表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/37

奪還:時間

世界が壊されていく。


 ゆっくり。


 でも確実に。



 時間が、戻る。


 進む。


 止まる。


 全部が混ざる。



 「……これ、持たない」


 結衣が言う。



 レンは膝をついたまま。


 意識が揺れている。



 観測者が静かに言う。


 「まずは一つだね」



 一拍。



 「どれを取り返す?」



 答えは決まっている。



 「時間だ」



 即答。



 時間がなければ、何も固定できない。



 「どうやるの?」


 結衣が聞く。



 一瞬、考える。



 でもすぐに分かる。



 「上書きする」



 観測者が少し笑う。


 「できると思う?」



 「やるしかない」



 一歩前に出る。



 歪んだ時間の中で。


 動きがズレる。


 感覚が狂う。



 でも――



 「定義し直す」



 声に出す。



 世界がわずかに反応する。



 「時間は、一方向に進む」



 一瞬。



 ぶつかる。



 見えない“何か”と。



 「拒否」



 冷たい声。



 押し返される。



 「っ……!」



 重い。



 さっきまでとは違う。



 これは“抵抗”だ。



 結衣が叫ぶ。


 「足りてない!」



 「分かってる!」



 ただの再定義じゃダメだ。



 “向こうより強い理由”がいる。



 一瞬。



 考える。



 そして気づく。



 「……そうか」



 観測者が少しだけ目を細める。



 「気づいた?」



 うなずく。



 「これは“世界”だ」



 一拍。



 「人間がいる世界だ」



 結衣を見る。



 レンを見る。



 「人間は時間の中でしか存在できない」



 その瞬間。



 世界が強く反応する。



 「だから」



 「時間は、消せない」



 言い切る。



 ぶつかる。



 「再定義」



 声が重なる。



 押し合い。



 でも今回は違う。



 “意味”がある。



 “理由”がある。



 空間が震える。



 時間が、一本に戻ろうとする。



 「……いける!」


 結衣が言う。



 さらに押す。



 「時間は一定速度で進む」



 固定。



 「干渉は禁止」



 強制。



 「起点は今」



 確定。



 一瞬。



 完全な静寂。



 それから。



 時間が――



 “戻る”。



 正しく。


 前へ。



 「……戻った」


 結衣が呟く。



 レンがゆっくり顔を上げる。



 意識が戻っている。



 観測者が小さく笑う。



 「やるじゃん」



 でも。



 まだ終わってない。



 声がまた響く。



 「部分的修正:許容」



 一拍。



 「全体適合:未達」



 冷たいまま。



 結衣がこちらを見る。



 「まだ来るね」



 うなずく。



 「次は空間だ」



 時間は取り返した。



 でも――



 戦いは、まだ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ