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完全敗北  作者: 葉月茉莉
9/15

 触れるだけのキスは、長い様で短い時間だった。

 ゆっくり離れていく、透の唇を目で追ってしまう。


 キスをした後の濡れた透の唇。


「もう一回して欲しい?」


 透の唇をじっと見詰めていた所為か。

 そんなことを聞かれてしまった。

 恥ずかしさに顔が火照る。


「……、あかん」

「なんで?」

「もう一回されたら、今度こそ壊れる」

「何が?」

「そんなん決まってるやん。何回も言わすなや」

 一意は自分の心臓を押さえた。


「心臓や」

 その台詞に、透がぷっと吹き出した。

「なんで笑うんや?」

「今ものすごい告白を聞いた気がするわ。俺の気のせいやなければ」

「告白?」

「そう。さっきのキスで、どきどきしたんだろ? 心臓が壊れそうなくらい」


 透の言うとおりだ。

 確かにどきどきした。

 キスでも。

 視線でも。

 その前言われた台詞でも。


「……うん」

「それは、俺のこと好きってことじゃないんか? なんとも思ってない相手なら、どきどきなんてしないやろ?」


 透のことが好きなのは当たってる。


 ……告白。そうかも。


 大胆なことを言ってしまったのだろうか?


「心臓が壊れそうなくらい、俺のことが好きと言う告白に聞こえた。間違ってはいないと思うけど?」


 やっぱり。


 今更ながら、自分の言った台詞の大胆さに泣きたくなった。


 そんなこと聞かれても。

 うん、と頷いてしまって良いものなのかわからない。


 答えられない。


 告白だと認めて。

 透に今、拒否されたら。嫌われたら。


 そう思うと怖い。

読んで下さりありがとうございます。

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