表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第1章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/102

地下迷宮③ アバター


『なんだ、アバターの訓練か』


「なんだと思ってたんだよ。まぁいいや、少し説明をするよ。こいつは初期型のアバターだから、少し調整がいる」


『???』


「俺たちの抱える問題の一つについて話そう。お互いの命綱に関わることだから」


『こ、怖いこというな~。それって?』


「今後、俺は自己の存在を強化していく。強くなればなるほど、処理できる情報も強度も増大する。使える武器も増える。でもね、俺だけ鍛えた場合、その存在の比重は傾く可能性がある」


『かた、むく?』


「片方の筋肉だけ鍛えてもバランス崩すでしょ? それと似たようなもんだよ 問題はその比重、あまりにも傾きすぎれば、俺の存在強度が君を押し潰すことになる。そうなれば、俺も自己の存在を維持できないだろう」


その瞬間を想像してぞっとした。そしてその先どうなるのかを、僕は知っていた。


「だから、お互いのバランスをとるために、俺だけ鍛えても意味がない。君も、ある程度強くなってもらわないと。だからこれ」


そういって冬はアバターを指さす。


「アバターに君の存在IDを登録することで君専用の回線を作る。簡単に言うと、ゲームのコントローラーでキャラを操作するようなものと考えればいい」


俺達は同じ箱(部屋)の中にいて、同じテレビ画面を見ながら、ひとりがコントローラーを握ってゲームをしているイメージだ。


『僕が、これを動かすの?』


「そっ」


冬は肯定する。


「登録は先ほど済ませた。君の存在IDに反応して、こいつは動く。最初は苦労するだろうけど、慣れていけば手足みたいに動かせるようになるから。まずは、『起動アクティヴェイト』って言ってみて。君の声紋で起動するよ」


起動アクティヴェイト


すると、さきほどまではのっぺらぼうだったアバターは、冬と同じ顔に変わる。ただし、髪と瞳の色が異なる。冬は漆黒な艶のある黒髪に青色の瞳だが、こちらのアバターは灰銀色アッシュグレイの瞳と髪色になった。


「まずは右手を挙げてみて」


冬に促されて、僕は手を挙げてみる。なかなかうまくいかない。10秒ほどかけて、右腕が重そうに持ち上がる。


『くはぁ! これ、結構難しいね』


手足を上げたり下げたり、しゃがんでみたり、指を握ったり開いたり。外から見ると間抜けな行動にも見えるかもしれないけれど、これが結構難しい。


「本来存在しない回路をつないでいるからね。最初は大変だよ。君の存在をアバター側も理解してる段階だ。君の思考、癖、動かしていけば、どんどん君専用の形に形成されていくよ」


小一時間練習したが、精神的に疲れるだけで、ほとんど進歩は見られなかった。せいぜい歩ける程度だ。


『ごめん、全然うまくできなくて……』


体を動かしてるわけじゃないのに、精神的な疲労が襲ってくる。今まで感じたことのない疲労だ。


まるで新しい神経を形成しているような感覚。


「謝る必要はないよ。一週間もあればそこそこ普通の動作はできると思う。そのうち、ナギ君だって守れるようになるさ。できることを一つ一つ増やしていこう」


冬は不甲斐ない僕を責めることもなく、なんてことはないようにふるまった。


それが気恥ずかしくも、少しだけうれしかった。


「今日はこのくらいにしよう。まずはこの遺物を……」


突然言葉を切り、冬の気配が殺気だっていく。


『冬、なに? どうし……』


しっ、と静かにするよう促す冬。


「でてこい。俺に用があるんだろう」


冬は突然、虚空にそんなことを言った。しかし、虚空からの返事は何もなかった。


なのに僕にも、その空間には何者かの存在がほのかに感じられる気がした。


そんな緊張感が高まった次の瞬間、冬が動いた。


正面に向かって前転する。


すると、先ほどまで冬のいた場所に、ぶわりっと風を切るような音が響く。


冬はそれをかわし、敵の方を観る。

そこには透明な何かが、揺らめいていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
相棒も動けるようになりましたが、まだ鍵を握る活躍をするのに至らない状況ですね。次元云々の話もあって、視覚できない敵の不意打ちも厄介ですね。描く方も大変でしょうに。今回もとても面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ