2話 満月の夜に 前編
空に満月が出ている深夜二時…
女性が一人で歩くには遅い時間だ…
女性は仕事帰りなのだろう…
後ろから殺気を感じた女性は気持ちが悪くなり駆け足で逃げるようにその場を去ろうとした。
しかしその女子が後ろを振り向くと…
「イヤァァァァァァァァァァッ!!」
鮫島五郎の家の扉が開く…
龍二が帰ってきた。
「ただいま…」
五郎が龍二を迎える。
「お疲れさん」
五郎は目を丸くした。
何故なら龍二が霊を連れ帰ってきたからだ。
「龍二…お前!?…」
龍二は少し不機嫌そうな顔をしながら言った。
「こいつは成仏できなくなった可哀想な霊だ…俺の悪霊退治の手伝いをしてくれた。だからこいつを住まわせてやってくれ」
五郎は戸惑いの表情を浮かべる。
「しかしだな…」
レミは五郎を見つめる。
「へぇ!御爺ちゃんも私の事が見えるの?」
「お…御爺ちゃん!?」
龍二は五郎の肩をポンッと叩いた。
「まぁ…そう言うことなんで」
五郎は欠伸をしながら自分の部屋に戻った。
次の朝…
朝食はご飯と味噌汁そして魚の煮物が並ぶ。
龍二はムシャムシャと口に頬張る。
よく食う子は育つ…そんな言葉がある…龍二は16歳ながらもうすでに身長は180cmある。
龍二の食べる姿を見てレミが見つめている。
「何だ?レミも食べたいのか?」
龍二が聞くとレミは何度も首を縦に振る。
「じゃあこれを食べろ」
龍二は残っていた魚の煮物の一つをレミにあげた。
「うわ~久しぶりの食事!いっただきま~す!」
煮物を一口食べた。
だが味がしない事に気づいた。
「ちょっと!この煮物味が全然ないじゃない!」
煮物を見ると全然減っていない…
レミは思い切って煮物を丸呑みした。
しかし食べた筈の煮物が手に戻っている。
「何で!?」
龍二は呆れた顔で言った。
「当たり前だろ…お前の肉体はもうないんだから」
レミは少し残念そうな顔をした。
「ご馳走様」
自分の部屋に戻り制服に着替え玄関に向かった。
龍二は五郎とすれ違った。
「それじゃあ行って来る」
「気をつけるんだぞ…最近この辺りで不気味な猟奇殺人が起こっているようだ」
その言葉に龍二は目が鋭くなった。
「悪霊か?」
「それはわからん」
「その事件…調べてみるか」
龍二はそう言って玄関を出て学校に向かう。
龍二は高校に行く途中、民家を通る…
歩く龍二の肩を誰かが叩いた。
龍二が後ろを振り向くとレミがいた。
「何の用だ?家で大人しくしてろ」
レミは少し悲しそうな顔をした。
「だって私達パートナーでしょ?」
龍二は無表情で再び歩き出した。
「パートナーになった覚えはない」
「ひっど~い」
レミは少し頬を膨らませた。
龍二は少し歩くスピードを速めた。
「ねぇ…龍二…一生のお願いがあるんだけど…」
「一生って…お前の一生は終わってるだろ…まぁいい…で何だ?そのお願いってのは?」
レミは一つの民家の前に止まった。
「この家がどうかしたのか?」
龍二が聞くとレミが話した。
「うん…ここはね私の家なの…私が死んでもう20年くらいになるんじゃないかな…」
「で?俺に何をしろと?」
家の中で白髪交じりの女がずっと仏壇の前に座っている。
「レミ…あんたが亡くなってから何にもやる気が起きないよ…私も良い歳だしそろそろあんたのところへ行くよ」
その女性の目の前が光った。
白髪交じりの女が目を開けるとそこにはレミが立っていた。
「レミ…レミなのかい?ずっと寂しかっただろう?私も直ぐにあんたのとこに行くよ」
レミは首を横に振った。
「お母さん…私寂しくなんかないよ…だから長生きして。まだ私と会うにはまだ早いよ」
「レミ…レミィィィィィィィ!!」
「私もう行かなくちゃ!お母さん元気でね」
そう言うとレミの姿は消えた。
その一部始終を窓ガラスから龍二は見ていた。
暫くするとレミが現れた。
「もう…いいのか?まだ時間は少しあった筈だ」
するとレミは顔は笑っているものの目から涙をこぼした。
「いいの…これで…」
「レミ…言いたくないがお前は浮幽霊だ…もうあの世には行けない…どうするつもりだ?」
レミは俯いた。
「わかってるよ…そんな事は…」
龍二はその家を離れるために歩き出した。
歩いている途中警察が集まっている現場を見つけた。
良く見てみると知っている顔があった。
彼は木島実と言うベテラン刑事だ…
実は彼と新次郎は小さい頃からの幼馴染だったのであるのだ。
かつては不可思議な事件を新次郎を新次郎に紹介したりしていた。
木島も龍二の視線に気づきこちらにやって来た。
龍二はお辞儀をして言った。
「お久しぶりです…木島のおじさん」
木島も直ぐに新次郎の息子だとわかったらしい。
「新ちゃんの生意気息子がこんな大きくなったか…お前も騎士の仕事をしているのか?」
龍二は頷いた。
「ところでこの事件最近起こっている猟奇殺人ですか?」
朝に五郎から聞いた事件の話をする。
すると木島は腕に手を組んだ。
「あぁ…この猟奇殺人は謎があってな…」
「謎?」
「当初凶器は鋭い鉤爪での反抗かと思った…だがどうやら傷を調べたところ人間の爪だったんだよ…そそれにその殺害された者達は肉を食いちぎられている…まるで獣に食われたかのようにな」
「そうですか…では急ぎますので失礼します」
「お前も十分用心しろよ」
「はい」
そう言って龍二は再び歩き出した。
レミが龍二に喋りかける。
「ねぇ…さっきの事件もしかして霊の仕業?」
「霊ではないな…邪気や怨念のようなものは感じなかった…まだ確証はないが話の状況からして狼男の可能性が高いな」
レミはクスクス笑い始めた。
「狼男なんているわけないじゃん!」
龍二は少しニヤッとした。
「いるんだよ…今の時代は少なくなったが狼男は存在する」
「信じられないなぁ~狼男なんて…龍二は狼男実際に見たことあるの?」
「まだ師匠が現役だった頃一度な…だがあんまり覚えてないな…それきり狼男は現れなくなったし俺はその頃まだ小さかったからな」
そんな話をしているうちに高校に着いた。
「レミ…くれぐれも入ってくるんじゃないぞ」
「はぁ~い」
少しレミは残念そうな顔をした。
龍二は教室に入った。
「おはよう!龍二!」
「おはよう辰巳君!」
「おはよう!」
「おはよう!」
藤次、拓也、彩、早苗が「おはよう」と声をかけてきた。
それに龍二は「おぉ」と答える。
龍二が席に座ると四人が近寄って来た。
彩が喋り始めた。
「龍二君って幽霊とかお化けとかに興味あるんじゃない?」
龍二は少しギクッとした。
「何故そう思う?」
「だってこの前七不思議の話真剣に聞いてたから…」
藤次がその会話に割り込む。
「そこでだ!龍二!お前をゴースト&ミステリー研究部にスカウトしたい」
「何だ?そのゴースト&ミステリー研究部ってのは?」
「それはだな…」
ゴースト&ミステリー研究部とは世界の怪奇事件や幽霊・妖怪などだけではなく未解決事件や凶悪事件をを調べる部活である。
藤次によると今日の深夜に最近猟奇殺人犯が出没しているからその犯人を捕まえよう!という事らしい…
えっ!?何で龍二は止めなかったって?
勿論止めたさ
「馬鹿な事はよすんだ!」と言ったけど「俺達はヒーローになる!」って聞かないもんだから仕方なくこの四人についていく事になったのだ。
続く




