おまけの没ネタ
ある日の事、某玩具メーカーの営業さんがやって来た。
迷宮モンスターズの売り上げが好調なので、縫いぐるみだけでなくキーホルダーやストラップ、プリントTシャツにマグカップ等の企画が進行中らしい。
「それでですね、『迷宮モンスターズ』だけでなく『魔王ブランド』と言う形で商品展開して行くのはどうかと思いまして・・・迷宮に捕らわれない魔王様独自のデザインとか考えて頂けませんか?あ、締め切りとか気にしないで自由にやって貰ってかまいません。その中からこちらで選んで商品化しますから」
と言う訳で、何と無く思いついた物のデザインを描いて行った。
「・・・・・ご主人様・・・それは何なのです?」
「ん?見たまんまバッグだけど?」
「・・・・・確か『魔王ブランド』と言う依頼だったと記憶しているのですが、それだと『魔王』は関係無いですよね?」
「ああ、俺独自のデザインで自由にやって良いって言ってたからさ、思いついた物を描いてるだけなんだけど・・・・・だめか?」
「・・・・・その判断はメーカーがするのでしょうが・・・私個人としては『無い』ですね・・・・・」
「・・・・・そっか・・・俺的には外国人が買って行くんじゃないかって思ってたんだけどなぁ・・・・・・・」
モニターに映し出されていたデザイン画は、ウエストバッグ、ショルダーバッグ、リュックサック、キャリーバッグのシリーズで、全て握り寿司の形をしていた。
鮪や海老等の握り寿司のネタの部分が蓋になっていて、裏側には山葵も書かれていると言った凝りようだが、商品化する事は無かったと言う。
そして共に提出した中には『出し巻き卵バッグ』と『蒲鉾バッグ』のシリーズも有ったのだが全て没になった。
「・・・・・・・あの~・・・私・・・『魔王様独自のデザイン』って言いましたよね?」
「ええ、『自由にやっていい』って聞きましたけど?」
「・・・・・な・・・何で食べ物なんです?」
「外国人観光客にも解り易く日本らしさを出してみたんですけど・・・・・だめですかね?」
その後も幾つかの案を出したが『魔王ブランド』が商品化する事は無く、企画自体が無くなったと言う。
ここまで読んで頂き有り難う御座いました。
2019/03/24 前編修正しました。
一旦完結とさせて頂きますが、気が向いたら続きを書くかもしれませんので、その時は宜しくお願いします。




