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一般開放前日、迷宮地下9階入り口前交番。


「いよいよ明日の8:00に一般開放となる訳だが、週末と言う事も有り混雑が予想される。各自気を引き締めておく様に」


やる気に満ちた巡査部長に対して他の警官達の表情は暗い。


「あの~・・・・・なんで僕等新人ばかりが此処の配属になったんでしょうか?」


「はぁ・・・今時ネットが繋がらないとか有り得ねぇよな・・・・・ログインボーナス逃したら如何してくれんだっての」


実際、巡査部長以外は今年警官になったばかりの新人だった。


「・・・・・さあな、私にも上の考える事は解らん。だが此処はこの国にとっての重要な場所でも有る。ここで頑張れば直ぐに昇進出来るかもしれないぞ」


巡査部長は知っていた・・・新人の中でも少し問題の有る者が選ばれた事を。

そして自分は新人達の再教育を任されているのだ。


「なぁ、ここの名前長過ぎじゃね?入り口前とか出口前とか某漫画かよって位長いだろ」


「あたしは名前とか昇進とかどうでも良いんですけど・・・・・部長、自宅が少し遠いのでバイクか自転車で通勤したいんですよ、バスだと遠回りだし。駐輪場とか何とかなりませんか?」


「・・・あ、ああ、近くに独身寮を造る計画が有るらしいからそれまで待つか・・・近くにアパートを借りるとかどうだ?」


「部長、この辺凄く値上がりしてるって知らないんですか?私達の給料じゃ住宅手当貰ってもやっていけませんよ」


巡査部長はその話を聞いて察した、これは独身寮計画は無くなるなと。


「そ、そうか・・・・・それはすまなかったな・・・近くに止められる所を用意する様に上と掛け合っておこう。それまでは・・・迷宮の地下10階に止めさせて貰うと言うのはどうだ?」


「もうアクアさんに聞きました・・・・・際限が無くなるから例外は認められないって・・・・・・・」


安全面を考慮して迷宮内への乗り物は持ち込みも含めて全面禁止(ベビーカーは除く)だ。


「・・・そうか・・・・・解った!近くに消防署が有ったな、そこに置かせて貰える様に私が直接掛け合って来るからそれまで我慢してくれ」


巡査部長はとても良い人だった。良い人過ぎて誰もが拒否した此処での勤務を拒否出来なかったのだった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



その頃魔王城603号室では四天王達が激戦を繰り広げていた。


「くっ!・・・このっ!・・・・・グアアアァァァ・・・・・!!やられたぁ~!」


『ハハハハハ!四天王の一角!討ち取ったり~!!』


「兄貴!デミスがやられちまったぜ!」


「ほう・・・中々やるではないか・・・・・だが、奴は四天王最弱。この程度の奴に負けるとは上級悪魔の面汚しよ・・・・・・・」


「ギービル・・・あんた毎回その台詞が言いたいために、あたいの事を先鋒にしてんでしょ・・・・・」


「な、何を言う・・・序列の順位順だと言っておろう!ティゲルよ、次は貴様の番だが負けるで無いぞ」


「ああ、デミスの敵は俺が取ってやるぜ!」


四天王達はここ数日ネット対戦の格ゲーに嵌っているのだが、四天王としてのプライドがーとか言ってランカーに挑み続けては負け続けている。

それで良いのか?と思ったが、本人達が楽しそうなので放っておく事にした。

あ、因みに大将はギービルとニクスが交代でやっている。俺とリトラは格ゲー出来ないし。


そして俺はと言えば何時も通りに仕事をしていたつもりだったのだが・・・・・


「ご主人様、何か気になる事でも御座いましたか?」


皆が帰った後リトラにこんな事を言われ、良く見ているもんだと感心した。


「・・・リトラには隠し事は出来そうに無いなぁ・・・・・先ずはこれを受け取ってくれ」


PCデスクの下に隠しておいた箱を取り出しリトラに手渡した。


「これは・・・・・メイド服・・・ですか?」


「ああ、本当は普通の服を買うつもりだったんだけどさ・・・・・女性に服をプレゼントなんてした事ないし、リトラの好みも解らないから・・・・・それに今着ているのだってメイド服じゃなかったなって・・・変な服を買うよりその方が良いだろ?」


「その御気持ちだけで十分で御座います・・・・・有り難く頂戴いたします」


「それと・・・出来ればこれも受け取って欲しいんだけど・・・・・」


そう言って俺は引き出しから小箱を取り出しリトラに手渡した。


「え?!・・・も、もしかして指輪・・・ですか?」


「あ~・・・その~・・・なんだ・・・・・俺は城から出られないじゃん?本当ならちゃんと式を挙げてやりたいんだけど・・・無理そうだし・・・神を敵に回しておいて何言ってんだって思うかもしれないけど、せめて指輪位はって思ってさ。嫌なら返してくれて構わない。でも、リトラ以外には考えられないんだ・・・・・だから・・・これからも俺を傍で支えてくれ」


「・・・・・嫌なんて・・・言う訳ないじゃないですか・・・・・これからも御傍に居させて下さいませ・・・・・・・」


笑顔で涙を溢すリトラを優しく抱きしめ、そっと唇を重ねた・・・・・・・






までは良かったんだが・・・・・この後、感極まったリトラにベッドで無茶苦茶にされてしまった。

リトラさん・・・少し手加減して下さいません・・・・・よね?

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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