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一般開放初日に続き、少し遅い夕食を取りながら四天王達から報告を聞いていた。
「概ね昨日よりは入場者が減って楽になった感じかな?」
「そうですな、我は持ち場を変えたので昨日よりも楽でしたが・・・ニクス達はどうであった?」
「そうだな・・・昨日より盗撮の類は増えた気がするが、アクアが警官達に上手く振っていたので楽といえば楽だったな」
「あ~確かに夕方以降は急に入場者が減って楽になったよ。あたいん所は特に何も無かったし」
「あら、デミス様、あれ程の事が有りましたのに何も無かったは無いのでは?」
「ん?何だ?何が有ったんだ?」
「おい!アクア!余計な事言うんじゃねぇよ!・・・あ~あれはその~・・・報告する必要は無いって言うか・・・その~・・・・・・・」
「言い難い様でしたら私からご報告致しましょうか?デミス様」
「ちょっ!解った!言う、言うよ!言えば良いんだろ!・・・あ、あのですね・・・・・・・」
* * * * * * * * * *
PM4:00地下10階。
「あ、あの~・・・デ、デミス様・・・・・・・・」
巡回中のデミスとその後を付いて来るゴスロリ少女達の更に後ろから声を掛ける者が居た。
「ん?何だお前、あたいに何か用か?」
「やだ、何こいつ。御姉様こんな奴と口を利いてはいけませんよ!」
「そうですよ、こんなキモイ奴の相手する必要なんてありませんわ!」
「ほんと、汚らわしい!あっちに行きなさい!御姉様が穢れるでしょ!身の程を知りなさい!」
「おい、お前等余計な事言うな、こいつはあたいに用が有んだからあたいが相手すんだ。で、何だ?何か用があんだろ?」
ゴスロリ少女達の罵声を浴び俯いてしまった男は拳を握り締め顔を上げた。
「ぼ、僕は・・・その・・・もう帰らなくちゃいけなくて・・・・・し、新幹線の時間が・・・その・・・・・」
「ああ!お前あれか、昨夜アクアの手伝いしてくれたって言う奴か?スライムもお前の案なんだってな、陛下も助かったって言ってたよ、有難うな」
「・・・あ、そ、そんな戴した事じゃ・・・・・いえ、その・・・・・そ、そうじゃなくって・・・・・・・・あのっ!僕は!・・・僕はここに来て本当に良かったって!最初はアクアたん・・・精霊やモンスターが見たかっただけなんだけど!貴方に!貴方に遭えて本当に良かったです!!」
「は?」
「ぼ、僕はこんなだから・・・今は貴方の傍にいるのは相応しく無いって解ってます・・・だから!・・・・・だから次に来る時は貴方の傍に居るのに相応しい姿になって必ず此処に戻ってきます!その時は又お話して下さい!!それじゃ!失礼します!!」
「え・・・・・あ、おい!・・・・・行っちまった・・・・・・・」
「何あれ、ほんと身の程を知らないわね。御姉様、どうせ口だけですよ。あの手の奴は口だけでストーカになるのが落ちですから」
「そうそう、キモオタなんて碌でも無い奴ばかりなんですから。相手にしちゃダメですよ」
「おい・・・あんた等解ってないみたいだから言って置くぞ。あたいは悪魔だ、本来なら忌み嫌われる存在なんだ・・・だから、同じ人間のあんた等が特に何かした訳でも無いあいつの事をそんな風に言うな・・・・・・・そら、遅くなる前にあんたらも帰えりな」
* * * * * * * * * *
「・・・と、まぁこんな事が有りまして・・・・・」
間にアクアが補足を入れながらデミスは状況を語った。
「それはもうご主人様のプロポーズより熱烈な告白でしたわ」
「やめてくれ・・・そんな柄じゃねぇんだよ・・・あたいは・・・・・・」
「へぇ・・・で、次に来たらお前は如何すんだ?」
「え・・・・・如何って言われても・・・来るとは限らないし・・・・・・・」
「俺は来ると思うぞ。お前は本当の〝おたく〟って奴を知らない。あいつらが本気になったら大抵の事はやり遂げる。偶にやり過ぎちまって迷惑掛けたりするし、変質的に拘るから嫌われたりもするけど、基本的に自分の思いに対して凄く純粋なんだぜ」
「それは、その・・・真剣なのは凄く感じたけど・・・あたいは悪魔であいつは人間だし・・・・・」
「そんなもん障害にならないのはお前も解ってるだろ?次ぎに来るまでどれだけ掛かるか解らないけど、真面目に考えてやるんだな。まぁ俺が個人的に遭って見たいってのも有るけど」
「ま、まさか陛下・・・・・いえ、陛下が御望みでしたら我等が異を唱える事ではありませんな」
こうして深夜は特に何も起こらず、一般解放二日目はティゲルが枕を涙で濡らす以外は無事に終ったのだった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




