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第百四十九話 『気持ちが理解できた気がした』

今回から、後書きでオマケ初めてみました。

真面目な内容があるのは次回からとなりますので、今回は読み飛ばしても大丈夫です(笑)


 「あの、さ」


 ザストール王都の神殿へと向かうべく村の門を抜けたあたりで、邪神が後ろから声をかけてくる。

 ちなみに、邪神の見た目は宿を出る際に、元の少女の姿に戻してもらっている。魔晶龍騎士の姿でまた外に出たら、騒ぎになるに決まっているし、急いでいるのにそんな面倒なのは御免だ。


 「さっきは確かに急がないとって言ったけど、それはあくまで普通の人ならって話であって……君たちは香奈ちゃんの能力使って速度上げるんでしょ? それなら余裕で間に合うと思うから、そんなに急がなくても――」

 「「え……」」


 邪神の指摘に、思わずそんな声を漏らして立ち止まってしまう私と香奈……ってあれ? なぜ梨華はそんな「いや、わかってたけど」みたいな顔をしているのかな? わかってて黙っていたのかな? ん?

 私がそんな感情を顔に浮かべて梨華の方を見ると、梨華は苦笑を浮かべてそれに答える。


 「いや、だってさ……さっき宿で邪神ちゃんが言ってたじゃん。2人は全然聞いてなかったみたいだけど」

 「ええっ!? だ、だったらもっと早く言ってくれても……」

 「いやまあ、そうなんだけどさ。早い分には困らないし、私は状況にも関わらず、まだ見ぬ場所への冒険にちょっとワクワクしちゃっててね。気が急いてるのは同じだったから。早く着けば、多少は景色や街並みを眺めるくらいの時間はできるだろう?」


 そんな1人だけワクワクしている発言に、香奈が「このファンタジーバカは……」とか言いながら呆れたような視線を向ける。


 「も、もちろん、レイジさんのことは心配してるよ? でもほら、今は慌てても砂漠越えの便の時間は変わらないしさ。それに、聞いていなかったのは自業自得じゃないか」


 香奈のそんな視線を受けて、慌てて言い訳をする梨華だが……香奈が諦めたようなため息を吐いたあたり、言い訳はあまり信じてもらえてはいないようだ。いやまあ、さっきの冒険云々を語っていた梨華の生き生きした顔を見ていたら、誰だって同じような反応をするだろう。私も嘘とまでは思っていないが、冒険と心配は良くて半々くらいなんじゃないかと思っている。別にそれはいいのだけれど。梨華にとっては、レイジ様は、あくまで友人の大切な人でしか無いだろうし、私たち2人に比べれば特別な思い入れとかは無いと思うから。

 むしろ命がけのダンジョンアタックに付き合ってくれただけでもありがたいと思っている。まあ、梨華は梨華でこういう展開は好きだからとかよくわからないことを言っていたから、一応理由はあったみたいだけど。でもきっと、涙を流して必死にレイジ様を助けようとする友人を放っておけなかったのだろう。梨華と香奈は凄く仲が良いみたいだし……助けたい友人の中に、私も入っていたらいいなぁ…………っと、今はそんなことはどうでもいいんだった。時間に余裕があるとわかってホッとしたせいか、思考が脱線していた。


 「まあでも、道中何があるか分からないし、慌てるまでは行かずとも多少余裕をもって移動するというのは賛成かな」

 「なら、そろそろブーストかけようか? 結構疲れるし魔力も食うから、向こうまでずっとって言うのは難しいかもだけど」

 「ん? ああ、魔力ならボクが分けてあげるよ。だから向こうまでノンストップで行っちゃおう!」


 屈託のない笑顔でそんなことを言い放つ邪神に、香奈は「へっ?」とでも言いたげな、ぽかんと口を開けた間抜けな顔で固まってしまった。


 「……え? ナニソレ。魔力って結構面倒なんじゃないの? レイジにぃも、魔素はいくらでも集められるけど、魔力は普通に回復しなきゃいけないから大変って言ってたような……」

 「んん? そんなことは……あぁ、そういう事か。魔力って言うのはね、ちょっとコツがわかってれば、魔素から簡単に作れるんだよ。そりゃ、人の身体が持つ変換能力だけを使って作ってたら、かなり時間がかかるけど」


 ……そんなことができるとは、流石は神様ですね。魔法と言う技術自体、神より与えられたものですし、神が上手く扱えるのも当然といえばそうなのですが。あ、そういえば、一つ頼みたいことがあるんでした。少々遠慮していたのですが、邪神も少し話した感じでは悪い方ではなさそうですし、今から走り続けるのでしたら、先にしておかなければなりませんね。


 「あの、邪神様? 少々よろしいでしょうか」


 私は見方を改めた邪神に対し、少しばかり丁寧な言葉づかいで話しかける。まあ、頼み辛いことを頼むからというのも理由の一つではあるが。


 「ん? 何かな?」


 邪神は私の緊張を知ってか知らずか、変わらぬ無邪気な笑みを浮かべてこちらを向く。そんな邪神の発する、無防備でいて、全てを許してくれそうな優しい雰囲気に、少しばかり心が楽になる。

 この邪神様はなんと言うか……実年齢はずっと上なのだろうけれど、見た目の幼さだけでなく、性格まで子供っぽいというか、裏が無いというか……それでいてどこか、不思議な包容力を感じる。そんなちぐはぐな感じが、親しみやすさと安心感を同時に感じさせてくれて、気楽に一緒にいられるのにホッとする。


 レイジ様とはまた違った頼りがいを感じるなぁ……あ、でも子供っぽいところがあるのは二人ともちょっと似てるかも。二人が一緒にいたら、きっと一緒になってすぐ趣味に走ったりして、ついて行く私たちは大変なんだろうなぁ~。

 そんな明るい未来を想像してクスリと笑う私を不思議そうに見る邪神の顔を見て、本来の目的を思い出した私は、慌てて思考を現実へと戻す。


 「あ、えっと……こほん。あのですね。良ければ走り始める前に血を飲んでおきたいのですが……その……「いいよ!」――へ?」


 あまりの元気の良い即答に、思わずこちらがたじろいでしまう。

 ダンジョンに入る前に飲んだのが最後だったから、血はそろそろ摂取しないとまずいし、私と同じく消耗した状態の香奈や梨華に頼むのは気が引けたので、邪神から貰えるのが一番良いとは思っていたもだけれど……流石にそれなりに難色を示してくると思っていた。それがまさか言い切らぬうちに即了承してくるとは。


 「ん? 血が欲しいんでしょ? まあ、半吸血鬼ダムピールなら当然だよね。ダンジョンで血の魔力も消耗してたみたいだし。むしろ、大丈夫なのか心配してたくらいだから、飲みたければいつでもいいよ? あ、でも人に見られたら困っちゃうよね。なら、少し森に入ってからにしようか」

 「え、あ、えっと……」


 むしろ身を乗り出して続けざまに言葉を放ってくる邪神に、思わずタジタジになってしまう私。ありがたいのだが、困惑しているところにこの勢いで来られると、流石に対応に困ってしまう。


 「邪神ちゃん邪神ちゃん。フィルスが混乱してるからちょいとストップね」


 そんな私を見かねたのか、梨華が困った笑みを浮かべながらも邪神の首根っこを掴んでひょいと私から引き離してくれた。

 それでようやく私の様子に気が付いた邪神は、少しばかり申し訳なさそうな笑みを浮かべて頭を掻く。


 「あ~えっと、ごめんね。あんなことがあってさ、受け入れてもらうのは難しいかなって思ってたから、頼ってもらえたのが嬉しくてさ。血を吸うなんてデリケートなこと、頼んでもらえないと思ってたから。まあ、だからこっちからも言い出せなかったんだけどね」

 「……あなたは、その……私達と仲良くなりたいのですか?」

 「あ、ぅ……まあ、その…………うん」


 恥ずかしさと不安の入り混じった表情を浮かべ俯きながら、小さな、消えてしまいそうな声で、それでもそう返事をしてくれた邪神。

 彼女は随分とレイジ様のことについて罪悪感を感じていたみたいだし、きっと相当な不安が今も彼女の中で渦巻いているのだろう。その気持ちは、少しだけ理解できる。私もレイジ様と出会ったばかりの頃は、いつも受け入れてもらえるように、捨てられないようにと、不安ばかり抱いて、全然心に余裕が無かった。

 でも、だからこそ彼女には、今度は私が手を差し伸べてあげたい。私は大した人間じゃないし、ましてや相手は神だ。それでも、内に持つ心の強さは、きっと変わらない。彼女は神でも、きっと人と同じように悩み、同じように喜びを感じ、同じように不安になるのだろう。なら、こんな私にもできることがある。そんな気がする。


 「……邪神様。私で良ければ、お友達になってくださいませんか?」


 だから私は、できる限りの笑顔を浮かべて、彼女に手を差し伸べる。かつて、レイジ様が私にそうして下さったように。思えばレイジ様は、ずっと私に対等な関係を求めていた。けれど私は、それを受け入れることが出来ず、忠実な従者という立ち位置を崩さなかった。そしてそれは、恋仲になっても大きく変わることは無く、ここまで来てしまった。

 でも、こうしてレイジ様と同じ立ち位置、同じ目線に立ってみて、ようやく私はレイジ様の気持ちを理解することができたような気がする。レイジ様に会うことが出来たら、謝らなくては。そして今度こそ、対等な関係が築けるよう、努力をしてみようと思う。完全には無理かもしれないけれど、それでも少しはマシになれると思うから。


 「……いいのかい? ボクは、君の大切な人を死なせてしまったんだよ?」

 「どちらにしても、レイジ様は助かりませんでした。それに状況的に、レイジ様があなたを助ける選択をとったのは、すごく理解できます。実にレイジ様らしい行動です」

 「で、でも、そもそもその原因もボクが地上に降りてきたせいで――」

 「違います。いえ、違わない部分もあるのでしょうが、貴方も被害者です。本当に悪いのは、その闘争神とやらなのでしょう?」

 「で、でも――」

 「そんなに否定の材料ばかり探して、実は友達になるのは嫌なのですか? それなら私は大人しく引き下がります」

 「そ、そんなことないよ! 嫌なわけないじゃないかっ!」

 「ふふっ。なら、今からお友達という事で良いですよね?」

 「え、あ、ぅ……うん。アリガト」


 少々強引だったかなとも思ったけれど、照れ臭そうに頬を紅く染めながら頷く邪神の顔を見て、間違ってなかったと確信する。頑張ってみて良かった。今度レイジ様に会ったらお話ししてみよう。もしかしたら頭を撫でて褒めてくれるかもしれない。

 別にそんな打算があっての行動では無かったが、そんなことを考えて思わず尻尾を揺らしてしまう私。

 でもまあ、無事邪神様と仲良くなれて良かったです。微妙にぎくしゃくした空気は凄く居心地が悪かったですし。


ル「パンパカパ~ン! さあ、始まりました! 転魔素設定講座神界編! 今日はその記念すべき第一回目ということで、サービスして二つほど教えちゃいます♪ 進行役は私、転生神ルナトメリスが務めさせていただきます。 では早速一つ目の――」

レ「……おい」

ル「っと、何ですか? アシスタントのレイジさん」

レ「いやアシスタントって……というかその前に、何だよこれ」

ル「何ってそりゃ、名前の通り、転生したら魔素だったの設定講座ですけど? まあもっとも、他にも色々解説していこうとも思ってはいますが」

レ「いや、ですけど? じゃねえよ。何でいきなりそんなの始まってんだよ。というか、なんで転生したら魔素だったの方略してんだよ。異世界スキル活用術がメインのタイトルだろ?」

ル「ああ、それは簡単ですよ。タイトル自体は作品のことが欠片くらいしか決まってなかった頃に、作者がなんとなく響きだけで決めたものなのですが、最近になって『スキル、大して活用してなくね? タイトル詐欺じゃね?』とか思い始めたんで、作品内容と合致している方を略称に使って誤魔化して行こうと、まあそんな感じの理由ですね!」

レ「うん、思った以上にどうしようもない理由だったな! というか、さっきから発言がメタ過ぎるんだがいいのか? この作品、そういう作風じゃないだろ?」

ル「いいんですよそんなのは。これはオマケなんですし」

レ「そんなのって……いやまあ、良いけどさ。で? なんで設定講座なんて割と大事そうなのをこんな後書きのオマケで始めたんだ? 本編で書けよ」

ル「ふっふっふ……それにも実は理由がありましてね……」

レ「そういうのいらんからさっさと言え。後書きの文字数制限に引っかかるぞ?」

ル「ぶーぶー! ノリ悪いですよ? まあ良いでしょう。その理由とは! 『レイジと転生神の会話の続き、本編で書くと長ったらしくなってダレちゃうっぽいし、何よりそんなじっとして話してるだけの場面じゃ、地の文書き辛過ぎ! 無理!』と作者が後書きとかオマケとかいう軽い響きに逃げたくなったという――」

レ「オーケーわかったもういい。とりあえず、作者の実力不足の結果生まれたコーナーっていう認識で良いんだな?」

ル「まあだいたいそんな感じですね。他にも『軽いノリが書きたい』とか『こっちで文字数書いてれば更新遅くても許されないかな?』とかあるみたいですけど」

レ「なんでそんなどうしようもない理由ばっかなんだよ。せっかくのオマケなのになんか悲しいよ。しかもこれ書くの20分くらいしかかかってないだろ。というか、作者の心情ぶっちゃけすぎだろ。いいのか?」

ル「いいんですよ。ちょっとぶっちゃけるくらいの方が、読者も親近感持てるでしょうし。あと、執筆時間については言わないお約束です。というか、言ったら計画が台無しじゃないですか」

レ「知らねえよ。まあ、親近感ってのはあるかもしれないけどさ、もうちょっと内容は選ぼうぜ?」

ル「グダグダうるさいですね主人公のくせに。とにかく始まったものは始まったのですよ。諦めて付き合って下さい」

レ「はいはいわかったよ。でも、もう結構文字数いってるよな? 平気なのか?」

ル「さあ? というか、これフリーメモで書いてるんで上限とかわかんないんですよね。後書きって何文字まで書けるんです?」

レ「知らねえよ。自分で調べろ」


 ―確認中―


ル「……今見てきたら、なんと20000文字でした! 凄いですね!! この作品、本編一話3000文字程度なのに、後書きの方が長くなっちゃうんじゃないです?」

レ「それもうどっちが本編かわからねえ奴じゃねえか」

ル「良いんですよ。あわよくば本編乗っ取っちゃっても良いくらいです」

レ「よくねえよ。てかいい加減講座始めろよ」

ル「おっとそうでした。では気を取り直して……さあ、始まりました! 転魔素設定講座! 今日は記念すべき第一回目ということで、サービスして二つほど教えちゃいます♪」

レ「そっからやり直すのかよ」


~次回へ続く~


レ「おい」

ル「しょうがないじゃないですか。あなたですよ? 本編超えるなって言ったの」

レ「いやまあ、そうだけどさ」

ル「というわけで、レイジさんの我儘で内容があるのは次回からになります! 恨むなら、このツッコミばかりで生産性の無い会話ばかり生み出す、役立たずのアシスタントを恨んでくださいね~」

レ「言いたい放題か」

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