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完全敗北  作者: 葉月茉莉
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「一意? 俺のこと好きやろ?」


 怖いとそう思っていたのに。

 やっぱり、隠し事は出来なくて。


 透のその問い掛けに、素直に頷いてしまった。


「うん。俺、君が好きやねん。ごめん」

「なんで謝るんや?」

「なんでって。気色悪いやろ? 男に好かれても」

「気味悪くなんてない」

「透、気色悪くないん?」

「ああ、……嫌ならキスなんてしてへん」


 透は、ゆっくり頷いた。


「気味悪いどころか、むしろ嬉しいわ」


 嬉しい? 嬉しいって?

 ええっと。聞き間違いじゃないか?


 それはつまり、どういうことだろう?


 透も一意のことが好き、なんていうことは有り得ないし。


 その考えはあまりにも都合が良すぎるだろう。


 心臓がさっきより高鳴っている。


 透の答えが、聞きたいような。聞きたくないような。


「……一意」


 名前を呼ばれて。引き寄せられた。長い腕に抱きこまれる。


 目の前にある端正な透の顔を見詰める。


 ゆっくり、透の顔が近付いて来て、キスされた。


 二度目のキス。


 軽く触れただけなのに、熱が全身に広がっていく。


「俺も一意が好きだ」


 もう一度、唇が降りてきて、触れる合間に告げられた。

 透の吐息が唇にかかって。

 くすぐったいような、甘い痺れが広がっていく。


 もう一度。

 口付けられて。

 開いた唇の隙間から、舌が滑り込んできて。

 口内を貪られる。思考が完全に働かなくなる。


 三度目のキスは、深く長いキス。


舌を絡め取られて、舌先を吸われて。


 自然に下半身に熱が溜まっていく。

 抱きしめられて。体中が熱くなる。

 密着した体から、熱は伝わっているはずで。


 たまらなく恥ずかしくて。

 逃れようと、身を捩ったところ、力を込めて強く抱きしめられた。

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