、保護したダークエルフたちの件で謁見の日取りが決まったというのだ。指定されたのは、今から一週間後。
「おぉ……ぅ。ついに来てしまったか……」
思わず声が漏れる。内心の動揺を隠しきれず、顔の筋肉が勝手に複雑な動きをしていたのだろう。
私の百面相を見て、衛兵が困惑したように身を引くのがわかった。
「どうかされましたか、ユエ様?」
「あ、いえ。……承知しましたと伝えてください。すぐ支度して向かうので、ははは……」
乾いた笑いで衛兵を見送ると、背後から核心を突く声がした。
「ユエ。アイナ・サリアって、ルナの故郷じゃない……? 大丈夫なの? たしか、ルナの叔母さんって女王だったよね?」
シェリルの問いに、私は思わず机に頭をぶつけた。
ゴン! という鈍い音が響き、彼女が目を丸くする。
「……うん、たぶん全然大丈夫じゃないと思う。叔母さんは高等妖精だ。魔核から発せられる魔力を細かく識別できるから……。たとえ悠月とルナの魂が混ざり合って、今の『ユエ』という人格になっていたとしても、魔核そのものはルナのもの。どんなに隠していても、魔力波形でバレるだろうね……」
行きたくない。
何と言われるか、そもそも信じてもらえるのか。
悩みは尽きないが、仲介してくれたカームの立場を考えれば、謁見を断るわけにはいかない。
「当たって砕けなさいよ! 変えようがない事実なんだから!」
シェリルの叱咤に顔を上げると、部屋の入り口では皆が心配そうにこちらを見ていた。
そうだ、私一人の問題じゃない。
ダークエルフの集落は惨劇によって荒れ果て、彼らはもう戻る場所を失っている。
体内に人工魔核を宿している以上、再び闇組織に狙われる危険もあるし、変質した力の制御訓練も必要だ。
彼らがこの村で暮らすのが、現状では最も安全な選択肢だろう。
その認可を得るためにも、女王への謁見は避けて通れない。
「よし、覚悟を決めたよ。向こうに行くメンバーを決めよう」
カイルたち闇組織もしばらくは大人しくしているはずだ。
村の守りを固めた上で、以下のメンバーで出発することにした。
【聖樹王国遠征メンバー】
ユエ(私)
ザナドゥ(ダークエルフ代表:彼らのリーダー格)
ニクス(ダークエルフ代表:生まれつき魔核を持たず、人工魔核を移植された特異なキメラの少年)
ラウ(護衛兼、安定の同行者)
【村の留守番・防衛体制】
シェリル・ノア・セドリック:デポ襲撃に備えた防衛設備のさらなる強化。
ノエル:村周辺の警戒任務。
ミラたち&残るダークエルフたち:村に残るダークエルフたちは、先輩であるミラたちの指導のもと、魔牛などの畜産や農作物の生産を手伝ってもらう。
カームとの取引継続も含め、彼らには新しい「日常」に慣れてもらうことにした。
「じゃあ、行ってくるね」
ほどなく準備を整えた私たちは、前世の故郷である聖樹王国アイナ・サリアへと出発した。
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