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ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第四章

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朱禪院 晴①


路地裏は薄暗く、壁に貼られた落書きとゴミの山が視界を支配していた


「ここは坊やが来ていい場所じゃねぇよ」



丸坊主の男やイカツイ髪したガタイのいい連中が冬を取り囲む



腕を組み、にやりと笑うが冬は全くどうじない



「人を探している 朱禪院(しゅぜんいん) はれ、知らないか?」 




丸坊主の男やイカツイ髪した

男達は一瞬、笑うのをやめる そして


「お前、俺らのこと、ナメてんのか?」


「なめてもおいしくないだろ? まずそうな顔してる」


「ハハハッ 確かにそうだぁ そうだなぁ お前の言うとおりだぁ〜 こりゃ一本取られたぜ〜」


男達はひとしきり笑ったあとに


「死ね」


そう言って殴りかかってくる


しかしその拳は空を切り、男はバランスを崩す


冬は男のケツを蹴り飛ばして壁に男は頭をぶつけて鈍い音を響かせた


「な! どうやって避けた!」


冬は答えずに男達を襲う


足の脛を蹴り穿ち、体勢を崩した男の顔面を蹴り上げた


後ろから掴み上げようとする男の爪を狙ってカカトで後ろ向きに蹴り上げ、爪が宙を飛ぶ


そのまま前にいる男の親指を掴んでひねると男はそれを嫌がり、体をくねらせる そこに膝蹴りを顎へ叩き込んでノックアウトした


身体が大きいとはいえ、相手は素人 

指先や関節、人の弱所は幾らでもある 上手く狙えば子供でもどうにかなる


爪が飛んで痛がっている男の頭に落ちていたレンガを容赦なく叩きつけて意識を刈り取る 別に死んでいても構わない





倒れた連中を一瞥してから

冬は口を開いた


「晴を、知らないか?」


まるで道を訪ねるかのように自然に質問する子供に

相手は顔を青ざめさせて黙り込む



その時、ひょいと小さな影が滑り込む

スリの少女――細い手が冬のポケットに忍び込む


「――!」


しかし冬は一切の動揺を見せなかった



瞬間、反射的に手を伸ばし、相手が取った自分の財布ごと、冬は相手の懐から財布を抜き取った


あまりの早業に、少女の目がまん丸に開く



「お、おい! 返せよ!!」


揉め事の合間に人の物を盗もうとする奴ってのは、ホント自分の都合しか喋らないな


返すも何もない 盗みを働き、盗み返されただけの話


弱肉強食気取るなら、盗まれるお前が悪い 


「聞いてんのか! おい!」


冬は少女の怒声を耳に入れつつも、動揺せず無視した



「おい! その財布は、あたしんだ!」



「おい! 聞いてんのか! てめぇ… ぶっ殺すぞ!」


伸びてくる手を捻り上げる


「あっ くっ! はな、せよ! この野郎!」



少女はスラムの人間特有の気の短さで血が沸騰する


イキリ立ち、そしてその衝動のままに……


懐に手が入る


鈍く光る刃先が、わずかに覗いた

——ああ


"それ"出すのね?



「はぁ、殺すか?」


ビクリと少女は震えた 


それが冗談ではないと感じ取ったからだ 


生きるために必死になるのは誰でも同じ 


だが、それをやるならやり返されても文句は言わせない


殺そうとしてきた相手を、生かして得をしたことはない


殺意には殺意をもって返礼する 



懐のナイフを出そうとしたので、プッツンしてしまった


そこまでやるなら、容赦はしない



『冬! だめだよ 子供殺しちゃ!』


冬真が叫ぶ

ちっ うるさいやつ…


「そこまでにしてくれるかい?」


背後から若い女の声がする


振り返るとそこには赤い髪の女性が立っていた


白衣を着ているがラフな出で立ちで、どことなくボーイッシュな雰囲気のある女性だった


「君がお探しなのは、ボクだろう?」


「……あんたが、朱禪院 晴、でいいのかな?」


「そうだよ ボクが、晴だ」


凛々しさと愛嬌のようなものが相まった、人懐っこいような笑みだった



『うぉ〜!!! ボクっ娘登場!』

冬真が叫ぶ


うるさい ホントうるさい


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