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第百三十話 『なんか色んな意味でヤバい感が凄い件について』

とかいう頭の悪そうなサブタイ()

今回、ちょい長めです。

 「ん……? ああ、雨か」


 昨日に引き続き、荷台に揺られながらうとうとしていると、ふと上にかけられた布に何かが当たる感触に目を覚ます。

 布をどかして空を見上げれば、そこには真っ黒な分厚い雲。

 どう見てもすぐには止みそうにない。


 「ニールさん。この近辺に村などは?」

 「そうですねぇ……一番近い村でも、着くのは明日の昼過ぎになってしまいますね。更に言えば、そこに寄るには、少々迂回が必要になりますので、到着が一日ほど遅れます。無論、レイジ様がゆっくりお休みになりたいというのでしたら、そう致しますが」

 「いえ、大丈夫です。このまま進んでください。雨除けの方は、こちらでどうにかしてみます」


 俺はそう言うと、何とか動かせるようにはなった体に鞭を打ち、上半身を起こすと、カバンの中からある魔導具を取り出す。

 そこで一息ついて、さて魔導具を起動させようと魔素を流そうとするが……何故か上手くいかない。


 「む?」

 「どうかなさいましたか? レイジ様」


 荷台の横を歩いて、俺の様子に気を配っていたフィルスに、心配そうな顔をこちらに向けてくる。

 体調的にはもう問題は無いから大丈夫だと、朝の内に言ったのだが……まあ、病人の「治った」なんて発言は、大して宛てにならんからな。


 「ああいや……魔素が上手く流せなくてな」

 「昨日あんなことがあったばかりなのですし、無理もないのでは?」

 「いや、そうじゃなくてな……感覚的には、もう操作できそうな感じはするんだ。実際、身体の形は多少弄れるし。ただ、魔導具に魔素を流しても反応しないというか……まあ、そんな感じだ」

 「お兄さん、自分のステータス見れるんですよね? そこに状態異常とかって表示されないんですか?」

 「む? ふむ……」

 

 俺とフィルスの会話が聞こえていたのか、梨華ちゃんがそんなアドバイスをしてくる。

 香奈もこっちに視線を向けてきているし。

 しかし、ステータスか。そう言えば、久しく見ていなかった気がする。

 状態異常の表示は無かった気がするが、とりあえず見てみるか。少なからず変化はあるだろうし。

 ついでに、何か新しいのがあったら即習得しちゃお。

 どうせどっかの神様のおかげで、容量はかなり余裕あるし。



 

レイジ(葛城 玲仁)

 年齢:0歳 (30歳)

 Lv.50

 種族:悠幻ゆうげんの魔素 (古魔晶邪神龍エンシェティアファルスドラゴン

 HP:%&##%”!(魔核:―θ―|?―$―)

 MP:-ERO%!)-

 魔素量:&"%>#%0000'<,0A0000

 魔術適正:火SSS・水SSS・風SSS・土SSS・光SSS・闇SSS

               ・時SSS・空SSS

 魂容量:274/1181


 ・構成魔素支配(Lv.1/3)


 ・神気察知(Lv.1/10)  NEW!

 ・スキル経験値操作(Lv.2/3)  UP!

 ・魂魄成長促進(Lv.2/10)

 ・生命力極限強化(Lv.1/10)

 ・魂魄成長最適化(Lv.4/5)

 ・スキル習得効率最適化(Lv4/5)

 ・自己再生(Lv.4/10)  

 ・魂魄活性(Lv.2/10)

 ・自己能力鑑定(Lv.9/10)

 ・魂魄保護(Lv.MAX)  UP!

 ・精神抵抗(Lv.2/10)  

 ・格闘術(Lv.MAX) 

 ・短剣術(Lv.8/10)  

 ・気配察知(Lv.8/10)  UP!

 ・隠形(Lv.8/10)  UP!

 ・魔素操作(Lv.MAX)

 ・生物解体(Lv.MAX)  UP!

 ・シェルメナール大陸共用語(Lv.2/3)

 ・神代言語(Lv.2/3)

 ・日本語(Lv.2/3)

 ・英語(Lv.2/3)

 ・料理(Lv.7/10)

 ・裁縫(Lv.4/10)

 ・歩行術(Lv.8/10)

 ・算術(Lv.7/10)  UP!




 うん…………うんん??

 えっと……まず、なんでステータスの一部数値がバグってんの?

 てか、古魔晶邪神龍エンシェティアファルスドラゴンってなんぞ?

 俺、邪龍なん? 俺、邪龍なん!?

 ま、まあいいや。とりあえず常時精神が~とかは無さそうだし。既に俺がおかしくなければだけど。


 んで、容量をまさかの250も食い潰した神気察知。

 こいつはおそらく、昨日習得したものだろう。

 あの黒いモヤモヤ、魔素とも魔力とも違う感じがしていたが、まさかマジで神様由来のものだったとはな……今後は一層の警戒が必要か。

 というか、スレブメリナで魔法学んどいて良かったわ。

 それ無かったら、魔素操作スキル無しで魔素を使う魔導具を起動させる術式とか作れなかったし、フィルスたちをこの手で殺してしまっていただろう。

 そうなれば、俺も暴走したままで…………想像するのも恐ろしいな。


 他にもいくつか変化はあるが、俺の体調不良の原因は、十中八九この神気とやらだろうな。

 体色が赤黒い感じから大きく変えられないのも、身体の魔素の操作が上手くいかないのも。

 前者はおそらく、邪龍化した影響だろうが、その原因も含めて、恐らく全ての大本はあの邪神の神気か。

 この身体の構成要素の幾分かが神気とやらなのだと考えれば、構成魔素なんぞいくら支配したところで、上手くいかないのも道理というものよ。

 ま、動かす努力はしつつも、身体が適応してくれるまではしばらく休んでるしかないかな。


 「なんかすごい顔して固まってましたけど、何かわかったんですか?」

 「あー……まあ、不調の原因は大方目星はついたかな。まあ、解決法は無いんだけど。強いて言えば……時間、かな?」


 魔力操作が魔素操作になるのも割と早かったし、神気に慣れるのもそこまでかからんだろう。

 まあ、半日以上経ってるのに、神気察知がまだLv.1って考えると、魔素程さらっとはいかないのだろうが。

 それでもスキルが発現している以上、時間さえあればどうにかなる……と思う。


 「後の問題は、俺が回復するまでの間に、奴らの追撃が来たらほぼ詰みってことくらいかな」


 これに関しては、マジでヤバい。

 今の状態は、昨日と違ってある意味安定してしまっているから、真面目にどうしようもない。

 変な破壊衝動とかも無いしな。


 「それは……考えても仕方ないですし、運を天に願うしかないですね」

 「ま、そうなんだけどな。ひとまず、目立たないようにだけ気を付けよう。それから、俺がこんなになっちまった以上、砂漠の横断はこのままじゃ厳しい。それ用の魔導具を作るか、俺が回復するまでは、どこかに留まるしかないだろうな」

 「そうですね。護衛が完了したら、長期滞在を前提に行動しましょう」

 「ま、でも今はこの雨を凌ぐのが先決だ。残念ながら俺は魔素をコントロールできそうにないの……で……っと」


 俺はカバンから探り当てた魔導具を、梨華ちゃんに渡す。

 それは厚さ10㎝、直径20cmほどの、円盤状の魔導具で、中央に、直径1.5cmほどの穴が開いている。


 「これは元々、野外でのキャンプ用に作った物なのだが……片面だけ、中央の穴の横に小さな印がつけてあるだろう?」

 「えーっと……あ、はい。この三角のですね」

 「そうそう。そっち側から指を通して、そこに魔力を流すと起動。反対側から通して魔力を流すと停止するから。ちなみに、起動時に流した魔力以上の強さで流さないと停止しないから、そこだけ注意ね。んで、これの効果だが……まあ、それに関しては見てもらった方が早いかな。馬車の荷台の~そうだな、ちょっと御者台寄り、俺達の丁度中央になるようにそいつを置いて、ずれないように固定したら、魔力を流してみてくれ。魔法の効果範囲は、上2.5mの平面だから、大丈夫だよ。万が一向きを間違えても、停止側からなら魔力を流しても、特に何も起きないし」

 「は、はい」


 俺の指示を受けた梨華ちゃんは、荷台に登ると、重い箱と紐で魔導具を固定し、穴に魔力を流す。

 すると、上空に半径4mほどの水色の円が出現し、雨水を弾き始めた。


 「うん、大丈夫そうだな。まあ、起動実験はしてあったから、大丈夫だとは思ってたけど」

 「えっと、これはどうい――――「ねえねえレイジにぃ! なにこれナニコレ!!」」


 梨華ちゃんが何か言おうとしたが、香奈がかなりはしゃいだ様子でそれに割り込んでくる。

 それを、しょうがないなぁと言った表情をするだけで咎めない梨華ちゃん。

 いつものこと、なのだろうな。彼女にとっては。まったく……優しい友達でよかったな、香奈。

 まあ、フィルスも上を物珍しそうに見上げているし、ニールさんは完全に商人の目でこちらを見ているので、香奈への注意は置いておいて、さっさと説明するとしようか。


 「こいつは、水分のみを分別して遮断する結界を、表面――印のついた面と平行に、垂直2.5mの位置に展開する魔導具だ。結界の色は、わかりやすいようにつけてるだけでそれ以上の意味は無い。結界のサイズは起動時は半径4mに設定してあるが、起動側や停止側から微弱な魔力を流すことで、調節が可能になっている。一応、安全のために拡大に関しては一度に半径1mまでしかできないようになっているがな」


 一度言葉を切って梨華ちゃんの様子を窺うが、どうやら問題なく理解できているようなので、そのまま説明を続ける。


 「何度も指を抜き差しするのは面倒だろうが、この結界は普通に危険だから、安全重視だ。更には本体の角度を感知する魔法も同時に展開していて、起動時の角度を基準にして魔導具が20°以上傾くと、自動で停止するようになっている。本当は生物を察知して停止させたかったんだが、事故と通常使用の判別が難しくてな。まあまだ試作段階だしいいかな、と妥協した結果だ。サイズ拡大したら20°でも完全アウトだろとか、水以外遮断しないんじゃ、葉っぱとか土とか入るじゃんとか、そういうツッコミは無しな」


 まだ実験機なので、あまり実用重視では作っていないので、最低限の安全装置はついているものの、ツッコミ入れ放題な謎作品になっているのだ。

 サイズ調節はできるけど、安全装置の関係で大きくはしない方が良い。

 設置型だけど、本体は軽すぎて不安定という、なんとも言い難い代物では、流石に完成とは言えんよ。


 「えっと、レイジにぃ。1つだけ気になることがあるんだけど……」

 「うん?」


 一緒に話を聞いていた香奈が、おずおずと手を上げて質問をしてくる。

 なんだか聞きにくそうなのは、ツッコミ無しと言ったせいだろうか? 別にいいのに。


 「なんで、スイッチがあんな特殊な形状なの? ボタンとか、もっと簡単なので良いんじゃない?」

 「ああ、あれな。あれは別に、この魔導具に合わせてそうしたわけじゃなくて、こいつを作ってる時に思いついて、実験的に導入してみただけなんだよ。だから、特に意味は無いよ。まあ、この魔導具自体、実験的な意味はあっても実用的にはイマイチな物だから。作ってみて色々課題や改善方法も見えたて来たから、そのうちちゃんと作るよ」


 まあ、ある程度体調が戻らんことには、まともな魔導具製作はできなそうだけどな。


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