観測防御
「お前、しゃべれるんだな」
「え?それ、気になる? 怪物は喋るべきじゃない、みたいなの? そういうこだわりも嫌いじゃないけど、でもぼく別に怪物とかじゃないよ わかってるとは思うけど、これ、ただのおもちゃだし」
そう言って自分を指す ずいぶんと高いおもちゃだことで
「誰なんだお前?」
「そうだな~ こうやって相対するなら、名前って必要だよね ぼくの名前はケイオス、とでも名乗っておこうかな ついでにこの憑神はアジン・ダーワね」
「そんな名前の憑神、俺の記憶にはないんですけど」
「そりゃそうだよ ぼくがこの世界の憑神をモデルに作ったんだから」
憑神って造れるんだ...
「別におかしくはないでしょ? 君だってこの世界でそれなりの設備を用意できれば同じようなことはできるはずだ やるかどうかは別としてね」
あまりにもこの世界の存在としては歪なことを喋っている
「サジャとウジャをやったのはお前か?」
「名前は知らないけれど、この町に入る前に邪魔だった連中とはひと悶着あったよ このアジン・ダーワの性能確認もしたかったからちょうどよかった」
だんだん事態が溶解してきた
「それにしても、ここ(空想世界)はいいね、ぼくらのような存在も入り込みやすい」
「俺としては、ごめんこうむりたいな てか勝手に人んちまたぐなや」
「別にいいだろそれくらい 遠慮するなよ 一緒に遊ぼうぜ ゲームってのはそういうものだろう?」
なんて自分勝手な奴だろうか
「遠慮云々言うのはお前の権利じゃねぇから てかさ、お前か? 春を中に入れたの?」
「いんや? 違うよ だいたい誰かなのは予想がつくけど い~わない! てか、春って誰?」
適当言ってんな 知らないけど匂わせたい、なら最後までやれよ
「お前でもないのかよ 何人関わってんだよクソが」
「仕方ないよ 君みたいなのは、なかなか出てこない そういう時はさ、みんなでお祝いしなきゃ なぁ!!」
誰だよみんなって みんなとか使う奴、嫌いだな だいたい俺が含まれてないやつだ
「もう一度聞くけど、あんた、誰? 名前って意味じゃないよ どういう立ち位置の人で、何が目的って意味」
「ぷっ それを聞いて、教えるとでも?」
「少なくとも俺を探してたんだろう? なぜ探してたかくらい話したら?」
「う~ん そうだな ほんとは別に隠すほどのことじゃないんだけどね」
うんうん考えてる間も楽しそうにこちらを見ている 無機質な憑神の顔からでも向こう側のガキのいたずら心が伝わってくるようだ
「うん、やっぱりただってのはいただけないね だからこうしよう ぼくに勝てたら、好きなことを一つだけ教えてあげる どう?」
「勝てって言われてもねぇ」
今ある装備では、かなりキツい
「ぼくとしてもちょっと申し訳ないんだよね 勝手に先行しちゃって だから君の品評会もしておこうと思ってね どう?それ、気に入ってくれた?」
そう言ってケイオスは俺の左腕を指す それで合点がいった
「お前、あの時の虚無か」
この腕のことを聞きたいところだけど、どうせ答えないだろう 知りたければ勝てってことね
「虚無? ああ、今の時代で言えば、確かにそんな表現が似合うかもね 気に入ったよ 次からはそう名乗ろう ぼくは、ケイオス・ヴォイドだ」
「ほんとにノリみたいなやつだな」
「実際にそんな感じだよ? ほかの人たちがどうかは知らないけど、ぼくとしてはひさしぶりの生身だ 楽しめれば、それでいいかな?」
会話からも妙に情報をこぼす奴だ どうでもいいというのも本当なのだろう
「もう会話はいいだろ? 時間は充分稼いだ 雑魚に興味はないし、君自身もいい加減準備できたんだろう? 始めよう 楽しみにしてたんだ え~と、君、名前なんて言ったっけ?」
御丁寧にこちらが準備をするのを待っていたらしい
「...冬だ 真白 冬」
「そんな名前だっけ? ああ、名前、失ってるんだった かわいそうにねぇ ぼくは食ってないよ 言っておくけど じゃあ冬 始めようか 現在の真白冬の出来を、ぼくにみせてくれ」
ポツポツとダーワの周りに黒い光が凝縮し始める
「一撃で死んだりしないでね?」
一撃で死ぬような攻撃を撃たないでほしいね
黒い光は光の速度で走る 人間の動体視力ではもちろん、どんな生物にも光より速く動くことなどできない 黒い光ではあれど、光の速度で飛んでくるのなら避けられない なら受けきるか? 否 一撃でもまともに受ければ終わる ゆえに全てかわす
黒い光の柱が無数に走る
冬も走る 光の速度と並走するように
「ん?」
ダーワから見ても不可思議な現象だった それは光の速度と冬が並走してるのが、ダーワにも見えているからだ 物理現象の理屈が合わない どういうことだ
相対性光速調整器
対光速兵装 物体は光の速度を超えることはできない
この遺物は光速で動くものと使用対象者の速度を均一になるように帳尻を合わせる
光の速度を追い越せるわけではないが、光速と自分の速度を均一になるよう調整できる
だからダーワからも見かけ上は光が遅くなっているように見える
どのような原理なのかは一切不明 現代科学では再現不可能の唯一品
プネウマシュトラス作の冬の一番のお気に入りであり、初めて手に入れた遺物
両手が重なりあっている翼のような意匠をしている この遺物を刻紋にして肩に刻んでいる
プネウマシュトラスとは、ロハネに並ぶこの惑星で最高峰の遺跡・遺物の関係者だ
ロハネは人類に対する悪意から遺跡・遺物を作成してるが、プネウマは逆 人類への好意で遺物・遺跡を作成してる 難度は高いがそれでも死人が極力でないように配慮されている遺跡で各都市間でも人気が高い ロハネとは対極の存在として語られている存在だ
白銀都市との戦争時、白銀兵は当然のように光学兵器を乱用した
相対調整されるのは光学兵器のほうなので、周りの人間は相対的に遅くなる
光学兵器を使うことが逆に自分たちの足かせになったのだ そうでなければもう少し苦戦していただろう
「いぃ~ういいいいいいねぇええええええ!!!」
ダーワは鼻息荒く楽しそうに歓喜する
やはりこうでなくては 久しぶりのシャバの空気はさあ!!
黒光を複数生み出して、撃ち出し続ける
躱す 躱す 躱す!!!
「かわすだけかい?」
上に飛んだ冬に殺到する光の束 その黒光が冬の残像をすり抜ける
「攻撃してこないと、勝てないよ?」
冬はよけるばかり、支柱を盾にしながら、飛び回り、こちらからつかずはなれず
どうしてもよけきれない攻撃は、フォースフィールドを発生させて、横から叩いて弾く
なのに、攻撃はしてこない ずっとこちらを観察している
「間合いを、測ってたんだよ」
間合い?何言ってんの?
「観測防御を突破するための間合い」
ぴくりと反応する
「できんの?」
「さぁ?」
この野郎!
観測防御というのは拡張技術の逆だ 存在学において、自分も他者も己を観測することでその存在を担保する 世界というフィルターを通して存在を知覚する なら世界が見ている感覚器を人体に見立てるなら? どうなるか? 人のように数えるなら5つ 視覚 触覚 味覚 嗅覚 聴覚
世界もまた、これと似たような感覚で人という存在を捉えているという過程で
ならその感覚器を閉じてしまえば、世界から自分は映らないのでないか?
という試みだ 世界から観られることをやめるのだから、当然自分からも相手をその感覚器で捉えることはできない 視覚を閉じるなら視覚情報から相手を捉えることはできなくなる 世界的な盲目だ
簡単に説明すると
「こちらが視界で捉えている姿はダミー情報」
こちらの視界に映る奴に攻撃しても攻撃は通らないのは、視覚情報界に実態がないから
視覚情報界以外の領域に存在している奴の実態を見つけて攻撃を当てないといけない
お前が首をよく振るのは、観えてないから だろう?
ようはカモフラージュだ 目以外の感覚器で情報を取得しているのを隠すため
こいつの使っている黒い光は
汚染光 物性が変化してる光によく似た何か
振れたものが凍っているところを見ると、物性が反転してるのかも
サジャとウジャを討滅したのはこいつだろう 光学系の武器には特殊な性質を付与しやすい 加えて光速だ 対策がなければほとんど一方的に完封されるだろう
こいつには視覚領域がつぶされているので、光熱系の武器は効かないと考えたほうがいいだろう だから日輪は意味がない そもそもこんな狭いところで日輪は使えない
加えてあいつの存在規格はⅣ 存在規格とはその存在がどの次元に属してるのかを表すもの 俺や冬真は弱ってこそいれ、三次元上の存在だ だから存在規格はⅢということになる ナツ達は二次元上の存在だからⅡ、ということになる
アバターを使うことで己の存在規格を並列に調整はできる だからこそ、アバターはこの空想世界でも空想情報に干渉できる
あいつが、存在規格Ⅳということは、あいつは俺よりも上の次元にいる つまり時間を観測してるということだ
問題はなんの観測器官で観測しているのかだ
せっかくあいつの存在している五感界域を見つけても
あいつの観測している時間軸上では攻撃を察知されて回避される
これが、あいつを倒せない理由 あいつがここにたどり着いた理由もおおかた総当たりしたのだろう あたりの道を引くまで 時間を観測できるならさもありなん
「いいよ、いいよ、いつまでもつきあうよ~」
そうやって冬と鬼ごっこに講じた
まるでネズミを追う猫の図だ だが、唯一違うのは冬の眼におびえはなかったこと
しっかりとダーワを見据え、何かを解析しているということをダーワは気づいていながら放置した 全力の彼をみたいという欲望に沿って そして
「だいたいわかった」
冬はそう宣言した
コード:透ける世界は存在規格Ⅳという理由だけなら、効果はあったと思うが、視界情報をシャットアウトしてる相手には無意味 あいつは視界にものが映ってもそれが何の情報を含んでいるのか、危険か安全かの判断すらできない 理解できないものは効かない
だから、あいつの見えている領域で、見えないように攻撃を叩き込まないといけない
戒律を刻み、コードを書き換え、空器を解禁する
これだけやってようやくつりあう 己の中にあるか細い勝ち筋を探してシュミレートする 自分の中で己の理想をくみ上げていく
「コードを実行する テーマ:《加える世界》」
空器弾セット、戒律:神様の一人遊び、制定
防護殻による在核の保護を確認
冬は両手で顔を覆う ほんの数秒 ほんの一瞬だったようにも感じる
だが、その指の隙間から覗いている爛々と輝く虹色の瞳がこちらを見ていた
顔を上げたとき、空気が変わったようにも感じた 気のせいかもしれない、か
嫌な眼だ 嫌な奴を思い出す あの眼をしてるやつはろくな奴じゃない
「準備はできたの?」
万全の状態で見たい 真白冬を
「ああ、1分で終わる」
冬はそうはっきりと宣言した
「あ?」
ぴくりと頬がつる
だが、嫌な予感は払拭できなかった
神様の一人遊びが、はじまる
冬は左手をこちらではなく、まったくあさっての方向に手を挙げて弾を撃ち出した
ダーワは最初、それを訝しんだ 何をしてる?
「普通、視覚から空間や時間を捉えるのは難しい」
情報と、一言でいっても、人間は目で味がわかるわけではない 世界もまた、すべての情報を一つの感覚器で捉えているわけではない 情報を乗せる机が違う
「あ?」
何言ってんだこいつは
「プネウマシュトラスはおそらく触覚思考者だ 空間や時間のようなものに接触するのは触覚思考者のほうが相性がいい 触覚感覚を拡張することで、世界に触れていたのかもしれない」
だから、プネウマシュトラスの遺物を間に噛ませて、俺も空間や時間に弾丸を撃ち込んだ
それを理解したダーワは心なしか表情をゆがめたようにも思えた
「おまえ!」
俺のやったことが見えてきたのかもしれない
冬は今度はダーワに向かって手を向け、腕を振る そこから弾丸が発射される
それをかわす しかし弾丸があらぬ方向から当たる
それを時間観測情報からわかったので、別の方向にかわす しかしそれでも当たる
どうなってる? 仕方がないので、黒光の槍を使って攻撃をはじく なのにあらぬ方向から弾丸がいつの間にか当たっている
クソ、時間や空間を媒介にして弾丸を飛ばしているのか!
冬の弾丸はまっすぐ飛んでない 弾丸が直角に曲がったり、カーブしたり、速くなったり、遅くなったり、一時的に止まったり 刻紋として物質を取り込む際にその武器の持つ性質を情報として抽出することができる 銃の射出能力を情報化し、カーブする情報や直角に曲がる情報なんかをアレンジして組み込む
だが、今回のことに関して言えば直進するとかしないとかの問題ではない
冬は時間や空間に弾丸を乗せている 時間を観測するダーワが見えていても避けられないタイミングで弾丸を撃ち込めるように
「ザインクラフト使い相手に、時間や空間の操作が必ずしも、有効打にはならないことが証明されたな」
ようは使っている奴の能力次第
「ふざけやがってぇえええええええ!!!」
全方位に無差別で黒光を一斉掃射する 絨毯爆撃だ
だがそれは逆効果だ かつての白銀と同じ醜態をさらした
ふわりと背後に冬が降り立つ 振り向きざまに黒光の槍を薙ぎ払うがすでにそこにはいなかった
どうやっている? 観えなかった? どうやって
「味覚だろ」
ぞくりとした
蛇の舌で危険を察知する 拡張された舌の味覚情報は触れていなくとも対象の危機を予見させる
弾丸に匂いを乗せてみた だがダーワがそれに反応した様子はなかった だから今度は味覚領域に存在する弾丸を生成した あくまで人体に見立てた区分でしかないが、世界の知覚する味とはいかなるものか その未踏の領域に踏み込まないといけない
冬の得意分野は視覚領域だ 絵描きに料理をさせるようなものだ 困難を極めた
だが冬はその味を調合した 世界の味覚領域が拾うことのできる情報を含んだ弾丸 お互いの味を隠すように、あるいは強調するように仕込んだ いくつかは知覚されるが、全部当てる必要はない 味の強い奴で弱い味を隠す 単純な作業だ 相手の感覚器に情報を意識させなければいい 一発でもあたりさえすればいい 冬がやっていることはこちらの感覚器の性質を精緻に観察し、その感覚器では拾いやすい味と拾いにくい味、互いが打ち消しあう味を把握してるということ 間合いを測るとは、こういうことも含まれる
ダーワは、はっきり言って味音痴だ 冬のような拙い奴の料理でさえ、ギリギリ騙せる程度には もっとその分野に精通し、極めた情報強者なら、対応されただろう
性能だけ高いおもちゃをもらった子供 それがケイオスだ
時間領域に干渉するためには、触覚領域の情報構造も持たないといけない
複数の領域をまたげば見つかり、対応しやすくなるが、ケイオスの能力値ではそれができない 冬は相手の対応能力の低さに助けられていた
「ここから先は全て決まってる」
神様の一人遊びは指定した時間内の自己の行動を全て先に入力する その間、やっぱや~めたはできない 人にはたくさんの選択肢がある 可能性というリソース つまり未来をくべる代わりに、足りない存在処理リソースを確保してる 自己の存在を一つのことを成し遂げるために先鋭化させる
「だ、だからなんだ! 当たったって、大した威力じゃないんだよ こぉんなの、ぜぇんぜん、へいき、なんだ、よぉおおおおおお~!!!!」
今回攻撃力は必要ない 俺の存在強度ではあいつの存在強度は貫通できない
だから、別の搦め手を使うことにした
「! なんだ?」
ダーワは足をついた 体が重い だが理由がわからない 自己の存在情報を参照するが、異常ば見られなかった なんだ? なのに処理能力が圧迫されてる?
ウィルスか! あの弾丸に存在処理能力を圧迫するような何かが潜んでいるのか?
時間領域まで伸びた感覚域は本来普通の人間には対応しきれない
観測されてしまえば、それの危険性に気づいてよけることに全力を尽くすだろう
だが、冬は時間や空間に弾丸を潜ませた そして必中する確率の高い弾丸にのみ、ウィルスバレットを仕込んだ 存在処理能力を圧迫する冬お手製のウィルスを
ケイオスの情報精査能力では冬のウィルスをウィルスとして認識することはできなかった ハッカーとしての能力に差がありすぎるとこういうことも起こる
もっと極悪なウィルスも存在するが、存在強度が自分よりも強い奴や情報処理能力が高いと簡単に除去されてしまう可能性を考慮して、気づかれにくい処理能力のみに負荷をかけるウィルスを用いた
「きたねぇぞ!」
「汚い?言っている意味がわからないな」
喋る言葉も全て録音のようなもの つまり
「ぼくが喋る内容も想定内ってか? バカにしやがって!」
黒光の槍を振るう しかし腕が麻痺してるかのようでうまく触れない
冬の腕周りの情報が拾えない いつの間にか弾丸を撃ち込まれてる どこからどの角度で撃ち込まれてるのかさえ、理解できない
ウィルスがどんどん増えていき、こちらの処理能力を圧迫していく
冬のアクションをどんどん拾えなくなっていく 拾えなくなれば、さらに弾丸を撃ち込まれる 悪循環だ 情報収集器がいくら優秀でも処理能力が及ばなければ、無用の長物だ
「途中からずっと思ってたことがある」
「なに?」
「お前、あまり賢くないだろ?」
ぴきりと切れそうになった
「それだけのスペック持ってる憑神使ってて、俺程度に負けるって ダサすぎ」
彼我のスペック差は圧倒的だった 純粋なスペック勝負ならこちらに勝機はなかった 無駄に搦め手にリソースを割いたせいで、ドツボに嵌まった 観測防御も存在規格の上昇も単品で見ればあまりにも破格な性能
こちらが情報収集して、準備を完全に整えるのを待ってしまったら、勝てるものも勝てない ザインクラフトは情報戦がほとんど 全部そろってしまえばあとは決まった手順で調理するだけ
空器とは理論上あるとされる存在エネルギーの素となるもの
まだ未使用の存在エネルギー 世界にはそんな未使用の存在エネルギーが微弱に存在している
人などに宿る存在エネルギーには型や色がついているため、人から存在エネルギーを抽出し、別の存在に移すには時間がかかる 存在エネルギーの色を落とし、無地にする洗浄を行わなければならないからだ だが空器は違う 元から無地の状態だ
それらを集めて弾を作ることができれば、己の存在エネルギーを消費せずとも弾を補充できる 観測する方法と加工するための技術が必要になるが、できるのならガス欠はしない それを戦闘中にやるのは至難の業だが、戒律を刻むことで処理リソースを確保したのが大きい
冬はそれを用いて、ウィルスバレットを作成した、ダーワの情報処理能力は高い
だが残念ながら、扱っているケイオス自身の情報精査能力が低かった ウィルスバレットだということすら、理解できず、ウィルスが自己の存在処理能力を圧迫する段になってようやく理解する始末 実質弾切れがないので、観測防御があるからと受けるのは下策 どんどん負債がたまることになる 物理的に攻撃が通らないことは関係ない 演算リソースそのものに攻撃し、逼迫させるのだから どんどん処理落ちのように、動きが鈍くなっていき、いずれは存在停止するだけ
加える世界とは時間の前借りだ 例えば一分間前借すれば、一分間、通常の二倍の速さで動ける さらに時間を圧縮すれば短時間、すさまじい速度で動けるようになる かわりに使い切った後は、一分間指先一つ動かせなくなる、というもの 言葉にすれば単純明快 存在処理能力を上げる
全ての要素が組み合わさることで、足りないリソースを処理能力に費やし、フレームの強化に当てた フレームが高まれば、相手の一秒間に情報を取得し、理解し、対応するという工程の隙間を抜ける つまり相手の観測をすり抜けることが可能になる
こいつのおかげで相手の未来観測の外から攻撃が当てられた 相手の存在処理能力を上回った結果だ 相手の未来予測よりも先の未来に攻撃を置いておく それだけでいい さらに時間領域にウィルスを忍ばせて奴が取得する未来情報をダミー情報と挿げ替えることで、あいつの行動をある程度、コントロールもできた
相手は攻撃を受けるたびに情報処理能力が下がり、こちらはどんどん処理能力を上げていく 必然相手は冬の動きを追えなくなる 冬が相対的に速すぎて、冬のアクションを相手が一時的に情報処理できなくなったから見えなくなっていったということ
人間は一秒間に取得できる情報は限られる 人間以外でもそう ダーワだろうと世界だろうと同じ
戦いは互いの利点をいかに生かしたものが勝つ 自分の利点を殺し続けた奴に勝ち目はなかった
「お前の、負けだ」
敗北宣言をした




