9、10
死後 ~受け継いできた古墳~
どうして死んでから、その先でまで、鬱陶しがられなければいけないんだ。
僕みたいな奴じゃなくて、もっと必要とされている奴だから、死後でだって自分のことを見てもらいたいと思えるってわけか?
いつの時代でだって、いらない奴はいらない。
いてもいなくても変わらないのだからむしろ害、というか、邪魔としか思われていないのだ。
本当は社会が悪いだとか、時代が悪いだとか、そういうことじゃないのも知ってる。
目立ちたい。注目されたい。
そんなくだらない欲求は、英雄になる手前で疼いている僕と変わらないようなことなのかもしれない。
そうなんだとしても、ああ、たぶん、自分の意志がなくなる死後でまでって思えるのは今が充実されているからだ。今が叶えているからだ、くだらない、それらの欲求を。
だったら僕と変わらないなんて言うのも馬鹿らしい。申し訳ない。
だけど僕だってこれから英雄に……。
僕の魅力がわからないのは、見る目がないからだ。
これから僕はきっと英雄になる。死後の世界では、僕は英雄として祀り上げられているに決まっている。
それなら死後のために何かを遺しておくのもなしではないのか。
今は邪魔だと思われるにしても、その貴重さがいずれわかる。
今までの世界が僕の立派さも素晴らしさも強さもわからない、理解のできない世界だったというだけで、これから先に僕のための世界が待っているのかもしれない。
それが近未来である可能性を考慮して僕はここで息を潜める。
僕の死を、どれだけ惜しまれるかもまだわからないのに、いなくなるのは悪いじゃないか。少し、寂しいじゃないか。
寂しい、淋しい、さみ? さびしい……?
それはいかにも僕の知らない苦しみなのかもしれなかった。
夢 ~遥か遠く飛鳥~
恋なんてするから、失恋をするんだ。
期待なんてするから絶望をするんだということを、僕はよく知っている。
ゲームを経て、漫画を経て、僕はよく知っているんだ。
それを知っているから僕はそんなことはしないのだ。
一人で好きなことをして生きている。一人でただ、自分で望んで生きている。自分で選んで生きている。
だれに文句を言われる筋合いもない、僕は一人で……。
なんだよ、僕の何が悪いというのだろうか。
だって僕は、だって僕は、むしろ僕の運命に従って正しく生きていると言えるじゃないか。
前世から変わらない、僕は、そうじゃないか。
僕の方が、僕の方が、僕の方が、僕の方が、だって僕の方が、ちゃんと……っ!




