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黒き弾丸と白き学園の守り巫女  作者: 藤原ミヤビ
第1篇 私立桜林学園の新入生
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第11話 立て篭もり、公開討論会

 それは唐突に起こった。部活動勧誘週間が終わってまだ一週間にも満たないある日、僕達生徒会はいつもどうりに仕事をしていた。

 僕は仕事をしながら喫茶店へ行く日をいつにするかで悩んでいた。会長はいつでもいいと言っていたが。悩んで、もやもやした頭をスッキリしようと風紀委員が訓練しているであろう訓練棟へ向かっているときだった。突然スピーカーから声が聞こえて来る。


「全校の皆さん、僕たちは部活動の差別撤廃を目指す有志連合です。僕たちは部活連、生徒会に部活動での完全な差別撤廃を要求します。繰り返します。僕たちは…」

「有志連合ねぇ。厄介な事になってきた。」


 突然の事で騒然とする校内を駆け抜けて生徒会室へと戻った。まさか壬生谷先輩の言っていた事が本当に起こるとは。


『なるべく早めに対策した方がいいわよ。こういう思想を持った人達が動き出す前に。』


「会長。何者かが放送機器を乗っ取り放送しています。」

「知っている。おそらくだが彼らはハッキングの技能がない。この学園内にコンピューター部という部はないしな。だから直接放送できるところに出向くしかなくなる。あいつら、かなりの強硬派らしい。」

「という事は奴らは放送室ですね。行きましょう。」


 僕らが放送室の前へ向かうとそこには風紀委員会がいたが、放送室は内側から鍵がかけられて身動きが取れなかった。


「委員長。このままでは埒が開きません。やはり強行突破をした方が良いと思います。」


 と佐奈さんは言うが、


「ダメだ。強行突破なんてしたらあいつらの意思を受け付けない事になる。それに彼らが抵抗して放送機器が破損する恐れがある。そしたら差別どころじゃなくなるぞ。」


 委員長はこう言っているのを考えると強行突破はできないだろう。生徒会メンバーもどうするか考えるが、なかなかいい策が思いつかない。だが僕にある最悪な考えが思い浮かぶ。結果的には上手くいくかもしれないが、相手は深い傷を負うかもしれない。できればやりたくない、そう思っていたが。放送室の中から聞き覚えのある女性の声が聞こえた。


 …まさかこの有志連合の中に壬生谷先輩がいる?もしそうだったらこの立て篭もりはすぐに片付く!


「委員長、もしかしたら僕の知り合いが、この有志連合にいるかも知れません。その人に連絡してキーを開けてもらいます。そしたらその人()()を取り押さえる。これでどうですか?」


 委員長は考える事もなく即OKを出し委員達に指示した。それを見た僕は壬生谷先輩に電話をかけた。


「もしもし藤堂君。」

「先輩、今何処にいますか?」

「校内放送から声出てたでしょ?放送室よ。」

「今僕達そこの前にいます。」

「ええっ!?」


 先輩はひどく驚いた様子だった。今自分達が包囲状態にあることを知らないみたいだ。


「先輩、これ以上の立て篭もりは無意味だと思います。扉のロックを解除をしてもらえませんか?その代わり先輩の自由と安全は保障します。拘束もしません。それでよろしいですか?」


 先輩は考えると言って電話を切ったがすぐにロックを解除したようだ。ガチャ、という開錠の音が聞こえる。


「全員突入!」


 委員長の声で全員が放送室に突入する。有志連合は全員拘束された。


「ちょっと待って!拘束しないはずでしょ!?」


 と先輩は僕に詰め寄る。


「ええ。先輩は拘束しません。会長。」


 僕は近くにいた会長を呼んだ。


「壬生谷。今回生徒会はこの事態を踏まえて有志連合との公開討論会を行うことを決定した。今からで悪いんだが日程を決めようと思う。いいか?」


「ええ。いいですよ。」


 と短く先輩は言うと会長とどこかへ去っていった。


「公開討論会ねぇ。委員長ちょっと気になることが。ちょっと委員会本部へ。」


「ん?何だ?」


 僕は部活動勧誘週間中に、この学校の人間ではない者と出くわした。そいつは僕を見ると逃げ、それを追いかけたが奴の右腕にトリコロールの腕輪がはめてあった。

 僕は不審を抱き、玲と調べたらその腕輪は反社会組織ブリュッセルブラッサムという組織だったという事を委員長に話し、警備を厳重にするようにお願いした。


 この立て篭もり事件の三日後、公開討論会が開かれた。

 有志連合側と生徒会側で議論が始まり、次第に議論は白熱していった。白熱したといっても有志連合が何かを話して、その後に会長や部活連会頭の有沙先輩が話すという形だ。この方法は国会の予算委員会の方法を参考にしている。ちなみに僕は生徒会として壇上にはいない。風紀委員として舞台裏で待機していた。僕の予想が正しければ何か仕掛けて来る。それまでは討論会の行方を見守りますか。


「生徒会は部活動の差別を全く理解しようとしていない!むしろ隠そうとしている!なぜ生徒会の皆さんはこの問題から目を背けるのかお答え頂きたい!」


 と言って席へと戻った。会長の番になる。


「私は理解しようとしているし隠そうともしていない。…ですが今まで何もやってこなかった事は事実、そのことに関しては私達も改める事があるでしょう。目を背けていたと言われても無理もありません。その事に関しては謝罪します。」


 と言って頭を下げた。会長自らが頭を下げた事に騒然とする会場。だがもろともしない会長は続ける。


「私は自分の会長としての任期が終わるまでにこの問題を解決することを約束しましょう!しかしこの問題が解決し私がこの役職を退いた後、部活に差別がなくなるとまではいかないでしょう。けれどこの問題をきっかけに部活をより良い方向に導いていきたいと思っています。そのために皆さんの力を貸してください。どうかお願いします。この問題は生徒会だけの問題ではありません!一人一人における意識の問題なのです!」


 要約するとこんな感じ。すると会場から会長に向けて大きな拍手が送られた。まさにスタンディングオベーション。有志連合は負けたと言わんばかりの顔をしていたが同じように拍手を送った。裏の風紀委員達はこの会長の発言に泣きそうになったがそれを堪えていた。僕は副会長として会長を支えていこうと決めたのだった。しかしこの感動的な場面はすぐに終わりを告げた。


 ドォォォン!!という音とともに黒煙が上がる。その音に討論会を見ていた生徒たちは悲鳴を上げた。


「何だ!?今の音は!」

「雅、何事だ!」


 会長が壇上から僕に叫ぶ。どっかの将軍か軍隊の隊長ですか、という突っ込みを僕には入れる自信と暇がなかった。


「ちっ!やはり来やがったか!会長ここから逃げますよ!」


 僕の読み通りに仕掛けて来た。学校が混乱に陥ったのだった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。いや、まさか立て篭もりをするとは思わなかったと思います。さらに討論会でも問題が起こるみたいですね。一体どんな問題に雅達は直面していくのでしょうか。次回もお楽しみに。


《放送室》

通常は放送委員会がお昼の放送などをするためにあり、鍵は職員室にある。

通常の放送設備は勿論のこと、行事等で大量に使用するマイクは全てここの放送室にある。


《藤堂流柔拳》

雅が使用する格闘術。唯一、雅のみが免許皆伝で継承し、実践に役立てている。普通の柔術などと変わりはなく、誰でも大半は扱えるが、技や奥義の使用などで体に負担がかかるため現在この流派を使えるのが雅だけという状況。しかしそこに雅は銃を用いての戦闘や武道の技を取り入れたため、ほぼ我流に近い状態であるため事実上藤堂流は消滅している。

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