9.ミストのお茶会(2)
お茶会のテーブルにはコーデリアとミスト、そしてライアン王子が座っている。コーデリアは不思議な気分で紅茶を飲んだ。
ミストがカップを置き尋ねた。
「コーデリア嬢、お父様の病状はどうですか?今日はその相談もあるのよね?」
「はい。こちらに来る前に起き上がる事が出来て食事も少し取れるようになりました。でもまだ心配です。今はネルソン子爵から紹介されたお医者様に診て頂いてますが病気が特定出来ていないので、王宮医師団の方にも相談したいのです。」
ライアン王子が眉をひそめる。
「ネルソン子爵?」
「兄がネルソン家のモルガナ嬢と婚約予定なのです。その縁で紹介してもらったそうです」
「そうだったの。知らなかったわ。モルガナ嬢は元気かしら?」
「それが最近元気がありません。実はミスト嬢へ手紙を預かって…あ。誰にも言わないでと言われたのですが、殿下の前で言ってしまいました。」
失敗したという顔をして手紙を渡した。
「誰かに知られてはいけない内容なんだな。ミスト、読んでみてくれ。」
「声を出しては読まないわよ。」
受け取った封筒をペーパーナイフで開け、手紙に目を通すと首を傾げた。そしてライアン王子に手紙を渡した。
「普通の手紙だな。挨拶と今度会いましょう、これだけか。誰にも言わないでと言う内容じゃないな……ミスト、以前モルガナ嬢から手紙をもらった事はあるか?あるなら持ってきてくれ。」
ミストが侍女に手紙を持って来るよう伝える。
「コーデリア嬢、エルパーカー子爵とモルガナ嬢の婚約の話はいつ頃から出ているんだ?何故、二人が知り合った。」
「半年程前でしょうか。兄が王都で仕事をしている時に知り合ったそうです。」
「半年前といえば、ミストが第一王子と婚約した頃だな。」
「私とモルガナ嬢は妃候補だったの。」
ミストがコーデリアにそっと言った。
「ネルソン家は代々軍隊の総司令官を担っている所だ。妃候補に娘を押すのは分かるが、何故その後にエルパーカー家を選んだ?熱烈な恋愛でもしたのか?いや、ネルソン侯爵が許さないだろう。」
ライアン王子は考えを巡らせながらテーブルを指でトントンと叩く。
コーデリアは二人を思い出しながら唸った。
「当家は田舎伯爵ですからね。私も不思議でした。そう言えば、兄はとてもモルガナを大切にしていますが、モルガナはどうでしょう…恋をしている感じでは無いかも…。」
ミストの侍女がモルガナの手紙を持ってきた。ライアン王子は二つの封筒をテーブルに並べ、封蝋をじっくりと見比べた。
「今回の手紙の印は偽物だな。かなり精巧に作られている。でもモルガナ嬢が偽物を使うとは考えられない。手紙がすり替えられたのか?何故だ。」
コーデリアとミストは顔を見合わせた。




