06
リトラに部屋の案内をし、風呂場で精霊を紹介した。
「リトラ様ですか。私はこの地に住む水の精霊で、消滅する所をご主人様に助けて頂きました。ご主人様の為ならば出来る事は何でも致しますのでお申し付け下さい」
「それは大変良い心掛けですね。それでは湯浴みの際はご主人様を宜しくお願いします。ですが不埒な真似は許しませんよ」
「いや、女性型だからって半透明の奴に欲情とかしねぇよ?」
「フフフ・・・畏まりました。迷宮からは出られませんが、水さえあれば何処へでも移動出来ますし、水場が大きければその分だけ力も増しますのでそちらもご検討下さい」
「お、そりゃ良いな。迷宮内に湖とか作ってそこの管理でも頼むかな」
どの程度の力を持っているかは未知数だが、普通の人間より弱いって事は無いだろう。
迷宮の運営に関して考えているとゾロゾロと四天王達が帰って来たので、精霊に紹介してから十畳間で話をする為に移動した。
部屋の真ん中に有る小さなローテーブルを囲んで皆で座り、話を始めようとしたんだが・・・・・
「・・・・・流石にこの人数だと狭いな、ベッドも有るし」
「そう言えばこの女性は一体何者なのですか?まさか陛下の・・・・・」
「そこの上げ底女は聖女です。滅多な事は言わない様に」
「まぁそいつの事も含めて簡単にだけど説明するよ。ある程度皆気が付いてるかもしれないけど・・・・・まぁ今回で最後になる訳だけど、今までとは色々変わっててな・・・・・」
先ず俺が今までの魔王じゃない事、勇者や聖女を含めた人類と敵対する気が無い事を含めて全て説明した。
「直接一緒に戦ってきた訳じゃないけど、今まで頑張ってくれたお前達にも報いたいってのも有る。だから戦わずに此処で好きな事をやってのんびり暮らして貰いたいってのが本音だ。お前達の素体に為っている人間の記憶が有るならこの世界がどんな所か解るだろ?旨い物食ってゲームしたりビデオ見たりして遊んで暮らしたくねぇか?」
「それは・・・・・」
「勿論強制はしない。でも、お前達が反対しても俺は止まらない。俺は俺の理想を追い続けるつもりだ」
「いやはや此度の魔王様はなんとも・・・・・我々は悪魔ですぞ、己の欲望に忠実な我らに〝遊んで暮らせ〟などと・・・従わぬ筈がない・・・・・ククク・・・ハハハハハ!」
「皆異論は無いみたいで良かったよ。基本、皆の仕事は此処の防衛だけど、此処まで来れる奴は多分居ないし、来られたとしても俺達に勝つ事はけしてない。そう言う迷宮を作るから出番は先ず無いと思う。お前達の知識の中にある人間が携帯出来る重火器でやばそうな物って何だ?」
「対戦車ライフルかロケットランチャーと言った所ですかな」
「やっぱその辺か・・・まぁ地下は精霊に守らせるから物理攻撃なら一切効かないだろうし問題ないか。そう言やあいつにも名前が必要だな・・・・・」
取り合えず全員が賛成してくれて助かったと内心安堵の息を吐いていると、ベッドに寝ていた聖女がむくりと起き上がり俺を睨みながら問いかけて来た。
「あんた、それ本気で言ってんの?天界と魔界を敵に回すって事だって解ってて言ってるんだとしたら、相当な馬鹿ね」
聖女の言葉に俺以外の皆が殺気立つ。
「馬鹿で結構。あんた等天神の僕は俺達程自由が与えられてないんだろ?だから無駄だと解っていても俺を攻撃したし、心の底では俺に賛同したくても出来無い事も良く解ってる。あんたと勇者には辛い思いをさせる事になるが、それでもこの世界をあいつ等の好きな様にさせる訳には行かないと思ってる」
「なら私はここを抜け出し勇者と合流して、あんたを倒しに戻ってくるわ」
「好きにすると良い。今回の迷宮は半径1km地上20階地下10階だ。外に出るならそれなりの準備をしてから行くんだな」
「フン!私を監禁して置かなかった事を後悔させてやるわ!」
捨て台詞を残して聖女はベッドから飛び降り、部屋を出て行ってしまった。
「行かせてしまって良かったのですか?ご主人様」
「ああ・・・出入り口の魔法陣が起動するのは三日後だからな。それに下手すりゃ周囲の森で迷子になるんじゃねぇの?」
普通の二十代後半の女性がコンパスやテント等を持っている筈も無く、水と食料を最低限だけ持って森に入った聖女は案の定迷子になり、今にも倒れそうな足取りで帰って来たのは翌日の夕方だった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




