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ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第2章 【最後の善意解放作戦】

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20/29

現実


ディラフトシュラッケン もはや懐かしいとさえ感じる

最近は忙しすぎて過去のことを思い起こしてる暇がなかった


助けてほしい

ディラフトはそういった だが


「何が起こっているのかは知らない けれどこちらも忙しい 悪いけど、そちらの問題に構っている余裕はないんだ」

先に結論を語る 話を聞いても優先順位は変えられない


「白銀都市が復活した、と言っても?」

は? 

頭が真っ白になった こいつ、今なんて言った?


「白銀都市が、復活? どういう意味だ?」


「そのままの意味だよ 真白。 白銀は君が失踪してから復活した 君と入れ替わるようにね」


思考が回る そして


「虚無か」

あいつらとしか考えられなかった

俺の存在を消した それはつまり俺という存在の軌跡も消したと考えれば辻褄が合う だがもう一つ疑問もある

俺は完全には消えていない ディラフトも俺のことを覚えてる どういうことだ? 半分しか消えてないから半分は覚えてる的な? その半分の基準が分からなかった 単純にランダムの可能性もあるが 考えても仕方ないか


「真白 もう一度言う 協力してくれ」


『冬、どうするの?』

冬真が心配そうに質問してくる


「…話は聞く ただし協力の約束はできないよ」

そもそも現実にいくには俺達の強度が足りない 

可能性があるとすれば、今ディラフトが使っているアバターを使って冬真と同じように遠隔操作するくらいだ

戦闘用のコードも刻文積んでない そもそも戦闘用に作ってない


『え? 冬、いいの?』

速攻断るとばかり


「白銀よりもアニマ達のほうが優先だ それは絶対だ」

それを聞いて安心した 



世界のアップデートは着実に進んでいる 今邪魔がはいるのは勘弁願いたい



『でも、どうやってあちら側にいくの?』

前の話では、今の僕達ではあちら側に戻れないと言っていたはずだけど


「今、こうやってアバター越しに会話してるじゃないか あちらにあるアバターに俺の存在IDを登録すれば遠隔で動かすことが可能だ 要はコントローラー操作のI/Oを逆にすればいい」


『あ、そっか こちらからもそれは可能なのか』

言われてみればできなくはないような気がしてきた

でも…


『こちらとあちらで二画面見てるようなものでしょ?できるの?』


「え?余裕じゃね?」

余裕らしかった たかが二画面同時操作程度、問題ないすか… そうすか 僕は一画面でも精一杯なのに…

くすん

最近そこそこ上手く動かせるようになってきたから自信がついてきてたのに、一気にへし折られた気分だわさ


そうして冬は現実と空想世界の2つを同時に干渉することになった



目を開ける

アバターは冬の形を取り、実体化する

冬は以前空想世界にいるが、問題なく稼働してる


思考を分割しながら、こちらとあちらで整合性をとる動作確認 ラグは今のところ見当たらないが、負荷をかければ当然、発生する

激しい戦闘は避けないといけない そこでふとディラフトの視線を感じる



「どうしたの?」


「君の声だ 本当に、君…なんだね?」

声帯は自分のものを使っているから当然そうだ


「なんだと思ってたんだ?」



「いや、なんか、感動しちゃって… もう、会えないと思ってたから…」


「俺も、聞かないといけないことがある」


「なに?なんでも聞いてよ」


「虚無、あれは お前の仕業、じゃないんだよな」

これは確認しないといけないことだった


「違うよ」


「わかった 悪かった 疑って」

俺はその言葉を信じた


「いや いいんだ 私もその時のことについては聞きたい 君のせいでは、ないんだよね?」



「もちろん 目が覚めたら奴らに襲われて、あとは命からがら 気づいたらゲームの中さ」


「そうか でもなんで15年も音沙汰がなかったんだ」


15年 その言葉に耳を疑った というより飲み込めなかったというのが正確だろう


「じゅう、ご、ねん?」

何だそれは?


「もしかして、気づいてなかった? そんなこと、ある? 15年 君はこの世界から消えていたんだ」


口元に手を当てる 気づいたらゲームの中 それ以来現実には帰っていない そのため時間の感覚など気にもしてなかった


「ゲームの中だと時間の経過が違うとか?」


現実と空想世界ではスケールが違うから時間の流れも違う場合はある ただ、アヴェスターゲームとこちらの時間的齟齬はそこまでないはず


それだと俺はゲームの中で15年生きていた事になる ゲームのスタート位置はゲームを開いた場面とほぼ同じところから始まっている 15年ゲーム画面が止まってたことはないだろう

そうなると、俺の再構成と同時に空想世界は動き出してる 俺の再起動に15年かかった 多分これが一番しっくりくる ザインクラフトには存在保護のための安全装置はいくつもついてる 俺を冷凍保存するように少しずつ少しずつ冬真と共に再構築されたのだろう それにしても15年とはね


「考えても分からないことを今ここで考えても仕方ない 今分かっていることから始めよう …なんだ?」


ディラフトは興味深そうにこちらをみている


「いや、ずいぶん様変わりしたなって 見違えたよ」


ああ、なるほど そりゃびっくりするよな この姿をみれば ディラフトは俺の現実の姿を知ってるのだから


「いろいろあってね 自前のものをなくした」

苦虫を噛み殺したように吐く


「…え? それ、は つまり…」

虚無に襲われて、ロストしたと?


「言ったろ 命からがら助かったんだと」


「そっか いろいろ、あったんだね…」

ああ、本当に色々あった でもこれからはもっと色々ある


「冬、今、会わせたい人がいるんだ」


「はぁ?」

冬は嫌そうな顔をする 彼は人間嫌いだ 合わせると言われれば必然この惑星の住人だと思われるだろう 実際そのとおりだ


「今、我々はヴォイド、君が言うところの虚無と争いをしている 我々には明確な武装がない きわめて劣勢だ」


「あいつら、現実でも暴れてるのか いや、俺が最初に会ったのも現実だし 当然と言えば当然か それにしてもあいつらに襲われてよく生残ってたな」


「君のザインクラフトを複製したからね」


「は? ふ、複製? マジで?」


「あの日、私は君が寝ている間に君のザインクラフトのことを思い出して 私も作ってみることにしたんだ 出来上がって、それを起動して、色々弄っていたら夜が明けてしまってね それで時間を使いすぎてしまったと後悔して、急いで君のいた部屋まで戻ってみると、君はすでにいなかった すさまじい争いのあとと、ゲーム画面だけがついた状態で残されていた」


『こ、この人、やばくない? ザインクラフトを観ただけで複製って…』


「こいつに関してはもう諦めてる 俺等のレベルで理解しようとは思わないほうがいい てか」

そうだ 冬真のことだ 


「なぁ、冬真って名前知らないか? 神代冬真」


「あ、そういえば、ディラフトって人は僕を連れてきたかもしれない人だったね」



「え?誰それ? 知らないな」


「お前の船の中にいた 俺は見知らぬ奴だった そいつも俺と同じように襲われていま、こっちにいるんだ お前の船で来てた別の惑星の住人かと思ったんだけど」


「いや、私の船の住人ではないよ そもそも私の船には私とあとは人工知能によるサポートでどうにかなるからね クルーもいらないし」


「やはり記憶が消えてるのか それともマジで無関係なのか 冬真 何者なんだろうな お前は」


「いや、僕に言われても」


「その人物については私も調べておこう それよりも話を戻そう」


「人に、会うんだっけ?」

嫌なんだよな マジで


「一応知ってるのかもしれないけれど、俺は都市のお尋ね者リストの中でもかなり質の悪い載り方をしてる そのことをわかったうえで人に会わせる意味、わかってる?」

それは最悪会ったその段階で殺し合いになる可能性があるということだ


「私としても君が危険な人物だと言うことは承知してるさ でも今回の件は虚無が関わる 四の五の言ってられない状況なんだ 頼むよ…」


「…保証はできないよ それでもいいなら会おう 話の内容に折り合いがつかない場合、俺は降りる 無理に付き合う気はないから」


「…それでいい 頼むよ」


「わかった 会おう」 


我々はディラフトの船で黒金都市へと移動した



黒金都市 ついぞこの時まで来ることはなかった

白銀から離れ、黒金に渡る選択肢が、俺にもあった 

渡るべきだったのだろう 今だからこそ言えることだけど

義理はあった 都市へのではない 白銀白夜個人に対して

だがそれも充分返した だが、どこかでこうも思った どこへ行こうと変わらないと…


黒金は実力主義、成果主義だ 

実力さえあれば認められる だが、俺には、認められるということがどういうことなのか、想像できなかった 

そんな未来を、想像できなかった


都市の中央区に入る 

夜の市民エリアで人が忙しなく歩いている

こちらを振り返るものはいなかった


大きなビルの中に入る 白銀のビルのような潔癖さと権威の象徴みたいなビルとは違った 質実剛健 機能性を重視した作りに好感を持てた


ビルの最上階へエレベーターで向かう 

透け窓から外を眺める

街の景色が見える 光輝く街 

この下にたくさんの人々が暮らしている そのことに今の自分は何を感じるのか 特に感じ入るものはなかった ただの風景に見える 過ぎて消える、映写機の画像みたいだ やはり俺の心をこちらではなく、あちらにある


「ま、いや、冬 君は、私を恨んでいるかい?」


「は? なんで? またなんかやったんじゃ…」


「いや、そうではなくて、私が、ザインクラフトの技術を黒金に提供した件さ」


「ああ …思うとこがないわけじゃないけど、技術って漏れるものだし 俺だって過去の遺物の技術研究はする そこは、言い合っても仕方なくね?」

いい気分はしないけど、だからといってこの世界で生きてる人間に抗わずに死ねとはさすがの俺も言えない

ましてや再現したのがこのウルトラトンチキだ

こいつならありうる そう思わせる存在だ


「そうか、でも、一応礼儀として言わせてほしい すまなかった」


「…おでれーた 君も謝罪するってことを覚えたんだね 15年、か そりゃ変わるよな」

時間の流れを感じさせた


「ふふっ そうかもね…」


「真白 もうわかっていると思うけど、ここは黒金都市だ そしてここにいるのは…」


「黒金極夜」

黒金都市の統主 少なくとも俺が伝え聞く都市のトップの名前だ

15年だ 変わっている可能性もあるけど


「彼は、そうだな 仕事と私生活を分けて考えられる方だ だから仕事で会う以上、失礼のないようにお願いね」

それ君が言うの?


「どう反応していいか困るねそれ」 

失礼の塊のような男なのに…



「露骨な態度は取らなくていいけど、常識の範囲でね」

常識がない男に常識を語られるってのも、素直に頭を縦に振れない…


「俺に礼を求められてもね まぁ、できるだけ気をつけるよ」

一般市民以下の人間に礼儀作法法など、あろうはずもない


「お願いね」

ディラフトにも役職のつく人間への気遣いができることのほうが驚きだ




最上階について、長い廊下を歩く


扉の前で それじゃ、開けるよとディラフトと告げる



「ようこそ 黒金都市へ」

扉の先で男が告げる

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