表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/234

第36章 地獄を切り裂く咆哮

****


村の狼人たちは一斉に動き出した。筋肉が張り詰め、爪がしっかりとハンドルを両方向に回す。門は深い呻き声を上げながらゆっくりと開き始め、迫り来る運命に抗うかのようだった。


その向こう側で、カエリラはもうただの戦士ではなかった——彼女は前兆そのものだった。


右足を後ろに引き、体を世界を切り裂く刃のように整え、左腕を回し、右腕に力を溜め、そして背骨を前方に鋭く反らした。捕食者の正確さだった。喉の奥から低い唸り声が湧き上がり、濃密で、怒りと約束に満ちていた。


門が完全に開いた瞬間——


彼女は消えた。


その突進の衝撃が空気を引き裂いた。音の壁がガラスのように砕けた。カエリラは四肢で駆け、腕と脚が残酷なまでに完璧に同期し、何世紀もの抑圧から解き放たれた太古の獣のようだった。


「……今、行く……しっかり耐えて……」


彼女の声は風に溶けていった。


遠くで、絶望が応えた。


「もう少しだけ耐えろ、娘!」

ズリが叫んだ。声は切迫と恐怖の間で震えていた。「お前の母さんが来るぞ!」


地獄の頂上で、ズリカは震えていた。


体は痛みで燃えていた。尾は止まらない出血を続け、赤が生きている嘆きのように流れ落ちる。涙が息もできない熱気と混じり合い、呼吸し、考え、倒れないように必死に抗っていた。


足元の枝がパキッと鳴った。


彼女は凍りついた。


一瞬、パニックを捨て、もっと深いところを探した——混沌の中にあるわずかな制御の欠片を。苦しげに息を吸い込んだ……が、痛みが一気に引き戻した。髪が下の灼熱の溶岩に触れ始め、死の熱に揺らめいた。木はゆっくりと傾き、燃える深淵へと屈し始めていた。


ズリカは右手で幹を掴んだ。指が震え、力が抜けていく。


そして——


彼女は咆哮した。


最も純粋な恐怖から生まれた、引き裂くような叫び。


「ヒュウゥゥゥアアアア!!」


その音が炎の間を響き渡った。


ズリが聞いた。


迷わず、もう一度火の中へ飛び込もうとした。だが炎が生き物のように立ち上がり、意識を持って彼の進路を塞ぎ、まるで何かを——あるいは誰かを守るように彼を押し返した。


「くそっ……!」


遠くで、カエリラが聞いた。


娘の咆哮がすべてを貫いた——風も、炎も、距離も——そして彼女の中の何か原始的なものを直撃した。


体が、頭が理解する前に反応した。


「……娘……」


言葉は途切れ、切迫感に砕かれた。


彼女は変わった。


獣の姿勢を捨て、二本の脚だけで立ち上がった。足音が大地を震わせた。速度がさらに跳ね上がった——不可能で、狂気じみた速度——まるで生きた彗星が大地を切り裂き、力以上の何か……神聖な何かによって推進されているかのようだった。


火山の麓に着いた時、ズリがすでに待っていた。


彼女は速度を落とさなかった。


わずかに止まって彼と向き合っただけ。


目は燃えていた。


迷いも、躊躇もなかった。


ただ怒りだけ。


「私の娘はどこ?」


ズリは唾を飲み込んだ。言葉が出てくるのに時間がかかった。


「頂上……火山の真ん中だ。俺は通ろうとしたが……炎が……通してくれない……」


沈黙。


カエリラはわずかに顔を下げた。


再び顔を上げた時、何かが変わっていた。


「……あとで、その話はする。」


そして——


彼女は進んだ。


迷わず。退かず。


カエリラは炎など存在しないかのように通り抜けた。灼熱の溶岩を固い大地のように踏みしめた。火は彼女の通過に屈し、触れることすらできなかった。


ズリは動けなかった。


呆然としていた。


「……彼女が……通った……」


声が震えた。


「傷一つ負ってすらいない……」


彼の目は不可能を前に震えていた。


「原初の存在……これが……」


だがカエリラはもうそこにはいなかった。


彼女は止められない力となって火山を登っていった。鼻と口から濃く熱い煙が漏れ、世界を破壊しようとする存在の息吹のようだった。足音が地形を砕き、周囲の混沌を無視した。


燃える木が一本、彼女に向かって倒れてきた。


カエリラは加速した。


倒れる寸前、幹の下を滑り抜けた。


木は地面に激突し、背後で火花と炎を爆発させた——


だがカエリラは振り返らなかった。


速度を落とさなかった。


躊躇しなかった。


なぜならその瞬間——


もう何も存在しなかった。


ただ道だけ。


ただ炎だけ。


ただ娘だけ。


続く次章。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ