表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザインクラフト  作者: 白黒灰無
第1章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/95

VSジャクラ②


「あ〜あ、もったいねぇ…」


ビリビリと痺れ、身体が痙攣し、痛みで悶え苦しむ様を見るのは最後だ。だが… 


いつもそうだ。終わってから後悔する。


戦いってのは虚しいな。強い奴をいじめるのはこんなに楽しいのに、すぐに終わっちまう。


「コイツもまた…ありゃ?」


先程まで確かにそこにいたはずのマシロがいなくなっている。


ジリジリとマシロの形をしていたものが揺らぎ、そして消える。


馬鹿な!確かにそこにいたはずだ!手応えもあった!


なのに…どうして?


何処に行った?


周囲を見渡すが、どこにも当たらない!


跡形もなく消え去ったわけじゃない!本当に影も形もないのだ!


「お〜い!どゆことやね〜ん!お預けとか、そりゃ!ねぇ〜だろぉ!!!」


ジャクラは叫ぶ。勝利でも敗ベくでもない。


事態の急転に。


死んで欲しかったわけじゃないが、殺すつもりで殺った。

殺すつもりでやった上で生き残ってほしかったのであって、こんな結末は望んでいなかった。


仕方ねぇ…叫んでいても意味はねぇ。外探すか…


そう考え直し、踏み出した。


その直前にドカン!と激しい爆裂音が鳴る。


「ゲホゲホ!痛ったぁ〜!」


「あ~あぁ… そういうことするわけね」


パラパラと屋根が吹き飛んで、階下に落ち、瓦礫の中でそう零した。


ダメージはほぼない。それでも足止めにはなる。


相手が大量の光と音にやられているうちに、こちらは存在を薄め、姿を隠す。


刻紋は設置型の武器としても使える。


市街戦だろうが、野営戦だろうが、こちらに時間を与えればその分、この町の要塞化を進められる。


まともに戦っても決定打を打てないならば、時間をかけてジャクラを削る。長期戦に持ち込む。


そう考えた直後、町中で悲鳴が上がる。


「ダエワだ! ダエワどもが攻めてきたぞ!!」


街中で殺戮が始まる。人を殺し、喰らい、犯す!


血に飢えた獣どもが町を蹂躙し始まった!


人々の悲鳴が響き渡った!


「マシロ~ このまま放置すれば町は大変なことになるぞぉ〜い!」


ジャクラはこちらを挑発してくる。


「弱いやつは嫌いだが…時々、好きだ。お前みたいなつぇえやつの気が引ける道具になる。弱いやついじめておびき出す作戦だ。」


「ほぅら!」


「た、助けて!」


人を片手で掴み上げてこれみよがしに振り回し、そして頭をバグりと喰らう。


ゴリゴリと嫌音をわざと鳴らす。


『マジ、かよ…』


冬真は頭が真っ白になる。


人が、人を食べている。


ダエワという種族から発せられるそれは、

決して人類との共生が不可能だと物語っていた。


『冬!』


「無理だ。囲まれれば、負ける。奴らは味方を巻き込んだ攻撃だって、平気でしてくる」


『で、でも! 人が!』


「黙ってろ」


ビクリと冬真は震えた。


冬の声も表情も色が抜け落ちた様に、異様な雰囲気を感じた。


「う~ん、出てこないか... まぁいいやな、出てこないってんなら次の手に移ろう!」


地面が盛り上がって突起物が突き出す。


じりじりと蓄電を始めた。 


ジャクラの【地縛雷エクサ・デルトラム】が来る!


「飛ぶぞ!」


喋るよりも先に宙に舞う。 


バリバリバリッ! 


地面を駆け巡る雷撃地雷。 


無頼二式の効果により、力場を爪のように変化し、空に突き刺すことで地面へ落ちることを防ぐ。 


『ヒマワリ達は?』


「大丈夫だ」


ヒマワリ達のほうには攻撃は届いていない。


「マシロ〜!お前は強い」


「だ、か、らぁ〜!」


「コソコソ隠れんなよ、しらけんだろ…」


雷撃地雷が地面を走りながら周りの人々を巻き込み、建物を吹き飛ばし始める。


「これで、見晴らしが… おぅや?」


ジャクラの周りに人集りができ始める。 


「お? おたくらも交じるかい? いや… こいつは…」

その人々には生気がなかった。


人々がジャグラに凄まじい速度で襲いかかる。


軽くいなしてやろうとすると、


カチリ。


「あん?」


ドカン!


人が爆風で吹き飛ぶ。


「おうおう、マァ〜ジィ゙かい… こういう戦法も取れる相手ってわけねぇ!やるじゃな〜い✩」


マシロのやつ、死体を操ってやがる!


死体を爆弾に変えてる。 


動く爆弾。


表情が緩む。 


「いいね、イイね、楽しく、なってきたああああ!」


派手な爆撃がジャグラを襲う!


『ふ、冬… これって』


「あれは、もう死体だ」

 

『で、でも!』


「生きてるやつらを、これ以上、死なせたいか?」


『!!!』


「派手な音を鳴らせば、そこに人は近づかない。敵も、あそこまで爆発がすれば近づかない。必然、被害者は減る」


『言ってることは、わからなくも、ないけど』


飲み込むことは、難しかった。


「全部は選べねぇよ。せめて、生きてる奴を生かす」


その時、


「ちっ!鼻の効くやつだ。もう、こちらを見つけやがった!」



「呼ばれてないけど、飛び出すワガハイ、パート2!」


ジャクラが飛んでくる。


あの爆撃は決して安くはない。


顔の半分が吹き飛び、他の部位も炭化し、骨は覗いていた。


もうジャクラはボロボロだった。


なのにそれを感じさせない勢いでこちらに高速で迫る。


避けきれない!


馬小屋に突っ込んきて、馬小屋ごと吹き飛ばした。


『冬!平気?』


「死んてはいないから、多分平気だ」


『そ、そう…』


冬真はドン引きした。


そういう問題か?


今のフォースフィールドでは防ぎきれないと悟り、

存在維持ザイ・ハルツェンを使って防御した。 


存在を維持している間は、存在エネルギーが尽きない限り、発動前の状態を維持する。


見た目上はダメージは見られない。


服さえ破けてはいない。


できる限りダメージは殺したが、それでも存在エネルギーは結構もっていかれた。


予定とはかなり異なるが、ジャクラはここで殺す。


じゃりじゃりと破片を踏みながらジャクラがやってくる。

「よ~ マシロ。あれくらっても無事なのか。マジ強くなったな~。感心感心、うれちぃ〜!」


俺は両手をフォースエッジで覆う。 


ジャクラはいぶかしげにこちらをみやる。 


あごひげを撫でながら何やら思案する。


「それにしてもよぉ〜」

一度下を向いて、思考するように額端をかく。 


そして、


「お前、だれだ?」


俺は答えなかった。 


誰かなど互いを確認しあう必要はない。 


殺しあう相手の素性などどうでもいい。 


必要なのは、 

どうやれば殺せるか、 

それだけわかればいい。


昔からそう。 


掃きだめを生き抜いたあの頃も、遺物回収で遺跡に入り、幾多の死地を乗り越えて、教団や純潔派、そして白銀都市との戦争の時も、 

殺す相手のことなんてどうでもいい。


俺が生き残ることが重要だ。 


殺す奴のことをどうしても知りたければ、殺した後に調べればいい。


「んほっ♪ いいね~、お前が誰でもいい。俺を楽しませてくれるなら、誰でもな!」


ジャクラは構えをとる。 


来いよ、そう言わんばかりに手招きをする。


俺は刀も持っていないのに、手刀で抜刀の構えをとる。 

ジャクラは距離があるにも関わらず、それをカウンターではないと判断し、その場を飛びのいた。 


先ほどジャクラのいた位置に斬影が走る。 


そのまま背後の壁を切り裂いた。 


相手が飛びのいた瞬間には、すでに納刀済で次の構えが完了している。 


ジャクラは距離を開けるのはまずいと判断し、こちらに飛び込んでくる。そこにすかさず次の一撃を入れるが、今度はかわさずに半身で片手に全防御を振り固める。


 

瞬足の斬撃がシールドを突き破って肉に到達する瞬間にひねりを加えて、斬線をいなす。 


相手は片手を犠牲にし、こちらの攻撃を完全には防げずとも致命傷を避けながら、攻撃用の片手は残していた。

「おわ~り~だぁ~!!」


雷砲に変形した片手を突き出し、俺にとどめの一撃を加えようとしてくる。


ふわりと俺は雷砲の銃口に、抜刀していない右腕を添える。


「空断」


「!!?」


すさまじい音とともに、ジャクラのほうへ向けて雷裂弾が暴発する。


雷土の性質は空気を通らない。 


高圧で圧縮した空気の球を、

ビクビクと痺れて跳ねているジャクラに。 


俺はフォースエッジで強化した左腕で、ジャクラの首をたたっ切る。加えて、落ちた頭を踏み砕く。 


ダエワは頭だけでも半日は持つし、首を胴体とくっつければ割りと簡単に再生する。


なのに、思わず舌打ちする。


首無しの体が立ち上がる。 


バチバチと体に帯電がみられる。 


肉体に雷土で信号を送ってるのか。 


まぁいい。 


首を落としても立ち上がるなら、立ち上がる足も粉砕する。 


足がなくても立ち上がるなら、立ち上がる意思を粉みじんにしてやるまでだ。


頭がないとは思えないほど鋭い拳が飛んでくる。 


それを右手でいなし、左手でこぶしを胴体に叩き込む。


 

しかし、それでひるむことはなく、左手を絡めとって寝技に持ち込もうとするので、足を胴体に回して放り投げる。



フォースエッジで強化した手刀と、雷土で限界を超えて強化した手刀がぶつかりあう。 


激しく互いをはじきあい、激しい音を鳴らしながら打ち合い、いなし、躱す。 


幾度かの鍔迫り合いをするが、どんどん相手の雷撃はその性能を落としていく。 


俺のフォースエッジはただの力場を生成するものではない。存在の情報へと干渉する。


相手の身体能力だけではない。


スキルや能力にも少しずつ少しずつ影響を与える。 


雷撃がこちらの処理能力を麻痺させるように、

こちらはそれをいなしながら、

こちらの割り込み処理で相手の能力を遅延させていく。


そして、そのときは訪れる。


動きが鈍ったところを、俺は見逃さなかった。


腕をからめとり、返し手で相手の胴体に突き入れる。 


痺れて動きが鈍った相手の両足を両断する。 


それでも立ち上がろうとする両腕も両断する。 


最後に二度と駆動できないように何度も心臓を突き刺し、停止するまで続けた。


完全に動きを停止するジャクラ。 


頬についた血をぬぐい、その場を後にする。 


『...』


冬真はあまりの凄惨な殺し合いに、言葉を告げられずにいた。


これが、この世界の現状。


これからもこれと同じことが起こる。


敵にも、味方にも。


これからのことを想像し、陰鬱な気持ちになった。


冬は敵を殺した。 


その方法に落ち度はなかった。 


だが、停止したという状況を死んだと判断したのは早計だった。


ダエワは心臓をつぶされても即死はしない。 


頭を潰すことが重要。 


しかし、頭を潰してもなお動いたということを、もっと警戒するべきだった。


ジャクラの血溜まりが、小さく泡立った。


ジャクラの憑神はまだ――姿を見せていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ