ユキシェル・セイランの家
公爵家、ユキシェル・セイランの家。
怪我のないように行き届いた調理場で、ユキシェルとミレイダはいた。
周りには侍女と料理人が見守っている。危険がないか始終監視していた。
「ハシュリーク様に差し上げるお菓子が出来ましたわ。今回も一緒に作っていただきありがとうございます。ミレイダ様」
ユキシェルはミレイダに感謝する。それに答えるようにミレイダは優雅に微笑んだ。
二人の体には可愛いエプロンが着けられていた。
「ユキシェル様のお力になれて良かったですわ。わたくしもナイジェル様にまた差し上げる事ができる機会を得られて光栄です。今回だけではなく、いつでも誘って下さると嬉しいですわ」
「まぁ嬉しい。ミレイダ様をお誘いして良かったですわ」
「ハシュリーク様はユキシェル様の事をとてもお好きなので、ユキシェル様の嬉しそうな顔を見られるだけで十分幸せなのでしょうけど、こうしていつも気にかけていると知れば、もっと嬉しく思われますわ。
ユキシェル様の優しい気持ちが伝わるといいですわね」
「ええ、わたくしいつもハシュリーク様の事を思っておりますの。あの方の嬉しそうな笑顔を思い浮かべるだけで幸せですわ」
「わたくしもナイジェル様がこのお菓子を受け取った時の顔を思い浮かべると幸せを感じますの」
「ミレイダ様とわたくしは同じですわ」
ユキシェルは喜んでいた。
「お菓子を箱に詰める事までは終わりましたから、後は紙で包むだけですわね。どんな紙がよろしいかしら?」
ユキシェルは何種類もある紙を見ている。
「ハシュリーク様の色は以前にお送りいたしましたから、今度はユキシェル様の色を使ってはいかがかしら?喜ばれますわよ」
「え、そんなっ。恥ずかしいですわ」
ポッ、と赤くなるユキシェル。
「で、でも、ミレイダ様がそう言うのでしたら挑戦してみますわ」
グッ、と両手で小さく拳を握り決意する。
そんなユキシェルをミレイダは微笑ましく見守っていた。
「ミレイダ様は独特な紙を使っておられますのね。キノコの絵なのかしら?」
「ええ、ナイジェル様の趣味ですの。今、キノコがお好きなようで、わたくしも業者に頼んでわざわざ特注いたしましたの」
「まぁ!ナイジェル様、愛されていますわ」
「ええ、何せわたくし達は真実の愛の絆がありますもの。このぐらい当然ですわ」
ミレイダの持っている紙には、赤い毒キノコや紫色の毒キノコや斑点のついた毒キノコの絵が描かれていた。




