11~13
忠犬 ~奈良の主はだぁれ?~
だれとも話なんてしたくなかったし、僕は一人が好きだった。一人でいることの方が楽しいに決まっていた。
一人の方が好き勝手できるもん。そのはずだ。
「……孤独は楽ですよね」
呟いた僕に冷たい声が返ってくる。
「一緒にしないでくださいますかしら。蔑まれ隔離された孤独と、尊ばれ祀られた孤独を、一緒にされるのは気に入りません。過去一、生意気にも限度がある行いですよ」
しないでくれって、一緒じゃないか。
なんら違いというものが僕にはわからない。
一緒だと思わなかったのなら、あえて絡まれたわけでもないのに、僕から声を掛けようことがありようはずがない。
この人なら、僕のことを理解できるかもしれないと思ったから。
だって一緒なんだもん。
「それがいつになるかはわかりませんけど、僕も英雄になる予定なんです。でしたら、一緒じゃないですか」
「なるほど」
それが納得の意味なのかはわからないが、わかってくれたような答えがあった。
やはり一緒なのだ。もし彼女が本当に立派な人なのだとしたら、理解された僕というのは、やはりこれから英雄になるということじゃなんじゃないか?
やっぱりわかる人にはわかるんだよ。
なんだよ、本気で言っているわけじゃない。
もし本気で言っているのだとしたら、ただの痛い人だろ。
それでも言いたいんだよ、理解されないのは未来の英雄の証じゃないか、そう言いたいんだよ。
部屋の中で僕が勝手に言っているのだから、だれに強要しているのでもないのだから、別に構わないだろ。
迷惑を掛けてもいないのに何が不満なんだ。
夢大陸 ~届かない平安を求めて~
これは結局、幸せということなのか?
「部屋の中に閉じ籠もっていると、心まで閉じ籠もることになってしまいます。ですから、外に出たらいかがなのです。従者たちは傍にいてくださいましたけれど、自由を奪われて、男でありながら外へ出ることを許されないで、それはひどく苦しいことでした。ねえ、部屋の中でできる自由には、限りがありましょ」
僕のことを外へ引き摺り出そうとする、悪魔だ。
会話をしたらいけない。絶対に。
距離 ~背負う鎌倉の夢の夜に~
兄弟愛とか馬鹿じゃないのか。
知らない。兄弟なんて、殺し合うものだろ。
そういうものだって、僕は知っている。
兄弟なんて、産まれたときから比べられて競わされて、嫌いにならないわけがないじゃないか。
は? そうだろ。
そういうものだって、僕は知っている。僕の方が、知ってる。




