24話 特訓!?
⚪︎前回のあらすじ
新たな仲間を迎え、名付けやスキル関係という苦戦を強いられつつ、後に模擬戦を行う。
ネクスは名付けなどにより魔力がほぼ空になってしまい、木陰で休んでいると、解析鑑定のことを思い出す。
一通り確認していく中で、ラピスの種族名だけ特殊になっていることに気付き、次の戦いを申し込むのであった。
ゔぉぉぉ!!
ヒュュューーー!!
ダンダンダン!!
風が吹き、切り裂く音、弾く音、様々な音が聞こえる中、戦闘は激しくなっていく。
センとウグレの戦いはほぼ互角であった。互いが互いの技を避けたり相殺したりと決め手がない状態が続く。
そんな状態も、策略によって突破される。
「はぁはぁ、やりますね。ほぼ互角ですか。」
同等の戦いを繰り広げ、ほぼ全力とも言える戦いを行い、センは息を切らしていた。
「これで、決めます!」
ウグレは両足に魔力を集中させ、一瞬、視点を足元に落とし、さらに強めていく。
バタッ、、、
一瞬、視点を落としたウグレは、倒れる。
「やっと隙を見せましたね。」
そこには勝ち誇ったようにウグレを見つめるセンが話す。
センは、新しいスキルの中に、Rスキル忍び足、が追加されていた。
センは、視点を落とすウグレを見た瞬間、忍び足のスキルを起動、音と気配を最小限に、一気に近寄ることで、気付かれることなく、攻撃を行っていた。
倒れていたウグレが起き上がりながら、センに話しかける。
「いやぁ、参りました。このスキル、攻撃力は高い分隙も生まれやすいのが欠点でして、お互いに疲れてるなら近寄る前に倒せると踏んだのですが、甘かったです。」
そんなウグレにセンは高く評価していた。
「いえ、ウグレさんがその事に気付いていたら、やられていたのは私です。いい戦いでした。」
お互いに認め合う。
そして、次は誰が戦うか、決める際に、
「よし、じゃあ、先に、俺が指定した相手と俺が戦っていいか?」
ネクスは手を挙げて、先に戦いたいことを伝える。
それに対して模擬戦をしていた魔物たちは皆、了承する。
「所でネクス様?一体誰と戦いたいの?」
戦いたい相手がいることを知り、気になるホワイトウルフのツキはネクスに尋ねる。
「あぁ、じゃあ、早速だけどさ、」
ネクスは振り返り、戦う相手の元へと近付き、声をかける。
「よろしく頼むよ。ラピス。」
その相手とは、ふわふわが特徴のラピスであった。
自分が選ばれるとは思ってなかったみたいで、声をかけられた本人は驚いていた。
「びっくりしたなぁ〜、僕と戦いたいの?いいけど、期待に応えられないかもよ?」
そう言いつつ、ネクスの所へと向かい、戦いの準備を行っていた。
「いや、そう言いながら戦う気満々じゃん」
指摘するが、
ラピス自身は嘘偽りなく、期待に応えられないのではと、本気で考えていた。
「ま、それはさておき、早速だけど、よろしく頼むよ。」
そう言って、木剣を手に構える。
その姿を見たラピスもまた、戦闘態勢に入った。
そうして開始の合図をセンが伝え、戦いが始まった。
(よし、相手の出方を見るために、この技を使うか)
ネクスの右手が、バチバチッ!、と音を立てながら魔力が収束される。やがて、ビリビリした丸い玉を生成する。
「サンダーボール!」
雷の玉をラピスに向けて飛ばす。
さらに、サンダーボールをひとつはなったすぐ真後ろには小さく強めに圧縮された、サンダーボールがあった。
(手前の技を大きく見せることで、本命の技を隠して、2発目を当てる。これをどう対応してくる)
ネクスはラピスの様子を見ていた。見ていたが戦闘態勢に入ってから微動だに動いていなかった。
「水の鏡」
ラピスは小さく呟く。
そしてすぐに、ネクスの技はヒットした。
確かに雷の玉はぶつかった。だが、それと同時に、ネクスの方にサンダーボールは跳ね返ってくる。
「跳ね返した!?」
避ける、相殺する、強力な技で打ち返す。そのどれでも無かったことにネクスは驚いていた。
跳ね返ってきた自分の技を間一髪で避けることに成功する。
すぐに視点をラピスの方に戻すと、
そこには、
水が薄く伸ばされて円上となっており、鏡のような見た目になっていた。
「水でできた鏡みたいだな。あれで跳ね返したのか?でも、どうやって、」
ラピスの技に理解が追いついていなかったが、戦闘中だということに気持ちを切替える。
(大丈夫だ。まだ俺は技を出し切っていない。)
そして、接近しようとした瞬間、
「ねぇねぇ、ネクス様、せっかくだし、出し惜しみ無しでさ、本気で来ていいよ?」
声は背後から聞こえていた。
ネクスが気付けなかった一瞬の間に背後に回っていた。
(いつの間に背後に?確かに技には驚かされたけど、ラピスを意識していた。なのに、後ろにいる。)
本気で、と話を終えたラピスは再び、ネクスから距離をとる。その時、ネクスは深呼吸を大きく2回行い、決意を高める。
「じゃあ、本気でやるよ。手加減出来ないし、本来奥の手の1つとして使うものだから、怪我に気をつけろよ。」
そう言うと、再びビリビリッ!と音が聞こえてくる。
観戦していた魔物たちの目から見ても、ネクスが本気で相手にしようとしているのが分かった。
先程とは違い、ボールの形状になることなく、雷のエフェクトがネクスの体を巡るかのように全体に流れる。
「俺の本気。」
(人は本来、100パーセントの力を出さないようにセーブされている。この技はそのリミッターを外し、潜在能力の底上げを行う技だ。)
「限界突破・ギア1(アインス)」
雷のオーラをネクスは纏い、ビリビリという音を発する。
他の魔物たちも見ていたが、
電流に耐えられるほど肉体は頑丈ではない。特に人間の体であるネクスには負担が大きい技だと考えていた。
しかし、センとネクス自身の考え方は異なっていた。
ある程度の負担は、単純な技による身体強化で補える。
そう見ていた。
ラピスもその技を見て発言をする。
「本気の技を僕にぶつけるのではなく、自分に流して強化する。面白い発想だね。」
強化技を観察、そして、理解していた。
「さすがに、僕も本気を出さないとやばいかも」
ネクスとラピスが戦うフィールド全体に、泡のような水の玉が生成される。見た目はシャボン玉であり、ふわふわと宙に浮いて留まっていた。
「なんだ、あの技」
技を見るが、それをどう使うのか全く想像つかない。
(本気でぶつかれば何か分かるかもしれない。憶測だが、ラピスは今の本気の俺より強い気がするし)
「水鏡の分身」
先手を打ったのはラピス。
技を使い、周りにあった十数個以上の水の玉が瞬く間に、形を変え、ラピスと同じ姿に変化する。
「分身技か」
(なら、数を減らせばいい。)
対するネクスは分身技を見た瞬間に、思考を切りかえ、相手全体に攻撃が及ぶ技を使用する。
「雷光の鉄槌」
ネクスを中心に、暗い雲を発生させる。
その雲目掛けて、自身に蓄積している雷を流すことによって、疎らに雷を落とす技だった。
それを受けたラピスと分身はそれぞれ受けた瞬間に水になり消えていく。だが、水になった瞬間、また分身の体を生成していた。
本体であろう目の前のラピスにも命中するが、分身のように水になり消える。
「技を発動させた時、目の前にいるラピスが本体だと思ってたけど、違うのか、」
魔力消費が激しい技のため、1度止めることにする。
「その技、広範囲に向けて放つ技なんだね。でも、僕の分身は水玉に一定の魔力を分けてあるから、それが尽きないと何度でも生成する。」
どこからともなく声が聞こえる。
作られた分身はラピスと似たような動きで、自立している。
「AOで判断しようにも、全員が同じものを纏っているせいで分からないし、本体はどこだ?」
本体を目や気配で探す中、一瞬、背筋が凍ったような危険なものを感じとった。
「やば!電光石火」
足と腰に電流を集中させ、意図的に加速を促す技で距離をとる。
「あちゃ〜ばれちゃったかぁ」
先程いた自分の場所から霧が晴れていくようにして、ラピスが何も無いところから姿を現す。
「ミストカーテンって言うんだ〜」
気付くと、周りに浮いている水の玉や分身から、少しずつだが、霧のようなものが出ていた。それが、戦っているこの場を時間かけて徐々に侵食していた。
目にほとんど見えないキメ細やかな状態で覆っていた。
「いや、まさかここまで強いとは思わなかった。」
体への負担の限界が近く、効力が切れかかっていた。
(仕方ない、じゃあ、この形態で今は1度が限界だけど、この技にかけるしかないか)
ネクスは心を落ち着かせ、目を閉じる。ほんの少しの間を空けて、目を開き、呟く。
「ギア2(ツヴァイ)」
体に流れているであろう電流の勢いが増していく。ギア1(アインス)の約2倍ほどの出力をネクスは体に流す。
(やっぱ、まだ1回が限界だな。これで決めるしかない)
ラピスもその姿を見て、やばいと感じる。
咄嗟に防御に入ろうとした刹那、
「真・電光石火」
体全体にかかっている電流の出力は一定にさらに加速させる。そうすることで、全ての動きに対して効果が働く。
(ネクス、凄いなぁ)
ラピスは、ネクスを見ていた。しかし、そこには雷の残留しかなく、全ての神経を注がないとネクスの速さについていけないレベルで早くなっていた。
ビリッ!バチバチバチ!!
視点の端で捉える。
(ネクス、凄く速い。これじゃあやられちゃうかも)
ーーードスッ!
そして、ラピスの懐にネクスの攻撃がヒットする。
最後まで見ていただきありがとうございます!
前作から続けて見ていただいてる方、今回初の方、いろんな方に見ていただき嬉しい限りです!
よろしければ評価・ブックマーク等していただけると励みになります。
次回25話もよろしくお願いします!




