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44-2

さて始めるかと、間合いをじりじりと詰め拳を握る。

魔王もそれに答えるように間合いを詰め、お互いが握った拳を振り上げた次の瞬間、俺の後ろから先ずはリトラが、次に四天王とマサトが魔王に飛び掛り、魔王を押し倒して押さえ付けた。


「ぐあっ!貴様等卑怯ではないか?!ギービル!貴様我に忠誠を誓ったのではないのかあああぁぁ!!」


「今の主はあちらの方なのですよ!陛下!長くは持ちません!お急ぎ下され!!」


「ご主人様!今の内に倒しちゃって下さい!」


「あ、はい」


何かそう言う訳なんで、倒された魔王の顔面を殴り続けて動かなくなった所で顔に手を当てて、眷属化する時の要領で吸収した。何か意外と簡単に出来たな。


吸収した魔王の力・・・魔力が俺の中で膨れ上がるのを感じた。


「お・・・おおおぉぉぉあああぁぁぁ・・・・・!!」


力が溢れてくる。聖剣を持った勇者でさえも指先一つで倒せそうな程の全能感。これなら髪が金色になって逆立っててもおかしくない。


しかし、困った事に急激に増加した力に振り回されて制御しきれていない。解りやすく言うとLV1だった俺がLV9999の魔王を倒してしまったと、それに伴い得た筋力や能力を把握し切れていないのだ。早急に自身の得た力を把握し、使いこなせる様にならなくてはならない。


しかし、これで完全に二柱の神が敵対する事が確定してしまった。


せめてゲームのようにメニューとかの画面がポップしてくれれば良いのだが、現実にそんな事は有り得ないし、地道に一歩ずつなんてやっている暇も無い。と言う訳で特訓開始である。


非常階段を上り下りして身体の動きを確かめたり、室内戦を想定した格闘術を四天王達に習ったり、使えるようになった魔法の把握と制御に努めた。


魔王に植えつけられた記憶から能力を思い出しては使用して、制御出来るか試し続ける事六日。そこそこ魔力の扱いにも慣れた時、そいつは遣って来た。




昼過ぎの事だった。魔力操作の訓練で瞑想していると、仕事部屋から警告音が鳴り響き《屋上の結界が浸食されています》との警告文がモニターに映し出されていた。


俺達が非常階段を駆け上がり屋上へと着いた時、レンブラント光線の降り注ぐ中、ガラスの割れるような音と共に結界を破って屋上へと降り立ったのは背中に羽の生えた女性、天使だった。


「フフフフフ・・・魔王自らお出迎えとは、光栄ですわ。我主の命により貴方を排除しに参りました。理由は言わなくてもご存知ですわよね?」


俺を排除?一つの世界に魔王の素養が有るのは一人だけの筈だ。俺を排除するとゲームが成立しなくなる以上、舞台を変えなくては為らない筈だ。


邪神は確かに言ってた。星毎消して移動すれば良いと。


俺に言う事を聞かせる為に付いた嘘だったのか?それとも単なる憂さ晴らしで俺を消してから地球も消すとかか?仮にも神を名乗る連中がそんな面倒な事をするか?解らない。だが、今はこいつを倒して生き延びる事が先決だ。


それにしても分が悪い。俺達悪魔族の最大の弱点である聖属性魔法の使い手で、空を飛び遠距離攻撃を主体とするこいつ等は魔法耐性も高く、正に天敵と言えるだろう。

弱点と言えるのは俺達悪魔族よりも物理攻撃に弱い位か。


俺は厳しい戦いになるなと苦笑いをし、挨拶代わりに右手から炎弾を放って駆け出した。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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