素敵な学園生活12
「ミレイダがユキシェル様の所に行くなら、俺はハシュリーク様の所に行くしかない」
「変な決意持ってるよな。ナイジェルは」
ナイジェルとソランドは教室を移動する。
すると、教室の中で他の者達と話をしているハシュリークの姿があった。
「男の俺から見ても尊敬できるカッコ良さだ」
「そうだよな。所作の一つ一つが洗練されてるよな・・って、ナイジェル。お前だって気合いを入れれば同じように出来るじゃないか。それにミレイダ様なんて所作の権化だぞ。それに合わせてるじゃないか」
「当たり前だ。ミレイダの前で気を抜く事などできん。子供の頃から何度遠回しな嫌味を言われてきた事か。まぁ俺も同じだけ返したがな」
「嫌な記憶だな。もっと甘酸っぱい記憶だけを胸に抱き締めて生きていたいよ」
「お前はそうしろ、ソランド。俺とミレイダはやった後だから後戻りはできないから前進しかない」
「それは少し後退でいいんじゃないか」
「おいおい、俺が後退する姿を見せると追撃されるぞ」
「なんて嫌な婚約関係なんだ」
廊下で話していたナイジェルとソランドに気づいたハシュリークが、周りにいる者達に説明をして笑顔で別れてから教室から出てくる。
気遣いの出来る男だった。
「カッコ良さの塊でしかないな」
「見習おうっと」
ナイジェルとソランドは謎の感動を得ている。
「良く来たな。ナイジェル、ソランド。誰かに用があるんじゃないか?」
ハシュリークは背が高く、短い黒茶の髪が凛々しい、エメラルド色の瞳が印象的な男性だ。
ナイジェルとソランドは直ぐに少し頭を下げる。
「今日はハシュリーク様と話がしたくて来ました」
「ユキシェルとミレイダが一緒にいたという話を聞いたよ。その事か?」
「さすがハシュリーク様。話をしなくても通じますね」
「同じ学年の生徒ならだいたいの者達が通じると思うぞ」
そんな話をしながら扉の前から窓の側まで移動した。
「ミレイダがユキシェル様と一緒にいるなら、俺はハシュリーク様と一緒にいようと思いまして来ました」
「見も蓋もない言い方だが非常に分かりやすい。私もユキシェルとミレイダが一緒にいるならナイジェルといた方が安心できるな」
「二人がそろえば絶対にハシュリーク様と俺の話をするはずです。だから俺達はユキシェル様とミレイダの話をしましょう」
「ユキシェルの話を私がして、ミレイダの話をナイジェルがするんだな?」
「そうですね・・・」
ナイジェルは考える。
「ミレイダの話はソランドに任せましょう」
「俺は違うだろ」
ソランドは突っ込みを入れた。