「食卓3人組と仲間たち!①
「フォークスとスープんとハッシー」
キッチンの引き出しの中には、ちょっとにぎやかな三人組が住んでいました。
細身でちょっとキザなフォークス。
まるくておおらかなスープん。
そして、まじめで器用なハッシー。
三人はとっても仲良し……と言いたいところですが、実は毎日のようにケンカをしています。
「今日はボクの出番だね」
「いやいや、今日は俺だろ?」
「ちがうよ、ぼくに決まってる!」
さて、ある日の夕食は——カレーライス!
「よっしゃあああ!」
スープんがぴょんと飛び上がりました。
「とろ〜りカレーは俺の得意分野!任せとけ!」
フォークスは少しむっとします。
ハッシーも「まあまあ」となだめます。
次の日の夕食はステーキ。
「きたきたきた!」
今度はフォークスが胸を張りました。
「こういう肉料理はボクの美しい出番さ!」
ところが。
お皿の上の大きなステーキは、フォークスだけでは切れません。
「う……うごかない……」
そのとき、引き出しの奥からシャキーンと現れました。
「困ってるみたいだね?」
ナイーフ君です。
「切るのは、ぼくに任せてよ」
ナイーフ君がすっとお肉を切り分けると、フォークスはそれをしっかり支えました。
「ありがとう……助かったよ」
さらに横からハッシーが言います。
「付け合わせの野菜は、ぼくがいくよ」
三人(と一人)は、それぞれの役目を果たしました。
数日後。
お昼ごはんはラーメンでした。
「これはぼくの出番!」
ハッシーが得意げです。
でも、スープを飲むときはスープん。
チャーシューを押さえるときはフォークス。
「あれ……」
三人は気づきました。
「誰か一人じゃ、うまくいかないね」
その夜、引き出しの中はいつもより静かでした。
フォークスが言いました。
「ボクは刺すのが得意」
スープんが言いました。
「俺はすくうのが得意」
ハッシーが言いました。
「ぼくはつかむのが得意」
奥からナイーフ君が小さくつぶやきました。
「そして、切るのはぼく」
しばらくして、スープんが笑いました。
「じゃあさ、ケンカするより協力したほうが、もっとおいしくなるってことだな!」
みんな、くすっと笑いました。
その日から三人は——
……少しだけ、ケンカが減りました。
「今日は誰が一番か」ではなく、
「今日はどうやって力を合わせるか」。
キッチンの引き出しは、今日もにぎやかです。
でもその音は、前よりも、ちょっとあたたかくなっていました。




