終わりの始まり
人生、いつもうまくいきそうなときほど、うまくいかない
何かがうまくいきかけると、まったく関係のなさそうなところで問題が起きて、ドミノ式に襲い掛かってくる この日も俺はどこかでそんな空気を感じていた
「真白、ゲームをしようか」
こいつはまた、唐突に
「一人でやってくれる?」
付き合ってられない
「アヴェスターゲームって名前のゲーム」
冷や汗出るかと思った
「なんて言った?今」
「アヴェスターゲームっていうゲーム、一緒にやろうぜ!」
「...なぜ?」
こいつ、いや、まさか、知ってるわけない
「...断る」
「このゲームさ、結構手に入れるの苦労したんだよね 同人ゲームだから数も少ないし、市場にもあまり出回ってない 人気低いんだよね まぁ凌辱系の成人ゲームなんて人選ぶしね というわけで一緒にやろう」
「前後文全然つながってねぇよ 一人でやれっていったろ?」
気づいてる?気づいてない? 抵抗を続ける俺
「もう会えなくなるんでしょ?」
「だから?」
ほんとにだから?
「最後の思い出」
「嫌な言い方するな 野郎同士が気持ち悪い」
そのまま、その場を後にしようとすると
「ザインクラフト」
頬がひくつく
「なんだって?」
無駄な抵抗を続ける俺
「このゲームの中にザインクラフトっていう存在の力を操る超科学の力があるんだって!」
きらきらした目でこちらをみるディラフト 観念した
「はぁ...わかったよ 付き合おう」
ディラフトの持つ宇宙船に向かう こいつの船は規格の異なるゲームでもできる万能型のデバイスが置いてある
「最後の日によりにもよって、そのゲームをやることになるなんて 因果なもんだな」
そう吐き捨てた
ことの発端
俺がザインクラフトを作るに至った理由が、このゲームにはあった
◆アヴェスターゲーム
アニマとダエワとノルマの三民族間による戦争もの
神々がかつて滅ぼしてしまった人類を再び創り上げるために人に似せた亜人を使い代理戦争をする話だ
「いわゆるバットエンドの作品だ」
「意外だな~ 真白はバットエンド系嫌いだと思っていたよ しかもこれ成人向け」
ちょいちょいこちらをあおってくるディラフト
「嫌いだよ実際」
メインどころはほとんど悲惨に死ぬ
「なんでこのゲームやろうって思ったの? これかなり入手困難だと思うけど」
「昔、俺がまだ低学制の養育所にいたころ、同学生が俺にこいつを持ってきた 俺は中身が何なのかわからなかったけど、嫌な予感がしてね その場でたたき割った そもそも普段話したこともない奴が急に話しかけてきたんだ 勘ぐりもする」
「うわぁ 昔から警戒心強かったんだ 私が宇宙船の設備貸すって言ってもかたくなだもんね」
「だがそいつは次の日に俺の知り合いの女の子を連れて、俺の家に勝手に遊びにきた アポもなくね」
「え?何々? 真白に女の子の知り合い? 詳しく聞きたいな!」
いるよな この手の話に食いつく奴 何が楽しいのかわかんない
「別に君が期待するような浮いた話なんてねぇよ ちょっと特殊な理由で接触の機会がほかよりも多かったってだけ」
他人に笑い話にされることほど不快な話もない
「もしかしてその女の子ってのがこの話のネックになる? その同学生の男の子がその女の子のこと好きで、君を挟んで伝手作りたかった的な?」
うんざりするくらいに感がいいな、こいつは 実際つながってるから仕方ないけれど
「君の想像通りだよ その同学の男ってのが、女好きのクソ野郎でね、ちょっかいかけたいけど、ガードが堅い だから俺のほうから詰め寄ろう さらにいうなら俺に趣味の悪いえろげもたせて好感度下げようって腹でね それを暴露させて仲違いさせようって魂胆だったわけ」
「うっわ 性格悪いな その子」
「ああ 実際あいつとは最終的には殺し合いになるくらいもめたしな」
いまでも許してないし、これから先も許すことはない
「君はいつも誰かと殺し合いになってるね」
「治安の悪い地区に住んでたもんでね まぁ今の時代、誰が死んでもおかしくない」
殺す殺さないなんて話がでても平然と聞いてられる時点でディラフトも大概だけど
「で?その後どうなったの?」
「そのあとが割と痛快だったな そいつは俺にディスクをたたき割られたのに もう一組のえろげをおれの家に持ってきて、俺を誘導しつつ、隠れてこそこそ俺のベットの下にゲームをさし込んで、それをさも今見つけたかのようにふるまった」
にやにや笑って彼女と俺を笑いものにしようって腹積もりだったわけ
いい加減目障りだなこいつと思っていた時に彼女が
「あっ それ私が彼に貸したものだよ」
そう言ったんだ
ぴしゃりと冷えあがったね 部屋の空気が
「えぇええええ!!! なにそれ!!」
「あの時のあいつの顔、今思い出してもウケる 想定外のことが起こりましたって顔してたよ」
あの後、なんであんなこといったんだと聞いたら
「だって彼 あなたをはめようとしてたんでしょ 見たらわかるよ」
「まともにお話したこともないのに、急に遊びに誘ってくるような人だもの あなたからも彼と親しいなんて聞いたことないのに」
「今から遊びに行くからって誘ってくるのに、口を開けばあなたの悪口ばかり 私にお近づきになりたい あなたのことが目障り わかりやすいほどわかりやすい人だもの」
その後はあいつも居心地悪かったんだろうな そそくさと帰っていったよ
例のゲーム置いてってね
そんで彼女と一緒にせっかくだからどんなゲームか見てみるかってんで始めたのがきっかけでアヴェスターゲームを触った
いやまじで女性とやるゲーム内容ではなかったな
敏い女性だった 浮世絵離れしたような容姿に、どこか人生諦めているような独特の雰囲気 あの歳であんな女性が同学生にいればそりゃ注目も集まるだろうなと今振り返ればそう思う
「みたかったな~ その場面 で?次は次は?」
「あいつはさらにみっともないことを言い出した いいのかい? いいとこのご令嬢がこんなものやってたって噂がたって とか」
「そいつ馬鹿? 噂が流れたら間違いなく自分が流したってバレるでしょ」
「まごうことなく馬鹿だよ 彼女は別に気にしないよ~っていってたけどな」
でも俺としては俺の問題で彼女が面倒な噂流されるのも面白くなかった
だから
あれの腕をへし折ってこういった
「彼女の噂を流したらお前を殺す」
「腕のことは高いとこで遊んでたらはしゃぎすぎて落ちて骨折したっていっとけ」
「もし、変な噂が流れたり、腕の骨折を正直に話したその時点でお前がこちらとの取引を反故にしたと判断して、殺しにいく いつもお前の腰巾着してるあのデカブツをつけるのもいいけど、俺相手に意味があるかは、お前が決めろ 俺を敵に回してでも、やるメリットがあると判断したのならやってみろ」
俺は別に失うものなんてなかったしな それはあいつもわかっていたから、俺が本気だってことは伝わった
「ふぅ~ 怖いもの知らずだね~」
「あいつは次の日、俺がいったように高いとこから落ちて骨折したって言ってたな」
こちらを必死の形相でにらんでいたよ
あいつとの因縁はここから始まったともいえる
「そりゃ相当屈辱だったろうね」
「ああ、プライドだけは無駄に高い奴だったからな 顔がよくて、運動ができて、まぁお勉強もできたほうなんじゃないか?頭はよさそうには見えなかったけどな とにもかくにも有象無象を味方につけるのだけはうまかった」
仲のいい奴を仲違いさせて、その間に自分が入り込む
そんで自分の信者や手下を増やす
そんなことを年がら年中やっていた
趣味だったんだろうな
そしてできてしまうがゆえにどんどん増長していったわけだ
あいつの周りの人間関係はぐちゃぐちゃだった
「お? そろそろルート分岐かな? ちなみに真白はどの娘がタイプだい?」
「誰でもいいだろ別に」
「大事なとこだろ」
「好みなんていないよ 俺に好かれてるなんてそいつがかわいそうだろ」
「うわ 卑屈 ゲームキャラにすらそうなの? そういう奴はモテないよ」
「結構です」
人に好かれて 何の得があるのかわからない ぎゃあぎゃあうるさいだけだろ
「私はね~」
「きいてない」
「夏、って言ったら、どうする?」
「あ?」
「なんとな~く、真白はこの子が気になるんじゃないかと思って」
「理由は?」
「彼女が幼少のころ、敵側の醜男ってキャラがいじめられてる場面で助けに入るシーンで、いつもより表情が柔らかい気がしたから 醜男も顔で悩んでそうだ シンパシー感じた?」
「お前のそういうところ、嫌いだよ 俺は醜男と違って横恋慕なんてしない 彼女が好きなのは主人公の善君だ 彼女のことを思うならこんな鬼畜外道な手段で奪おうとはしない」
これと同じ扱いをされると不快だね
醜男は本当に鬼畜外道だ 昔助けてもらったことから夏に度を越えた執着をし、彼女を手に入れるために、どんどん彼女の周りにいる人間関係を、そして彼女自身を貶め、穢し、破壊し続ける
ダエワという種族は反人類のような種族だ
精神的にも生存手段にしても、決して相いれる種族ではない
そういう風に作られている
また夏自身の持っている聖寵が特殊な能力で それは敵側にも恩恵を与えてしまうものだった これ考えた作者の性格が滅茶苦茶悪いのだけは確かだ
そして最後には、主人公である善の体を乗っ取り、夏を無理矢理手に入れるという胸糞展開
「真白はさ、ザインクラフトを使ってこのゲーム世界に入って、バットエンドを救うぜってな風にはならなかったの?」
「マッチポンプだろ、それ ひどい世界をわざわざ作って、そこに入って行って自分で救う 虚しいよ」
誰かを救うことが、自己都合であっては意味がない それはあまりにも歪だ
「さようで」
ディラフトは結局別のヒロインを選んだが
結局全ルートやるまでは解放しないとまで言われた
このゲーム同人なのに、めちゃくちゃ難易度高いから時間かかるんだよな
「ザインクラフト、でてきたね」
主人公の善が持っている超技術でできた個人武装デバイス
ダエワ側の神、アンリマー・タルヤを作った製作者でもあり、ザインクラフトを作った製作者でもある朱禪院 晴より託された ダエワに対抗するための存在の力を操るための個人兵装
「それで作っちゃたんだぁ… 現実で」
「は?何か問題でも?」
問題でも? は? 問題でも?(圧)
「いぃやぁ?」
にやけ面が鼻につく 喧嘩するか?
「くっくっく ゲーム作った作者もひっくり返る思いだろうね これを聞けば」
ザインクラフトはゲーム内でも空想上の技術だ
そりゃ驚くかもね
「ラストシーンだね このマシロってキャラさ」
「...」
「名前が同じだと、思うとこあったりする? イケメンだし」
マシロ、という名前にも関わらずマシロは黒髪褐色の美少年だ 漆黒の髪を編んで結って肩から垂らしている、女性的な顔をしているので、好きな奴は好きだろうな
「いうなっていったろ こいつ、自分の才能とか顔とか、鼻にかけてて、気に食わないんだよな」
いわゆる裏切りキャラだ 主人公を裏切ったのに、敵に捕まり、挙句の果てには...
長時間やってるので、こくりこくりとしながらふなをこぎだすと
「真白」
ディラフトが唐突に俺の名前を呼ぶ
「ん?」
「ありがとね いろいろ付き合ってくれて」
「...何急に?」
「いや、いつもいやそうにしながら、それでもかまってくれてさ ほんとにうれしかったんだ」
「いままでいろんな星を渡ってきたんだけど、こんなに話せる相手ってなかなかいなかった ザインクラフト いい作品だよ 本当に いいものを見せてもらったよ」
「大げさな」
「ははは 大げさかなぁ~?」
ディラフトは何が面白いのか、笑っている
「私はね、異世界に行きたいんだ」
「それは、いい夢だな」
「ほんとにそう思ってる?」
「思ってるよ 叶いそうにないのが残念だ」
「ほら、やっぱりそう思ってる 皮肉屋」
「真白は異世界に、行ってみたいとは思わない?」
「う~ん 興味ないわけじゃないけど、君の言う異世界ってのは剣とか魔法とかある世界だろう? 本で読む分にはいいんだけど、いざリアルに行けるってなったら、結局暴力を前提にした世界に飛び込みたいかって話になる、純粋な気持ちで憧れるには、そこそこ歳を重ねすぎた」
他の惑星だろうが、異世界だろうが、同じこと
俺はどこに行っても結局なじめないだろう
それが根底にある 暴力にあふれた世界は現実だけで充分だ
それに...
「ほしいものがあれば、自分で創るさ」
ディラフトがこちらを見て、すこし微笑む
「俺は、自分が欲しいものは自分で創る」
他人の手は借りたくないし、口をはさんでもほしくない ほっといてほしい
自分の望むものを 自分の望む世界を 自分のために 築く
今も昔も そしてこれからも変わることのない 俺の願いであり、生き方だ
「そっか」
さびしそうに、ディラフトはこぼす
「かなうといいな」
「え?」
「異世界、行けるといいな」
ディラフトは少し意外そうな顔をして、うれしそうに笑う
「異世界に興味があるなら、一つ、俺から贈り物をしようか」
「え?」
「竜の遺骸 やるよ」
「竜の、遺骸?」
「俺が産まれるより少し前に、ある日突然空から落ちてきた そいつはいつもの遺物や遺跡のように宙から落ちてきたわけじゃなかった」
それならレーダーに引っかかる でも竜の遺骸は突然空に出現し、白銀都市に落ちてきた 当時は大騒ぎだったらしい それからいろいろ調査があったらしいが、結論は何が何だか、わからないってことだった
「何でできてるのか、どこから来たのか、全部不明 少なくともこの惑星の技術では解析できなかった特級(EX)の遺物」
「なにそれ... ほんとうに?」
半信半疑という感じだ そりゃそうだろうな
「そいつは今、ここにはない だが、明日場所を教える 興味があるなら、取りに行くといい
本来は白銀管理のもと、厳重に保管されていたものだが、その都市はもうない
誰も保管できる奴もいないから俺が回収して、白銀都市にある俺の保有する地下ロッジに隠した
「めちゃくちゃ興味あるよ なにそれ! なにそれ!!」
しかし興奮はやみ、真剣な顔で 君は こないの?と問う
「俺は、明日には旅立つ もうここには帰ってこない 二度と」
ディラフトは悲しそうな顔をするが
「異世界の遺物は異世界に興味があるやつが持つといい 価値を理解できる者が 持つべきだよ」
俺は成金の骨董品収集が嫌いな人間だ
道具とは持つ人間にもそれなりの格があるべきだ 金さえ積めば、いい物が手に入る クソみたいなシステムだ
使うに足る人間、調査するに足る熱意、持つべき覚悟
見世物小屋の珍品をそろえるがごとく並べられる貴重品を
俺にはいい気分で見られなかった
竜の遺骸ほどのものは、白銀都市はもちろん、俺が持っていても宝の持ち腐れだ ディラフトが持つなら決して粗雑には扱わないだろう
ふるふると震えるディラフトになにかいやなものを感じてその場から離れようとしたが
「ありがとう!!!!」
そう言って抱きつかれたので殴り飛ばした
「うぜぇ」
その後は物語も終盤で嫌な場面だというのに、どこか物語そっちのけで、別の話に移行していった
「真白はさ、今まで一番好きな作品はなんだった?」
「『緋色の軌跡』」
「いい脊髄反射だね 『アヴェスターゲーム』じゃないんだ」
「さすがにこの作品を一番評価はできないな」
「私はね、『罪獣と罰権』だ」
「え? 本気で言ってるの?」
「え? 喧嘩する?」
あの作品は序盤の入りがいいのに、途中で話が破綻してしまう
「君って、この星の作品もちゃんと抑えてるんだね」
「そうじゃないと、わからないでしょ? ちなみにほかの惑星も含めると、私が一番好きなのは『終末物語』だよ」
「知らね」
「だろうね」
「ほかには何が好き? 最近読んだやつでもいいよ」
「最近だと、トリニヒード・シャッハルの『グリムガーデン』シリーズかな
『赤ずきん』も面白かった」
「ははっ、あれ純愛過激派御用達じゃん」
「別に純愛過激派じゃないけどね。独特の世界観で、変に癖になるんだ」
「私は『愛の賞味期限』と『恋は消耗品』かな」
「それ、どっちもトリニヒード・シャッハルの作品だよ」
二人で笑った
久しく笑っていなかった気がする
くだらない話で盛り上がって、少しずつ、終わりの時間を感じていたのかもしれない
眠気が襲い、体がまどろみ始める
「真白…私は必ず見つけるよ、異世界を」
その言葉を聞きながら、意識はゆっくり途切れ、まどろむように眠りに落ちていった
多分、笑えていたと思う
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目目が覚める。体が臨戦態勢に入る
何か、来る…!
周囲を見渡すが、ディラフトはいない
あかりは消え、モニターだけが微かに光っている
手持ちを確認する。ザインクラフトは首にかかっている
刻紋武装も起動する
体に異常はない
準備は完璧だ
しかし、周囲には何もない
いや、正確には**「何もない空間」が動き回っている**。
なんなんだこれは? 未知の敵か?
「刻紋起動 無頼」
左腕の紋様をなぞると、剣が実体化した
敵が襲い掛かる。かわすと、地面がえぐれる
「消滅……してる?」
ひとたまりもない一撃だった
存在値を確認。無頼の存在値が削れている
自然消費ではありえない減り方だ
「試してみるか」
目にも止まらぬ速度で敵に接近する
無頼に存在エネルギーを流し込み、叩きつけた
ジリジリとノイズが走る
敵の姿が少しだけ実体化した
「お前、反存在兵器か……」
虚無とは、まるで世界の穴そのものだ
こちらの存在エネルギーを食らうことで、逆に実体化させることができるらしい
二度、三度の直撃で沈黙
手ごたえはあった
だが、安心はできない
周囲の観測不可能領域が増え、敵が一斉に襲い掛かってきた
存在エネルギーはどんどん消耗する
一体一体は弱い。しかし、この数ではじり貧だ
逃げることもできない。出口はない
一体一体は大した強さじゃない だが、このままではじり貧になる しかし外に出ようにも周りを囲まれていて出口がない! 根気の勝負ってか
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「はぁ…はぁ…」
存在エネルギーはほぼ尽きかけている
敵の数は減った気がしない
突然、声が聞こえた
「冬!」
振り向くと、見知らぬ少年が立っている
ディラフトではない。見たこともない人物だ
だが、その少年は一人しか知らない名前で俺を呼んだ
「よけろ!」
咄嗟に叫ぶが、少年は虚無に襲われ、胴体から裂かれた
敵はこれまでの虚無とは違った、
透明な奴というより薄い、青く発光してるような異形の人型だ そして顔がなかった
俺は立ち上がる
まだやれる
だが左腕が消失した
咄嗟に飛びのくが、右腕も消え、胸に穴が開く
ジリジリと頭が痛む
いつもの感覚が戻ってきた。だが、今回は危険すぎる
目の前に、存在するはずのないものが現れた
全身黒い影の人物、全身真っ白な少女、灰色の髑髏、そして透明な人型
「誰だ…お前ら?」
頭に理解不能な情報が流れ込む。
「n,ewprk320-wfkaw]vk]p@vskv:;l,l m]a@sv,ov」
「oiji0emjvai@nmevoiwernv9wvm3lmvm;:,erl」
痛みと混乱で、思考がほとんどできない。
中央の全身透明な長髪の男がにやりと笑い、こちらに近づいてくる
「IIVNBM 接続者?」
最後の一文だけが理解可能だった
「お前が我々の探し物か?」
透明な男は、俺の頭部に手を伸ばす
次の瞬間、意識が破壊されるように暗転した
そうして世界は暗転した




