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裏口  作者: 安井上雄
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第6話 ゴリアテの町での裏口屋稼業初仕事

のんびり更新中です。


 ダンジョンの場所や入り口からの規模、中で金属ゴーレムに襲われてなんとか逃げ出せたことを報告したロンドは、ダンジョン探索部隊が編成でき次第、発見したダンジョンへ一同を案内することになった。3日後の朝にギルドへ集合だそうだ。

 とりあえずそれまでは暇である。

 そう思って面談室を出ると、受付から逆に声をかけられる。

「ロンドさん、早速裏口取りつけのご依頼ですよ」


 どうやら同業の冒険者がロンドの貼った募集用紙を見て、早速依頼してきたようだ。

「中級冒険者のドンガだ。

 家の裏口が古くなって穴も空いたんで取り替えようと思っていたところだったんだ。

 本当に3000ジェニーで出来るのか?材料費にもならないと思うぞ」


 銅製の中級冒険者プレートを見せながら心配そうに言うドンガにロンドは自信を持って返答する。


「はい、大丈夫です。スキルでやるので魔力しか消費しません」


「そうか、それなら、早速今から頼んでいいか」


「はい、かまいませんが、ドンガさんは今日の仕事はいいのですか」

 ロンドの疑問に笑いながらドンガは答える。


「ハハハ

 こんなお得に裏口が直るというなら、今日は仕事を休みにしても問題ない。

 早速我が家へ案内しよう」


 ロンドはドンガと一緒にギルドを出ると、待ちの壁沿いに右手の方へ案内された。

 歩くこと3分ほどで閑静な住宅地区となる。

 待ちの入り口からも近く、冒険者ギルドからも至近だ。

『いいところに住んでるな』とロンドは思う。


「ここだ」

 ドンガが案内してくれたのはかなり年季の入った中規模の一戸建てだった。


「おい、帰ったぞ」

 家の中に声をかけると、中から女性の声がした。

「あら、忘れ物かい」

 そう言いながら、奥から中年の女性が現れる。


「裏口の修理を格安で引き受けてくれる奴を連れてきたんだ。

 紹介しよう。

 冒険者のロンドだ」


「ロンドです。よろしくお願いします」


「ハイネだよ。ドンガの嫁さね。こちらこそよろしくね」


「では、早速修理したい裏口を拝見させてください」

 ロンドはハイネに案内されて台所の奥へと進んだ。


 きれいに片付けられている台所の右手奥に、かなりガタが来た傾いたドアがあった。

 中央に野球のボールほどの穴も空いている。


「立て付けも悪くなってな。

 あんまり言うことをと聞かないんで、一発蹴りを入れたら穴まで空きやがった。

 まあ、しこたまハイネに叱られたんだがな。

 ガハハ」

 冒険者らしくドンガは豪快に笑う。


「全く、あれほど怒ったのに反省しているんだか……」

 ハイネはあきれ気味だ。

『全くだ』と心の中で同意するロンド。


「どうだ、ロンド。修繕できそうか?」

 ロンドは自信を持って答える。

「はい問題ありません。早速やってもいいでしょうか」

「ああ頼む」


「では、裏口撤去!」

 ロンドがスキルを発動すると、裏口は一瞬で消えて周りと同じ壁になった。


 ロンドは続けてスキルを行使する。

「裏口創造!」

 あっという間に、そこだけ妙に新しい、木製の裏口が設置された。


「おおおぉ」

「まああぁ」

 ドンガとハイネの声が重なる。


「これはおどろいたねぇ」とハイネ。

「すげぇな、おまえのスキル」とドンガ。

 大体だいたい初めてスキルを見た人の標準的な反応だ。


「なるほど、料金が付け替えのときを一番高くしている理由はこれか……

 裏口の撤去で1000ジェニー、裏口の設置で2000ジェニー、取り替えは撤去してから設置するので3000ジェニーという訳か……」


 ドンガの言葉にロンドが頷く。

「はい、見ていただけば僕のスキルでは取り替えのために二回スキルを使用しなければならないことがおわかりになると思いますが、知らなければなんで取り替えが一番高いんだと疑問に思われると思います」


「ああ、納得したよ。3000ジェニーでも安いんだがな。

 ガハハハ」とドンガは愉快そうに笑う。



「ところでロンド、おまえさん昨日ゴリアテに着いたって言ってたが、もう宿は決めたのか」

「いえ、昨夜の一泊だけ宿に泊まって今日からの分は決めていません。

 当面このゴリアテで仕事をしようと思いますので、どこか部屋を借りようかと思っています」

 ドンガの問いのロンドが正直に答える。


「そうか……、それなら……

 なぁハイネ、あの件をロンドに振ってもいいか」


「あぁ。なるほど。おまえさんにしちゃ言い思いつきだね」


 夫婦で納得し合う二人に、思わずどうリアクションして良いかわからずに固まるロンド……

 困った様子のロンドにドンガが話しかける。


「実はな、俺たちの一番下の子供が15になって独り立ちすると言って王都の冒険者ギルドへ移籍したんだ。

 他の子供たちも親元を離れて暮らしているんで、今、部屋が余っているんだ。

 もし、ロンドさえ良かった、うちに下宿しないか。

 部屋代と食事をつけて月に7000ジェニーでどうだ?」


 7000ジェニーは日本円で7万円ほどだ。ロンドにとって思いがけずも、ありがたい提案だった。

「よろしいんですか」


「ああ、おまえさんの仕事ぶりにちょいと感動したんだ。よかったら、うちに下宿してくれ。

 下宿代はかなり勉強させてもらうし、食事は朝夕と昼の弁当も混みの予定だ。仕事が少ない月は払いを待ってもいい。

 それに、知り合いに声をかけてロンドの腕が振るえる家がないかも探してみるがどうだ」

「ありがとうございます。是非お願いします」


 ドンガの家は冒険者ギルドからも近く、立地条件がいい。

 普通に間借りするだけでも一月ひとつき3000ジェニー(日本円で3万円くらい)するだろうし、食事も朝昼夕出してもらえば6000ジェニー(日本円で6万くらい)はするだろう。

 合わせて7000ジェニーは格安と言える。


 ロンドは好条件にその場で了承し、早速少ない荷物を部屋に置かせてもらった。



「それにしてもこんなに素早く取り替えてもらえるとは思わなかった。

 これなら今から依頼を受けて一仕事できるな」

 ドンガはどうやら今から一仕事するつもりのようだ。


「それなら、僕も一度ギルドに戻ります」

 ロンドもギルドへ仕事の依頼が来ていないか気になってきたので同行を申し出る。


「おおそうか。一緒に行くか。

 ガハハハ」

 と笑うドンガにハイネから待ったがかかる。

「あんた、ちょっとお待ち。

 せっかくだからロンドちゃんの弁当を作るよ。持って行きなよ。」


「えっ、いいんですか」


「こんなに安く裏口の修繕が出来たんだから、お安いご用さね。

 それに今日から食事付きで下宿するんだから当然と言うことさね。

 旦那に持たせたものと同じものならすぐに用意できるからちょっと待ちな」

 そう言うと、ハイネは台所に立って、フランスパンのような大きなパンをスライスし、間に葉物野菜と肉らしきものを挟んで簡単な昼食を作った。



「はいよ、こんな簡単なもんだけど、良かったらもっていきな」


「ありがとうございます」

 ロンドは礼を言うと受け取って玄関で待っているドンガの元に向かった。







★★★★★頂いた方、ありがとうございます。とても励みになります。


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